節税対策には様々な手法がありますが、大きな柱となるのはやはり、
「土地の評価額を下げること」です。
一般的に、家屋の評価額は固定資産税評価額によるため、
それほど高くはありませんが、土地は立地条件などによっては非常に
高額な評価になることも少なくありません。
特に、首都圏の地価は上昇に転換し、評価の基になる路線価も上昇傾向
にあります。
評価額もそれなりの金額になり、相続税が発生する可能性も高くなって
くるため、相続を見据えた節税対策は非常に重要になってきます。
今回は、「小規模宅地の特例を活用する」「賃貸する」「等価交換をする」
の3点に絞って、
土地の評価額を下げる節税対策について解説していきます。
◆小規模宅地の特例を活用する
節税対策を考えるうえで、まず押さえておきたいのが「小規模宅地の特例」
です。
これは、被相続人が事業用・居住用に使っていた土地につき、
相続時の評価額が減額される特例です。
その土地を、配偶者や同居している子供が相続する場合、
240m2(平成27年1月1日より330 m2)までの土地なら80%の割合で
減額になります。
分かりやすい例を挙げると、1億円の宅地であっても8割減で2,000万円
の評価になるということ。
条件を満たす方は、小規模宅地の特例を活用しない手はありません。
◎小規模宅地の特例の適用条件
【被相続人が住んでいた居住用の宅地】
配偶者や同居または生計を一にする子が相続し、その後も住み続ける場合、
240m2(平成27年1月1日より330 m2)まで80%減額となる。
【被相続人が営んでいた事業用の宅地】
相続人が事業を承継する場合、400m2まで80%減額となる。
【被相続人が所有する貸付用の宅地】
相続人が引き続き、賃貸アパート・賃貸マンションなどの貸付事業を行う場合、
200m2まで50%減額となる。
◆賃貸する
土地やその上に建っている建物を賃貸すると、「貸宅地」「貸家建付地」
という扱いになり、土地の評価額を下げることができます。
借りる人に借地権・借家権が発生することで、契約中は所有者(貸主)自身が
自由に利用できない状態になるため、その分、低い評価になるというわけです。
◎土地を貸すケース
土地だけ貸すケースでは、自己資金を準備する必要はありませんが、
収入は地代だけですからそれほど大きな収入は見込めません。
◎建物を建てて貸すケース
土地にアパートやマンション、店舗などの建物を建てて賃貸するケースは、
初期投資が高額になりますが、土地だけを貸す場合より大きな賃料収入が見込めます。
ただし、借り入れをして建築する場合は、空室が多くなると返済に苦慮することに
なりかねません。リスクを念頭に置いたうえで慎重な見通しを立てることが重要です。
◆等価交換をする
土地の全部または一部をディベロッパーに提供する代わりに、
ディベロッパーが建てた建物の一部を取得するのが「等価交換」です。
取得した部分を賃貸すれば「貸家建付地」となり、土地の評価額を下げられます。
建物を建てるほどの自己資金がなく、借り入れもしたくない場合に有効な方法ですが、
その土地に建物を建築したいというディベロッパーがいなければ成立しません。
不動産の評価額はただでさえ分かりにくいものですが、相続時の評価額となると
さらに難しくなってきます。ぜひ、事前に税理士などに評価額を算定してもらい、
不動産の活用法を検討して、効果的な相続税対策を行ってください。