フィル・パークマガジン 不動産投資の理想的な利回りは?相場や計算方法も解説!物件タイプごとの事例も紹介

不動産投資の理想的な利回りは?相場や計算方法も解説!物件タイプごとの事例も紹介

不動産投資を行う上で欠かせない概念の一つに「利回り」があります。利回りは、投資金額に対する利益の割合を計算したもので、投資の良し悪しを判断する目安にもなる、重要な指標です。本記事では、利回りの計算方法、「表面利回り」「実質利回り」など、さまざまな種類の利回りの違いなどを含めて、基礎知識を解説。物件タイプごとの利回りの算出事例もご紹介していきます。
不動産投資の利回りとは?基本を徹底解説
まずは不動産投資における「利回り」の基本的な概念をお伝えします。
不動産投資の利回りとは?
不動産投資を始めようと考えたとき、まず気になるのは「利回り」です。これは、投資した不動産からどれだけの収益が見込めるかを表す重要な指標。不動産投資に興味がある人ならば、知っている、または耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。
ただ、利回りといっても、「表面利回り」「実質利回り」「想定利回り」「現行利回り」と、さまざまな種類があり、使うシーンが違います。それぞれの違いをきちんと知っておかないと、実際のリターンがどれくらいなのかが正確に計算できず、賢い投資ができなくなってしまいます。不動産投資を行う上では、利回りに関する正しい理解が重要です。
一般的に、不動産における利回りとは、物件価格に対する年間の賃貸収入の割合を指し、この数字が高いほど収益性が良いとされています。しかし実際のところ、利回りの「数字」だけを追ってしまうと、結果的に振り回されていい判断ができなくなってしまうことがあります。本質的には、利回りの数字だけでなく、その根拠や背景などを理解した上で、その不動産の“真の収益性”を見極めることが大切になってきます。
その“真の収益性”を見極められるようになるために、まずはさまざまな種類の利回りについて理解を深めていきましょう。
表面利回りと実質利回りの計算方法
ここでは、不動産投資の2つの基本的な利回り、「表面利回り」と「実質利回り」の計算方法について解説します。表面利回りと実質利回りは、不動産投資を行う人の必須の知識といっても過言ではありません。正しく覚えていきましょう。
■表面利回り
まず「表面利回り」から見て行きましょう。
表面利回りは、物件価格に対し、1年間に得られる賃料収入の割合を示します。
表面利回り(%)=年間賃料収入 ÷ 物件価格 × 100
という計算式で表されます。
たとえば、1億円の物件を購入し、年間で500万円の賃料収入が見込まれる場合、表面利回りは「500万円 ÷ 1億円 × 100 = 5%」となります。
表面利回りは物件選びの初期段階での目安として有効ですが、この数字だけを鵜呑みにするのは危険です。なぜなら、物件の購入や運用にはさまざまな経費が発生するため、実際の収益性を把握するには、「実質利回り」を計算する必要があるからです。
■実質利回り
次にその「実質利回り」についてです。
こちらは賃料収入から物件取得時の諸経費や年間の経営に必要な経費を差し引いた収益率を指します。
実質利回り(%)=(年間賃料収入 – 年間経費)÷ (物件価格+購入時の諸経費) × 100
という計算式で表されます。
具体的に実質利回りを計算する際には、物件の購入にかかる仲介手数料や登記費用、維持管理費、修繕積立金、固定資産税など、さまざまな経費を考慮に入れる必要があります。
たとえば、物件価格が1億円で年間賃料収入が500万円、年間の経費が100万円だった場合、実質利回りは「(500万円 – 100万円)÷ 1億円 × 100 = 4%」となります。
4%という数字は、物件の運用に関わるあらゆるコストを差し引いたあとの、実際の収益性を示す数値。収益物件を検討する際には、表面利回りよりも、こちらの実質利回りの方が重視するべき指標だといえます。実質利回りを自分でシミュレーションしてみることで、物件購入後に「こんなはずでは」という状況に陥るリスクを抑えられるでしょう。
不動産投資におけるこれらの利回り計算は、将来の収益予想を立てる際の大きなヒントになります。不動産投資を成功させるためには、これらの利回り数値を計算するだけでなく、この数値から現実的な収益予測を立てられるスキルが不可欠です。表面利回りと実質利回りの計算は必ず押さえておきましょう。
合わせて考えたい、想定利回りと現行利回り
表面利回りと実質利回りに次いで、重要なのが「想定利回り」と「現行利回り」です。
これらは不動産投資の期待収益を推し量る際に欠かせない2つの指標であり、それぞれ異なる視点から物件の利益率を把握するためのものです。
■想定利回り
まず、不動産における「想定利回り」は、アパート・マンションなど複数の部屋がある物件において満室時を想定して計算される利回り。
想定利回り=満室時を想定した年間賃料収入 ÷ 物件販売価格 × 100
という計算式で表されます。
これは理想的なシナリオ下での収益を示すため、不動産投資の魅力を伝える数値として広告などに用いられることが多いです。しかし、つねに満室で運営できるとは限らず、現実はさまざまな変動リスクにさらされます。したがって、想定利回りはあくまで目安として、慎重な検討が求められます。
■現行利回り
一方で「現行利回り」は、現在の入居状況をもとに算出される実績値です。これは現実に即した収益性を示すため、物件の実運用状況を知る上で非常に重要です。
現行利回り=現状の入居状況による年間家賃収入÷物件価格×100
という計算式で表されます。
たとえば一部空室があったり、家賃が市場価格より低かったりする場合、現行利回りにはそれが反映されています。
投資家はこれらの利回りを合わせて考慮し、物件の価値を総合的に評価する必要があります。理想と現実を橋渡しするためにも、高い想定利回りに目を奪われず、現行利回りに基づいた冷静な分析を心がけましょう。
また、広告に表記されている利回りがどの利回りを指しているか、その根拠は何かをきちんと確認することが大切です。物件選びにおいて、数字だけに流されず、真実を見抜く力を養うことが、成功への第一歩となります。
不動産投資の利回り相場とは?
目標となる利回りの相場を把握しておくことは、投資戦略を立てる上で極めて重要です。 一般的な不動産投資の利回り相場は地域や物件の種類、時期によって変動するため、一概に「これが標準である」と言い切ることはできません。ある程度、地域エリアの表面利回りの平均を参考にするぐらいがよいでしょう。
しかし、市場での一般的な数値を知っておくことは、投資の判断材料としては有効です。そこで、不動産投資の目安となるキャップレート(期待利回り)というものがあります。
(財)日本不動産研究所のデータによれば、2024年4月時点での東京都心部の投資用不動産のキャップレート(期待利回り)は3.8%を示しています。これは、他都市に比べて低い水準であり、東京都心物件の資産価値が高く、需要も大きいため、利回りは低くなっています。
重要なのは、これらの数字を絶対視するのではなく、自身が投資を検討している物件の条件に近い値を参考にしながら、時系列の推移を読むことで市場の動向を掴むことです。
このように利回り相場を理解することは不動産投資において不可欠なステップですが、もし実際に投資を始めることになったら、具体的な相談相手や情報源が必要になるでしょう。フィル・カンパニーでは、実際の物件選びや投資の進め方に関して、相談窓口を開設しております。プロフェッショナルの知見からアドバイスさせていただきますので、ぜひご活用ください。
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不動産投資の利回りを最大化するためには
利回りの計算、相場を理解した後は、それをいかに最大化するかについて解説します。
物件管理やメンテナンスでの利回り向上術
不動産投資の成功は、物件の管理やメンテナンスが重要なカギを握ります。投資物件の状態を良好に保つことで、テナントの満足度を高め、長期の賃貸借契約へとつながります。また、継続的なメンテナンスは、物件の修繕費用を抑えるためにも中長期的な視点で見ると利回り向上に寄与します。
たとえば、入居者からのクレームやトラブルに迅速かつ適切に対応することは、信用度を保ち、結果的に安定した収益を生むことでしょう。加えて、周期的なメンテナンス計画を立てておき、定期的に物件の点検を行いましょう。トラブルが起こってから対応するのではなく、予防策を講じることで、予想外の大きな出費を避けられます。
メンテナンス費用は短期的にはコストがかかるように思えるかもしれませんが、長期的に見ると物件価値の低下を防ぎ、安定した家賃収入を守るためには欠かせない投資です。リノベーションやリフォームによる利回り向上も有効な手段のひとつです。ニーズに合わせた内装変更や設備のグレードアップは、物件への関心を高め、結果として家賃収入を増加させることが期待できます。
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高利回りを狙うためのエリア選びのポイント
物件選びは不動産投資の成功を大きく左右します。特にエリア選びは、利回りを高めるために欠かせない要素といえるでしょう。
エリア選びはただ単に地図上で見るだけではなく、実際に足を運んで、物件周辺の環境を確認するべきです。物件の現地調査は、客観的な視点を持つためにも、一度は現地に行くことをおすすめします。実際にその地域の住環境、交通アクセス、近隣施設などを確認することで、本当に投資に適したエリアかどうかを判断することができるでしょう。
不動産投資は、良い物件を選び、賢明なエリア選びをすることが、その質を左右します。投資先としての魅力が高いエリアを選べば、それだけ利益を得やすくなります。それには、綿密なリサーチと地道な足での確認作業が必要になります。
理想的なエリア選びには、複数のポイントがありますが、もっとも重要なのは「人口動態」に注目することです。将来的な利回りを見込むためには、人口が増加傾向にある地域や、少なくとも人口減少率が低いエリアを選定することが望ましいでしょう。人口が増えている都市は、それに伴い住宅需要も高まります。
また、自己資金と融資のバランスを考えた上で、物件価格が適正かつ将来的な賃料設定が見込めるエリアを見極めることが大切です。とくに初心者の方は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
管理費や固定資産税を見直して利回りを高める
不動産投資の収益性を左右する要素に、管理費や固定資産税といったコストの見直しが含まれます。 これらは見落としがちですが、静かに、しかし確実に利回りに影響を及ぼします。収益性の最適化を図る上で見逃してはならないポイントといえるでしょう。
まず、物件の管理費に注目しましょう。 管理費は一般的には共有部分の維持管理や清掃などに用いられる費用であり、これが適正でない場合、不要なコストがかさんでいる可能性があります。管理状況や管理会社のサービス内容を精査し、他の管理会社との比較検討を行うことで、より良い条件となるケースも少なくありません。
次に固定資産税ですが、これは物件の評価額にもとづく税金であり、その評価額は一定の周期で見直されるため、過大評価されている場合には再評価を要請することが可能です。評価額が下がれば税額も減少し、利益に直結します。 さらに、税制面でも節税策を考えることが重要です。減価償却費を適切に計上することで所得税負担を軽減することができ、結果的に利回りを向上させることにつながります。
これら管理費や固定資産税の見直しは、不動産投資における長期的な安定収益への道を開くために欠かせない取り組みとなるのです。
不動産投資への一歩を踏み出すために、さらなる詳細情報が必要な場合は、専門家が監修した、無料でダウンロードできる土地活用ガイドブックをご活用ください。不動産投資として代表的なアパート・マンションをはじめ、さまざまな不動産活用における勝ちパターンの解説や、トレンド情報も満載です。ぜひここからダウンロードしてみてください。
不動産投資におけるリスクと利回りの関係性
不動産投資はリスク管理が鍵となります。リスクの軽減・回避につながる利回り対策について解説します。
不動産投資でのリスク回避と利回りのバランス
不動産投資では、利回りを追求する一方で、投資のリスクを適切に管理することが非常に重要です。
リスクとは、思わぬ空室や家賃の下落、大規模な修繕が必要となる事態など、予期せぬ出費や収入減の可能性を指します。不動産投資のリスク管理は、このような状況に直面した際に、長期的な収益性を損なわないようにするための予防策といえます。
実際、リスクを許容することで高い利回りを目指す戦略もありますが、その場合、十分な市場分析とリスク管理が必要となります。例えば地方都市の中心地に位置する物件は利回りが高いものの、将来的な人口減少や産業の衰退など、長期的なリスクを考慮する必要があります。投資先のさまざまなシナリオをシミュレーションし、万一の事態に備えリスクヘッジするための戦略を練ることが重要です。
単に高い利回りの物件を手に入れることが成功とはいえず、利回りとリスクのバランスを見極めることが肝要です。将来にわたって安定した収益を得るためには、現実的な利回り目標を設定し、リスク管理に注力していくことをおすすめします。
不動産投資におけるリスクと利回りの適切なバランスを見つけ出し、賢明な判断を下すためには、専門的な知識と経験が不可欠です。
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不動産投資で重要なもう一つの指標キャップレート
物件の価値を判断する際は、「キャップレート」の概念を理解することが重要です。
キャップレートは、不動産の価値を決定する際に使用される計算式であり、エリアや物件の性質にもとづいて定められています。物件を購入するかどうかの判断材料として、または販売価格を算出する際にも、キャップレートは一定の基準として使用されます。キャップレートの計算式は以下のとおりです。
「年間純収益÷キャップレート=不動産価値」
これは不動産投資におけるエリアの特性と価値を示す数値です。東京23区内と地方都市では、同じ物件でもキャップレートが異なり、それによって不動産価値が変動します。キャップレートは、リスクを反映した値であり、エリアごとに違うリスクプレミアムを含んでいます。このリスクプレミアムとは、リスクのある資産の期待収益率から無リスク資産の収益率を引いた差のことを表します。不動産投資においては、投資リスクに応じたリスクプレミアムを含む利回りを求めることで、投資の魅力が増します。
しかし、キャップレートは参照できるデータは限られており、数カ月から1年おきに更新される参考値をもとにすることが多いため、過度に依存することは避けるべきです。
キャップレートの理解はプロの投資家に求められるスキルのひとつです。不動産の価値を左右するキャップレートを効果的に活用することで、リスクを理解し適切な価格での投資判断を下すことが可能になります。
空室リスクを軽減する方法と利回りの影響
賃貸不動産経営において、最大の懸案事項が「空室リスク」の管理です。空室が増えることは、投資利回りの低下に直結し、資産価値の劣化にもつながります。こうした状況を軽減する方法を複数紹介し、それぞれの利回りへの具体的な影響について掘り下げてみましょう。
まずは、入居者募集のプロセス。管理会社が行う入居者募集活動を精査し、効果的な宣伝戦略と営業活動が行われているか確認することが重要です。また、入居者の初期負担を減らすこともひとつの手です。敷金礼金なし、またはフリーレント期間の導入などは、入居者へのインセンティブとして有効であり、入居申し込みの増加につながる可能性が高いです。
入居条件、物件自体のスペックや設備も見直しの対象です。ペット可物件としてのリニューアルや、宅配ボックスの設置、インターネット環境の整備は現代のライフスタイルに不可欠です。これらを通じて物件の魅力を高めることで、空室リスクを軽減し、安定した利回りを維持できる可能性があります。
最終的な手段として賃料の見直しも考慮する必要がありますが、一度下げた賃料を上げることは難しいため、この選択は慎重に行うべきです。なにより、こういった策を講じないで済むように需要に対して供給が少ないエリア・物件選びが重要です。
不動産価格や家賃の変動による利回り対策
不動産価格や家賃の変動によって利回りは左右されます。投資家はこれらの変動リスクへの対策を取ることが肝心です。
まず考えられる対策のひとつが購入物件の選定です。
競合する物件が少ないエリアであれば、価格の変動は少なく安定した収益が得られることでしょう。では価格変動リスクに強い物件を選ぶためにはどうしたらいいか。人口が増えている地域や、新たな交通インフラの整備が計画されている場所など、その地域の将来性を見極めることが重要です。
また、家賃の変動リスクに対しては、家賃相場に即して適切な価格設定を行うことが大切です。地域によっては家賃が下落傾向にある場合もありますから、つねに情勢を調べて柔軟な家賃設定を心がけるべきです。
長期的な対策としては、土地の価値が時間とともに下がりにくい立地を選ぶこともひとつの方法です。都心部や駅近など、需要が絶えず存在する地域を選ぶことによって、建物の価値が下落しても土地の価値が損なわれづらいという安心感を持つことができます。
リスクを適切に管理するためには、土地活用に関する情報にアンテナを張って、知識と理解をアップデートしていくことが大切です。不動産の市場動向やこれから投資すべき不動産を選ぶ際のヒントに、無料でダウンロードできる土地活用ガイドブックをご活用ください。
不動産投資の利回りを左右する要素とその改善策
不動産投資の利回りに影響を与えるポイントはなにか、マイナス面に対する改善策について解説します。
立地や間取りが利回りに及ぼす影響と改善方法
不動産投資の世界では「立地は不動産の価値を決定づける」といわれるほど、立地条件は利回りに直結する重要な要素です。
最寄り駅からの距離や、商業施設、教育施設へのアクセスなど、便利な立地条件は入居者を惹きつける魅力となり、その分高い賃料設定が可能になります。反対に、治安が悪い地域や交通の便が悪いエリアでは、それほど高い賃料を期待できず、利回りは低くなりがちです。
間取りもまた、対象とする入居者やテナント層を決定づける要素です。学生向けの物件であればワンルームが望ましく、ファミリー向けならば2LDK以上の広さが求められるでしょう。間取りが需要と合致していなければ、空室リスクは高まり、結果として利回りが下がってしまいます。
これらの問題点を改善するためには、まずエリアごとの市場調査を徹底することが肝心です。賃貸需要が高いエリア、学生や単身者、ファミリー層などターゲット層の需要を調べ、それに合わせた戦略を立てましょう。
修繕費やメンテナンスコストを下げる方法とは
不動産投資の収益性を左右する一因として、修繕費やメンテナンスコストの管理が挙げられます。これらは一見、必要経費かもしれませんが、適切なアプローチによりコストを最適化し、結果的に利回りを向上させることが可能です。ここでは、具体的な方法をいくつかご紹介します。
まず、物件の選定段階で将来的なメンテナンスコストを見積もりましょう。築年数が浅い物件や、耐久性の高い素材を使用した物件を選択することで、中長期的に見た時の修繕費用を抑えることができます。また、質の高い設備を選ぶことも、故障のリスクを減らし、結果的に経費の削減に繋がります。次に、定期的なメンテナンスの実施です。とくに屋根や外壁、水回りなどは定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、小さなダメージが大きな修繕費用へと発展するのを防ぐことができます。また、メンテナンス費用を抑えるためには、複数の業者から見積もりを取ることも大切です。相見積もりを行い、コストパフォーマンスが最も高い業者を選定することで、無駄な費用を削減します。
これらの工夫により、修繕費やメンテナンスコストを抑えることで、不動産投資の利回りをさらに高めることができます。
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不動産投資での利回り比較と最適化の考え方
他の投資との利回り比較の意義とポイント
ここでは投資物件ごとの利回り比較、そして最適化について、事例を挙げて解説します。
不動産投資は他の投資商品と比べて独自の特性を持っています。他の金融資産と比較することで、そのメリットやリスクをより明確に理解することができます。
たとえば、株式投資は市場の変動が大きいため利益率が高まる可能性がありますが、同時に価格の下落リスクも高いという特徴があります。それに対し、不動産投資は物理的な資産が背景にあるため、市場の変動に対する耐性が高く、安定した賃貸収入を期待できる点が魅力です。しかし、物件の選定や管理には専門的な知識が求められ、流動性が低いために売却時のタイミングが重要になります。
また、不動産投資の利回りは中長期的な視点で考えることが肝心です。物件の資産価値が時間をかけて上昇する可能性も含めて評価し、他の投資とのバランスを考えることが、資産形成の上でのポイントとなります。さらに、不動産投資では借入金を活用するレバレッジ効果や税制面の優遇措置をフル活用することで、表面上の利回りを上回るパフォーマンスを目指すことも可能です。
投資のポートフォリオに不動産を組み入れることは、リスクの分散にも寄与します。株や債券、預金などと不動産投資を組み合わせることで、市場の変動に左右されずに安定した収益を追求することができるのです。
不動産投資利回り事例「アパート・マンション」
これより、同じ立地条件下で「アパート・マンション」「一戸建て」「賃貸ガレージハウス」の建物別に利回りデータを算出していきます。それぞれの違いをご確認ください。
まずは「アパート・マンション」を建てた場合、利回りはどうなるでしょうか。
■賃貸アパート・マンションの収支の目安 (初年度)
初期投資額
項目 | 費用 | |
建築工事代金 |
建築本体工事費 |
3,360万円〜4,240万円 |
付帯工事費 |
336万円〜420万円 |
|
諸費用 |
504万~630万円 |
|
地盤改良工事 |
必要に応じて発生 |
|
合計 |
4,200万円〜5,250万円 |
収入
賃料 | 月額 | 戸数 | か月 | 年間賃料 |
13万4,000円 | 2 | 12 | 合計 322万6,000円 |
支出
管理手数料(年) | 16万1,000円 |
修繕費(初年) | 3万4,000円〜4万2,000円 |
租税公課(年) | 34万3,000円〜42万8,000円 |
合計 | 53万8,000円〜63万2,000円 |
・初年度収支 :259万4,000円〜268万8,000円
・表面利回り :6.14〜7.68%
・実質利回り :4.94〜6.4%
<下記の条件で計算した場合>
・都内近郊(集積度中程度)
・鉄骨造2階建てアパート、住宅用途
・坪単価80万円~100万円
・1棟2戸、施工床面積42坪(貸床面積34坪)、レンタブル比80%
・付帯工事費10%、諸費用15%
・賃料坪単価8,000円
・管理手数料 5%、修繕費 0.1%、租税効果1.7%
・満室を想定
不動産投資利回り事例「戸建て賃貸」
続いて、同じ立地条件で「戸建て賃貸」住宅を建てた場合の利回りはどうなるか見てみましょう。前述のアパート・マンションと比較してみてください。
■賃貸戸建経営の収支の目安 (初年度)
初期投資額
項目 | 費用 | |
建築工事代金 | 建築本体工事費 | 2,520万円〜3,360万円 |
付帯工事費 | 252万円〜336万円 | |
諸費用 | 378万~504万円 | |
地盤改良工事 | 必要に応じて発生 | |
合計 | 3,150万円〜4,200万円 |
収入
賃料 | 月額 | 戸数 | か月 | 年間賃料 |
25万2,000円 | 1 | 12 | 合計 302万4,000円 |
支出
管理手数料(年) | 15万1,000円 |
修繕費(初年) | 2万5,000円〜3万4,000円 |
租税公課(年) | 25万7,000円〜34万3,000円 |
合計 | 43万3,000円〜52万8,000円 |
・初年度収支 :249万6,000円〜259万1,000円
・表面利回り:7.20〜9.60%
・実質利回り:5.94〜8.22%
<下記の条件で計算した場合>
・都内近郊(集積度中程度)
・木造、2階建て、住宅用途
・坪単価60万円~80万円
・1棟1戸、施工床面積および貸床面積42坪、レンタブル比100%
・付帯工事費10%、諸費用15%
・賃料坪単価6,000円
・管理手数料 5%、修繕費 0.1%、租税効果1.7%
・満室を想定
不動産投資利回り事例「変わり種」賃貸ガレージハウス
次は、現在土地を所有されている方向けに、今注目されている、1階が車庫で2階が居住スペースといった「賃貸ガレージハウス」を建てた場合の利回りをご確認ください。
■賃貸ガレージハウス経営の収支の目安(初年度)
初期投資額
項目 | 費用 | |
建築工事代金 | 建築本体工事費 | 3,360万円〜4,240万円 |
付帯工事費 | 336万円〜420万円 | |
諸費用 | 504万~630万円 | |
地盤改良工事 | 必要に応じて発生 | |
合計 | 4,200万円〜5,250万円 |
収入
賃料 | 月額 | 戸数 | か月 | 年間賃料 |
21万円 | 2 | 12 | 合計 504万円 |
支出
管理手数料(年) | 25万2,000円 |
修繕費(初年) | 3万4,000円〜4万2,000円 |
租税公課(年) | 34万3,000円〜42万8,000円 |
合計 | 62万8,000円〜72万2,000円 |
・初年度収支 :431万8,000円〜441万2,000円
・表面利回り :9.60〜12.00%
・実質利回り :8.22〜10.50%
<下記の条件で計算した場合>
・都内近郊(集積度中程度)
・鉄骨造、2階建て、住宅用途(長屋形式)
・坪単価80万円~100万円
・1棟2戸、施工床面積および貸床面積42坪、レンタブル比100%
・付帯工事費10%、諸費用15%
・賃料坪単価10,000円
・管理手数料 5%、修繕費 0.1%、租税効果1.7%
・満室を想定
変化の多い時代に、20年後も安定した収益を得るため
「アパート・マンション」「一戸建て」「賃貸ガレージハウス」の建物別に、同じ条件下での利回りデータを算出してきました。利回りの数値を抜き出してみると、
- アパート・マンション: 表面利回り=6.14〜7.68%/ 実質利回り=5.94~8.22%
- 戸建て賃貸住宅: 表面利回り=7.20〜9.60%/ 実質利回り=5.94~8.22%
- 賃貸ガレージハウス: 表面利回り=9.60〜12.00%/ 実質利回り=8.22〜10.50%
表面利回り・実質利回りともに、
アパート・マンション<戸建て賃貸住宅<賃貸ガレージハウス
という構図が浮かび上がってきました。
賃貸ガレージハウスの利回りがもっとも高いのは、単に数値として表れているのではなく、賃貸ガレージハウスの特徴として
・需要が供給を上回る状態にある
・立地に左右されにくく、郊外でも高い入居率
・ランニングコストが比較的低い
・家賃が下がりにくい
・市場の広がりがある
などの背景や、今、勢いのある不動産活用であることの現状を表しているからでしょう。
利回りの数字に固執しすぎない、利回りは一つの目安でしかない、ということは説明してきましたが、このように、数字に対する裏付けや将来性が読み取れる場合は、利回りを重視してよいかもしれません。
「変わり種」と紹介しましたが、賃貸ガレージハウスは新しく注目の高い分野。一般的なアパート・マンション経営と比較しても希少性の高い物件として、今関心が集まっている土地活用といえます。また、物件を建てる以外にも比較的初期投資が少ない駐車場経営や、駐車場と商業ビルを組み合わせて収益拡大を目指す土地活用もあります。フィル・パークでは、企画・設計・建築・テナント誘致・利回り回収という全工程を一社で実現いたします。不動産投資の対象としてご興味のある方は、まずは利回りのシミュレーションからでも構いません。下記よりご相談ください。
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垣内 典之
株式会社 PROPUP 代表取締役/一級建築士
石川県金沢市出身。千葉大学大学院修了(建築学)。建築設計監理からキャリアをスタート、環境性能に係る設計審査業務、企業不動産(CRE)戦略、ファシリティマネジメント(FM)コンストラクションマネジメント(CM)等を経験。建築・不動産・ITを横断的に繋げ、高次元のプロパティ・マネジメントを実現するべくPROPUPを設立。
