フィル・パークマガジン 3種類の定期借地権~違いとメリット・デメリット~
3種類の定期借地権~違いとメリット・デメリット~
「土地を貸して地代収入を得るという選択」では、定期借地権を活用することで、借り入れせずに土地を有効活用できることをご紹介しました。
定期借地権には、「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用定期借地権」の3種類があります。
今回は、3種類の定期借地権の詳細について解説していきます。
一般定期借地権とは?
借地権の存続期間を50年以上に設定して、期間が満了したら権利が消滅する借地権です。期間が50年以上と長いため、長期的に使う予定がない土地をお持ちの方に向いています。広めの土地をディベロッパーに貸し、ディベロッパーがそこに分譲マンションを建てるケースでは、主に一般定期借地権が用いられます。
特徴
- 存続期間:50年以上
- 契約更新:なし
- 建物の用途:限定しない
- 契約満了後の建物の扱い:借地人は更地にして返還
メリット・デメリット
○ 契約更新や期間延長がなく、期間満了後は必ず土地が更地となって戻ってくる
○ 契約中は安定した地代収入が得られ、場合によっては地代の更新も可能
○ 契約期間が50年以上と長いため、長期にわたって安定収入が得られる
○ 相続税の節税効果がある
○ 借地人が住居用の建物を建てた場合は、固定資産税が軽減される
△ 長期契約になるため、短期・中期で土地活用を考えている方には不向き
建物譲渡特約付借地権とは?
借地権の存続期間を30年以上に設定し、期間が満了したら、地主が借地人から建物を買い取ることで権利が消滅する借地権です。
土地を借りた事業者がアパート・マンションや店舗・オフィスなどの建物を建てて賃貸経営を行い、期間が満了したら、地主が建物を買い取って賃貸経営を継続していくかたちが想定できます。
特徴
✅ 存続期間:30年以上
✅ 契約更新:なし
✅ 建物の用途:限定しない
✅ 契約満了後の建物の扱い:借地人は建物付きで土地を返還
メリット・デメリット
◯ 地主は、土地を借地人に貸すことで30年間、地代や保証金などの収入を得られる
◯ 期間終了後は、建物を借家人から買い取り、家主として家賃収入を得られる
◯ 一般定期借地権に比べ短期間で借地契約を終了できる
△ 借地権を消滅させるには、30年以後に地主が建物を買い取らなければならない
※ その他、一般定期借地権と同様のメリットがあります
事業用定期借地権とは?
居住用ではなく事業のために土地を賃貸借する定期借地権です。
交通量が多い道路に面した土地は、居住用の物件に向かないことがありますが、そういったケースにおいてコンビニやファミレス、工場などを建てるために利用されることが想定できます。
期間は10年とするケースが多く、当面の使い道がない土地や、子や孫にその土地に家を建てさせたい場合などに向いています。
特徴
✅ 存続期間:10年以上50年未満
✅ 契約更新:なし
✅ 建物の用途:住宅を除く事業用物件
✅ 契約満了後の建物の扱い:借地人から地主への建物買取請求はできない
メリット・デメリット
◯ 借地期間を短く設定できるため、短期的な土地活用ができる
◯ 業態によっては、住居用の物件より高い地代を設定できる
△ 建物の用途が事業用に限られるため、利用者が限られる
どの定期借地権を選択するかは、お持ちの土地の立地や貸したい期間、収益性などを考慮して検討する必要があります。