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2023.09.12 土地活用土地オーナー様

定期借地権で土地活用&相続税対策を

「土地を活用できておらず、固定資産税だけ払っている・・・」
「土地は手放したくないけれど、管理が大変で困っている・・・」
「マンション経営をしたいけど、借り入れをするのが心配・・・」

土地オーナー様のこのようなお悩みを解決してくれるのが、定期借地権を利用した土地活用です。定期借地では借主・事業者が建物を建てるため、定期借地権を使って土地を貸せば、オーナー様は借り入れリスクを負うことなく毎月安定した地代収入を得られます。貸した土地は将来必ず返ってきますし、その間、建物の煩雑な維持管理に悩まされることもありません。さらに、特筆すべき点として「相続税対策」としての定期借地権利用があげられます。
今回は、定期借地権を活用した相続税対策について解説していきましょう。

土地の評価額が下がる→相続税が安くなる!

土地を貸していると、相続税評価において「貸宅地」という扱いになります。貸宅地はオーナーが自由に利用・処分できないため、大幅に評価額が減額されます。
一般的に、定期借地権の目的となっている貸宅地の評価は、更地状態に比べ30~40%ほど減額されるため、その分、相続税額も安くなるのです。

定期借地とした貸宅地の減額割合

定期借地とした貸宅地は相続時の評価額は下がりますが、借地期間の残存年数によって 減額割合が変わってくることは知っておいたほうがいいでしょう。定期借地権で貸している土地は、契約満了と同時にオーナーに返還されますが、借地期間の残存年数が短くなるにつれ、減額割合は小さくなっていきます。

分かりやすく言うと、相続が発生した時点で借地期間がまだまだ残っていれば大幅な評価減となり、相続税対策として有効に働きますが、借地期間が短い場合などで満了直前に相続が発生すると、ほとんど減額されないということです。

知っておきたい「前払地代方式による定期借地権」

定期借地権を使って土地を貸すと、オーナーは地代だけでなく権利金や保証金などの一時金を受け取ることができます。
しかし、権利金は受け取った年の所得とされるため、 多額の所得税・住民税が課せられるうえ、減価償却もできません。また、保証金はオーナーに預託される無利息の預かり金ですから、契約満了時に返還しなければなりません。借地期間中は自由に運用できますが、オーナーにとって大きな債務になるというデメリットもあります。

そこで、2005年にスタートしたのが、「前払地代方式による定期借地権」です。これにより、オーナーは定期借地権の地代の全部または一部を、 一括前払いの一時金として受け取ることができるようになりました。

受け取った一時金は、1年分ずつ分割して収益とすることができるため、税金の負担は大幅に軽減されます。また、一時金は保証金と違って契約満了時に返還する必要がないため、借入金の返済や相続税の納税、他の土地での賃貸経営など、様々な用途で活用できます。借地人も、支払った一時金を1年分ずつ分割して経費として計上できるため、大きなメリットになります。

(例) 地代:5000万円 / 1年分の地代:100万円 / 50年分の地代を一括払いする場合
→ オーナーは100万円を毎年の収益に計上できる
→ 借地人は100万円を毎年の経費に計上できる

なお、前払地代方式による定期借地権が認められるためには、いくつかの条件をクリアしなければならず、それに則った契約書も必要になりますので、事前に税理士などの専門家に相談しておくようにしましょう。