HOMEフィル・パークマガジンシャッター付きガレージより収益化しやすい?賃貸ガレージハウス経営の基本|費用・需要・実例まで解説

シャッター付きガレージより収益化しやすい?賃貸ガレージハウス経営の基本|費用・需要・実例まで解説
一級建築士垣内 典之土地活用を考えているものの、「アパート経営は空室が不安だ」「駐車場経営だけでは収益が物足りない」と感じている方もいるのではないでしょうか。
そうした中で注目されているのが、車やバイクを大切にしたい入居者へ、住居とガレージを一体化した物件を貸し出す賃貸ガレージハウス経営です。
ここで押さえておきたいのが、「シャッター付きガレージ経営」と「賃貸ガレージハウス経営」の違いです。シャッター付きガレージは、ガレージのみを貸し出すため手軽に始めやすい一方、賃料収入や節税効果を大きく高めるには限界があります。これに対して賃貸ガレージハウスは、住居とガレージを一体で貸し出すアパート経営の一種であり、収益性や節税面まで含めた土地活用と捉えることができます。
本記事では、ガレージ経営の中でも、より高い収益性が見込める、「賃貸ガレージハウス経営」に着目し、わかりやすく解説していきます。
▼この記事でわかること
- 賃貸ガレージハウス経営の仕組みと、向いている土地・向いていない土地の条件
- オーナーになる主なメリットと、検討時に注意したいデメリット・リスク
- 建築費・初期費用の目安、ランニングコスト、利回りや投資回収の考え方
- 固定資産税など税金の仕組みと、見落としやすいポイント
1|ガレージハウスとは?

シャッター付きガレージを活用した賃貸経営には、大きく分けて「ガレージを貸し出す方法」と「ガレージハウスとして貸し出す方法」の2つがありますが、今回はガレージハウスについて、詳しく見ていきます。
ガレージハウスとは、ガレージと居住空間が一体になった住宅のことです。単なる駐車スペースではなく、住まいとガレージが直結しているため、車やバイクなどの愛車と一つ屋根の下で暮らせます。
ガレージはシャッター付きで防犯性を高めやすく、居住スペースとつながっているため、生活の合間に愛車のメンテナンスを行える点も魅力です。車・バイク愛好家にとって、ガレージハウスは理想的な住環境だといえます。
また、土地活用の観点では、単にガレージだけを貸し出す方法は初期費用を抑えやすい一方、賃料単価が限られやすい点が課題です。これに対して、住居スペースを備えた賃貸ガレージハウスであれば、住まいとガレージを一体で貸し出せるため、一般的な貸し車庫よりも収益性や入居者からの人気を高めやすいでしょう。
1-1|ガレージハウスの歴史
ガレージハウスは、海外では一般的な住宅形態です。広い国土を持つアメリカでは、19世紀後半以降、自動車の普及とともに馬小屋や納屋を車庫へ転用する人が増えました。その流れの中で生まれたのが、建物の一部にシャッターやドアを設けたガレージを組み込む「ガレージハウス」です。ガレージは車の保管だけでなく、収納スペースや離れとしても使われました。
なお、居住空間内にシャッターやドアを設けたガレージ自体を「ビルトインガレージ」「インナーガレージ」と呼びます。ガレージハウスとは、そのガレージを設けた家そのものを指します。
国土の狭い日本では、ガレージハウスは広い敷地を持つ一部の層しか実現できない家でした。しかし1980年代になると、1階がシャッター付きガレージ、2階が居住スペースというメゾネット式の賃貸ガレージハウスが登場し、徐々に広がります。
1990年代には「男の隠れ家」「秘密基地」という言葉の流行とともに、趣味を楽しむ空間として注目を集めました。賃貸ガレージハウスが大きく広がったのは2020年以降です。
コロナ禍を機に、都心離れやリモートワーク、2拠点生活などライフスタイルが変化し、活動拠点として賃貸ガレージハウスが選ばれるようになりました。
1-2|なぜ今、賃貸ガレージハウスが人気なのか?
賃貸ガレージハウスが人気を集める背景には、ライフスタイルや働き方の多様化があります。近年は、住まいに対して単なる居住空間だけでなく、趣味や仕事、創作活動などに使える自由度の高い空間を求めるニーズが高まっています。
ガレージハウスは、車やバイクの保管場所としてだけでなく、自分だけの空間を持てる住まいとしても注目されています。とくに賃貸ガレージハウスは、自ら建築しなくてもガレージライフを実現しやすいため、車・バイク愛好家をはじめ幅広い層から支持されています。
1-3|賃貸ガレージハウス経営を始める手順
賃貸ガレージハウス経営は、土地の確認から運営開始まで大きく3つの手順で進みます。
- 手順①:土地の条件と需要を確認する
- 手順②:建築プランと収支計画を立てる
- 手順③:建築・入居者募集・管理運営を進める
手順①|土地の条件とガレージハウス需要を確認する
はじめに、所有地や購入予定地が賃貸ガレージハウス経営に向いているかを確認します。車やバイクの出入りがしやすい道路幅があるか、周辺に車・バイク所有者の需要があるか、競合物件や賃料相場はどうかを調べることが重要です。
前面道路が狭い住宅街や、車の需要が低い駅周辺などは、条件が合わないと判断される場合もあります。土地の特性を客観的に把握することが、最初の一歩になります。
手順②|建築プランと収支計画を立てる
次に、何戸建てるのか、ガレージの広さをどの程度にするのか、住居部分をどう設計するのか等をはじめとした建築プランを決めます。あわせて、建築費・借入金・想定家賃・管理費・修繕費などを整理し、長期的に利益が出るかをシミュレーションします。
市場データが少ない分野のため、専門家と連携しながら計画を詰めると、判断の精度が上がります。
手順③|建築・入居者募集・管理運営を進める
収支計画に問題がなければ、工事に進めることができます。完成前後には、車好き・バイク好きの方に物件の魅力が伝わるよう、写真や募集文を工夫して入居者を募ります。
入居後は、設備点検や修繕対応を行いながら安定運営を目指します。より詳しい進め方は、関連記事もあわせてご確認ください。
経営の手順について、さらに詳しく相談したいかたは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
2|賃貸ガレージハウス経営のオーナーになるメリット
賃貸ガレージハウス経営には、一般的なアパート・マンションとは異なる強みがあります。主なメリットは次の4点です。
- 立地の影響が少なく、長期入居につながりやすい
- 車・バイク好き以外の幅広い層からも需要がある
- 需要が供給を上回っている
- 希少性を背景に賃料を高めに設定できる
2-1|立地の影響が少なく、長期入居につながりやすい
賃貸ガレージハウスは、通常のアパートやマンションほど立地が需要を左右しません。入居希望者は車やバイクという移動手段を持つ人が多く、駅近など交通利便性へのこだわりが比較的小さいためです。
たとえば、都心から離れていても、自然に囲まれた地域やドライビングコースに近い環境なら一定の需要が見込めます。高速道路のインターチェンジが近いと、長距離移動を好む車好きにとっても魅力的です。普通の賃貸物件としては見向きされにくい郊外の土地でも、賃貸ガレージハウスとしてなら有効活用できる可能性があります。
加えて、賃貸ガレージハウスは長期入居につながりやすい点も見逃せません。
理由は主に3つあります。1つ目は物件そのものの希少性が高いこと、2つ目はガレージ内に自分好みの棚を置くなど「こだわりの空間」を作り込む入居者が多く、引っ越しのハードルが上がりやすいこと、3つ目は秘密基地のように作り込むほど空間への愛着が湧くことです。
ただし、前面道路が狭い住宅街や車の需要が低いエリアでは立地の影響を受ける場合もあるため、事前の需要確認は欠かせません。
2-2|車やバイク好き以外の人からも需要がある
賃貸ガレージハウス経営のメリットとして、幅広い層からの需要が挙げられます。車やバイクを愛する人はもちろん、大きな道具を保管するサーフィンやキャンプの愛好家、クリエイターのアトリエ、フィギュアのコレクター、ホームジムを求めるトレーニーなど、用途は多彩です。
防犯性が高いことから、高級車を保有する人やセカンドハウスとしての利用も多く、比較的富裕層が集まりやすい点も特徴です。ガレージは車1〜2台分のスペースが多いものの、使い道は人それぞれで、アイデア次第で広がります。趣味やライフスタイルを生活に取り入れられることが、賃貸ガレージハウスの大きな魅力です。
2-3|需要が供給を上回っている
賃貸ガレージハウスは、需要の高いエリアでは供給が限られており、募集が出ると早期に埋まるケースもあります。条件の合う物件は限られるため、入居希望者にとっては待ちが発生することもあります。この点からも、ガレージハウス経営はビジネスチャンスの時期だといえます。
田舎や郊外では、生活に不可欠な移動手段として車が重要な位置を占めるため、賃貸ガレージハウスを求める声が絶えません。車やバイクを趣味とする層にとっては、所有そのものがライフスタイルの一部であり、愛車を守りながら快適に暮らせる賃貸ガレージハウスは魅力的な選択肢です。供給不足は、土地オーナーにとって良質な入居者を選べる利点となり、高い稼働率と安定経営が期待できます。
2-4|賃料を高めに設定できる
賃貸ガレージハウス経営は、賃料を高めに設定しやすい点もメリットです。通常の戸建て賃貸とは一線を画す特別な空間を提供できるため、希少価値を賃料に反映させやすくなります。
とくに車やバイクに情熱を持つ層は、ガレージスペースの価値を理解し、高めの賃料でも納得して支払う傾向があります。こうした層は高級車や輸入車の保有率が高く、比較的富裕層が多い点も特筆できます。希少性を踏まえた賃料設定で、長期的な収益性を目指せます。
どの程度の賃料を設定できるかは、立地や物件の仕様によって変わります。具体的な金額を知りたい場合は、所有地の条件をもとにした試算を依頼すると、収益の見通しが立てやすくなります。
お持ちの土地で、どのくらいの収益が見込めるのか気になった方は、まずはお気軽にご相談ください。
3|賃貸ガレージハウス経営を検討する際の注意点
メリットの多い賃貸ガレージハウス経営ですが、検討時に押さえておきたい注意点もあります。主な注意点は次の3つです。
- 通常の住宅より建築コストが割高になりやすい
- エンジン音やシャッター音など、近隣からのクレームに注意が必要
- 固定資産税など節税効果の仕組みを正しく理解する必要がある
3-1|建築コストが割高になる
賃貸ガレージハウスは、通常の住宅より建築コストが割高になりやすい点に注意が必要です。広いガレージ空間を実現するための構造コストが高くなりがちなうえ、ガレージへシャッターなど特別な設備を設けるための費用も発生するためです。
車やバイクなど貴重な所有物を守るため、防犯性の高い電動リモコンシャッターを採用するのが一般的です。これらは設置だけでなく、長期にわたる保守点検も必要で、維持費が増えます。資金計画を入念に立てて対策することが大切です。コストを抑えたい場合は、初期投資だけではなく、運用コストまで含めて、総合的に検討するとよいでしょう。
3-2|近隣からのクレームに注意が必要
音の問題は、賃貸ガレージハウスの課題の一つです。入居者が愛車をケアする際のエンジン音やシャッターの開閉音が、ほかの住民にとって騒音トラブルの原因になりえます。
対策として、電動化された静かなシャッターの採用や、壁・窓の防音性能を高める工夫が有効です。夜間の出入りを制限するルール設定も役立ちます。計画段階での適切な防音対策と、ルールによる利用者管理が欠かせません。
3-3|節税効果の有無をしっかり考える
賃貸ガレージハウス経営では、節税効果の仕組みをオーナーが正しく理解しておくことが重要です。とくに固定資産税については誤解が多いため、専門家へ相談しながら確認するとよいでしょう。
まず押さえたいのが、土地に対する「住宅用地の特例」です。住宅用地のうち、1戸につき200㎡までの小規模住宅用地は、固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されます(出典2)。
賃貸ガレージハウスは、居住空間を備えた住宅として扱われる場合があるため、条件を満たせば住宅用地の特例や新築住宅の減額措置など、固定資産税の軽減対象となる可能性があります。
ただし、建物に対する「新築住宅の減額措置」は、適用期限や床面積の要件が定められています。床面積40㎡〜240㎡の要件を満たす新築住宅について、戸建ては3年間、3階建て以上の耐火・準耐火建築物などは5年間、120㎡相当部分までの固定資産税額が2分の1に減額される制度ですが(出典3)、最新の適用期限と自治体の運用を必ず確認する必要があります。
なお、賃貸ガレージハウスがどの制度の対象になるかは、建物の構造や床面積、用途の扱いによって異なるため、最終的な判断は税理士などの専門家に確認してください。
4|賃貸ガレージハウス経営は運用実績がまだ少ない
賃貸ガレージハウス経営は、運用実績がまだ少ないため、戸建てやアパートなど一般的な賃貸経営と異なり、ガレージハウスに特化した市場データが不足している点は、注意すべき点のひとつです。そのため、市場を探りながら経営方針を決める必要があります。
市場が成熟していない分、先を読むのは簡単ではありません。しかし、だからこそ市場に先駆けて成功するチャンスがあるともいえます。そのためには、綿密な計画と専門家との連携でリスクを抑えながら進めることが重要です。
■ ガレージハウス経営・アパート経営・駐車場経営の比較
| 土地活用の種類 | ガレージハウス経営 | アパート経営 | 駐車場経営 |
| 初期費用 | 高め(坪80万〜100万円目安) | 高め | 低め |
| 収益性(賃料単価) | 高くしやすい | 標準的 | 低め |
| 立地の影響 | 受けにくい | 受けやすい | 受けやすい |
| 差別化のしやすさ | 差別化しやすい | 差別化しにくい | 差別化しにくい |
| 空室時の影響 | 大きい | 中程度 | 小さい |
| 節税効果 | 見込める(住宅用地特例等) | 見込める | 限定的 |
| 向いている人 | 高単価な土地活用をしたい人 | 安定運用をしたい人 | 手間を抑えたい人 |
比較表で違いは整理できても、最終的にどの活用方法が向くかは土地ごとに異なります。自分の土地ではどれが適しているかを見極めたい方は、プロの診断を受けてみましょう。
5|多様化するニーズ|賃貸ガレージハウスの入居者層とは?
賃貸ガレージハウス経営の第一歩は、どんな人が入居者になりうるかを想像することです。代表的な入居者層は次の4タイプです。
- 車やバイクが好きな人
- アーティストやアート系の趣味を持つ人
- 本格的なトレーニングをしたい人
- 安心して子どもを遊ばせたい人
5-1|車やバイクが好きな人

入居者候補として真っ先に挙げられるのが車・バイクの愛好家です。彼らは愛車をより良い環境で保管することを求めています。賃貸ガレージハウスなら、ガレージ内でいつでもメンテナンスや整備ができます。
愛好家が所有する車は1台とは限らず、複数台かつ高級車であることも予想されます。盗難対策などセキュリティ面の不安を解消できる点も、入居者にとって大きな魅力です。
5-2|アーティストやアート系の趣味を持つ人

アーティストやアートが趣味の人には、賃貸ガレージハウスをアトリエとして使いたいというニーズがあります。住まいとアトリエが別だと、創作意欲が湧いたときにすぐ取りかかれず、ストレスにつながります。賃貸ガレージハウスなら、ひらめいたらすぐ創作に没頭できます。
車を駐車できる広いスペースは、大きな作品づくりにも向きます。多くの画材や道具、製作途中の作品を保管するのにも十分な面積です。
5-3|本格的なトレーニングをしたい人

24時間営業のフィットネスジムが定着する近年、本当の意味でのプライベートジムを持ちたいと考える入居者ニーズがあります。通常の住居では自重トレーニングやダンベル程度が限界です。
ガレージハウスなら、ベンチプレスはもちろん、スポーツジムにあるマシンも置けます。重りを置いても床がへこむことはなく、十分な広さがあるため生活の邪魔にもなりません。
5-4|安心して子どもを遊ばせたい人

働きながら子育てをする世代にとって、賃貸ガレージハウスは安心して子どもを遊ばせられる住環境になりえます。リモートワークが進んでも、在宅で仕事をしながら子どもの面倒をみるのは大変です。
目の届かない場所には行かせられないものの、子どもは広い場所で遊びたいものです。そんなときガレージが格好の遊び場になります。大きな遊具も入り、夏にはビニールプールも設営できます。幼い子どもを持つ人にとって、一つの選択肢になります。
6|失敗しない賃貸ガレージハウス経営の設計・施工とは?
賃貸ガレージハウスを設計・施工する際は、ターゲット層をきちんと想定することが大切です。検討の軸は次の3点です。
- 入居ターゲットをしっかり見極める
- ターゲットとコストのバランスを考える
- 想定されるクレームを設計に取り入れるか決める
6-1|入居ターゲットをしっかり見極める
入居ターゲットの見極めは、賃貸ガレージハウス経営でとても重要です。想定するターゲット層に応じて設計を最適化することが、空室リスクの回避と経営の安定につながります。代表的なターゲット別の設計の方向性は次のとおりです。
| ターゲット | 重視するポイント | 設計の方向性(具体例) |
| 車やバイクが好きな人 | 愛車の保護と快適なメンテナンス空間 | 大型輸入車も収まる広い車庫、出入りしやすい幅広の出入口、余裕ある天井高、シャッターによる防犯 |
| 創作活動がしたいアート系の人 | 汚れを気にせず作業に没頭できる環境 | 広い作業スペース、防水・防汚に強い床材、掃除しやすい壁材、たっぷりの収納 |
| トレーニング器具を置きたい人 | 自宅で本格的なワークアウトができるタフさ | 広い空間、振動を抑える床材、防音対策をした壁材 |
| 子どもの遊び場にしたい人 | 家族の気配を感じられる安全性と動線 | 居住スペースからガレージを見渡せるガラス張り、ガレージから直接室内へ入れる動線 |
6-2|ターゲットとコストのバランスを考える
ターゲットを想定した設計は大切ですが、コストに見合わなければ意味がありません。たとえば、車・バイク愛好家向けに特化した設計にしてしまうと、ほかの用途で使いたい入居者には響きにくくなります。ターゲット層の要望と、それにかかるコストのバランスを考えることが、長く続く経営のポイントです。
6-3|想定クレームを意識し、設計に取り入れるか決める
ターゲットの要望だけでなく、潜在的なクレームも意識しましょう。
具体的には、日当たりや風通し、周辺環境を踏まえた防音素材の使用などが挙げられます。立地の環境に最適な設計を考えることが、安定したガレージハウス経営につながります。
ここまで見てきたように、設計・施工の成否は立地条件とターゲット設定で大きく変わります。所有地に合った具体的なプランを描きたい方は、企画段階から専門家に相談すると失敗を防ぎやすくなります。
7|ガレージハウスの設計で意識しておくべき2つのポイント
ガレージハウス経営を検討するうえで意識したい設計のポイントは、大きく「設計面」と「設備面」の2つに分かれます。
- 設計面:広さのバランス、日当たり、寝室との位置関係、外壁、シャッター、換気
- 設備面:水回り、空調、防音、床・壁の素材
7-1|設計面で考えたいポイント
設計面では、ガレージと居住スペースの広さのバランスがもっとも重要です。広いガレージは魅力ですが、居住スペースも快適に過ごせる広さを確保する必要があります。両者の比率と機能性を把握し、ターゲットに合った設計を行うことが、高い利回りにつながります。
日当たりと風通しも快適性を左右します。居住部分を南向きに配置し、対面に窓を設けることで、採光と通風を確保できます。さらに、寝室とガレージの位置を離すことで、車の出入りによる騒音の影響を抑えられます。
外壁材も見落とせません。海岸近くや湿地帯など特殊な環境では、塩害や湿気に強く、汚れが落としやすい素材を選ぶと、長期的なメンテナンス費用を抑えられます。シャッターは電動リモコン式にすると、運転席からボタン一つで開閉でき、防犯面でも安心です。加えて、ガレージ奥に換気扇を設けるなど、排気ガスが居住スペースへ流れ込まない計画的な換気設計も必要です。
7-2|設備面で考えたいポイント
設備面では、ガレージと居住スペースの双方の快適性を両立させることが重要です。どちらか一方が不十分だと、物件全体の満足度に影響します。
たとえば、ガレージにシンクや温水設備を設けることで、空調設備は、温度だけでなく湿度管理にも寄与し、錆びやカビの抑制にもつながります。
また、防音・防振対策により騒音トラブルを防ぎ、床や壁に耐油性・防水性のある素材を採用することで、清潔さとメンテナンス性を両立できます。
■ ターゲット別|設計・設備で意識したいポイント一覧
| ポイント | 車・バイク好き | 創作活動 | トレーニング | 子どもの遊び場 |
| ガレージ・居住スペースの広さ | ○ | ○ | ○ | - |
| 日当たり・風通し | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 寝室との位置関係 | ○ | - | - | ○ |
| 居住スペースから見えるガレージ | ○ | ○ | - | ○ |
| 外壁素材の経年劣化対策 | ○ | ○ | - | - |
| 電動リモコンシャッター | ○ | ○ | - | - |
| 水回り対策 | ○ | ○ | - | ○ |
| 空調設備 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 防音設備 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 床・壁素材の汚れ・臭い対策 | ○ | ○ | - | ○ |
8|賃貸ガレージハウス経営を始めるまでにかかる費用とは?
賃貸ガレージハウス経営にかかる費用は、建築費だけではありません。設計費・調査費・その他の諸費用まで含めて把握することが大切です。主な費用は次の4つに分けられます。
- 建築費(地盤改良工事・建築本体工事・外構付帯工事など)
- 設計費(設計料・建築確認申請諸費用)
- 調査費(測量費・地盤調査費)
- その他(解体費・登記費用・各種税金・保険料など)
8-1|建築費
初期費用(建物にかかる費用)は、土地の状況に応じた地盤改良工事、ガレージと居住空間を作る建築本体工事、外構付帯工事などに分かれます。
たとえば、1棟2戸・延床約42坪を想定した場合、本体工事費は約3,500万〜4,500万円、総額は外構や地盤改良を含めて4,000万〜5,000万円程度が目安です(出典1)。坪単価に直すと、目安としておおむね80万〜100万円台になります。
ただし、仕様や土地条件などの要因で変動するため、一概にはいえません。さらに、新築住宅を供給する事業者に加入が義務づけられている住宅瑕疵担保責任保険に、10万〜30万円ほどかかります。
8-2|設計費
設計費は、設計者の経験やプロジェクトの複雑さで変わりますが、一般的に本体工事費の10%程度が目安です。加えて、建築確認申請諸費用として10万〜50万円ほどかかります。ターゲット層のライフスタイルに合わせた設計が求められるため、専門知識を持つ設計者の役割は大きくなります。
8-3|調査費
賃貸ガレージハウス経営を成功させるには、調査費にも目を向ける必要があります。調査費とは、敷地の状況や法的制約を踏まえた測量費、地盤調査費など、建設前に必要な調査の費用です。測量士の立会いのもと、土地の面積・地盤レベル・道路幅員などを明確にします。それぞれ10万〜50万円ほどが相場とされています。
8-4|その他
建築費・設計費・調査費のほかに、次のような費用が想定されます。資金計画ではこれらも見込んでおきましょう。
- 解体費用(既存建物がある場合)、印紙代、火災保険料
- 建物保存登記・抵当権設定の登録免許税、司法書士手数料
- 融資事務手数料、不動産取得税
9|賃貸ガレージハウス経営のランニングコストと投資回収
賃貸ガレージハウス経営では、建築時の費用だけでなく、運営開始後にかかるランニングコストと投資回収の考え方も重要です。あらかじめ把握しておくことで、自分の土地での収支をイメージしやすくなります。
- 運営開始後にかかる費用
- 電気代・防犯設備費・修繕費の負担
- 投資回収期間は建築費・賃料・空室率で変わる
9-1|運営開始後にかかる費用
運営開始後は、継続的な維持費がかかります。代表的なものに、シャッターや換気設備などのメンテナンス費用、共用部の電気代、防犯システムの運用費用があります。
これらは建物の規模や設備のグレードによって変わるため、収支計画に組み込んでおくことが大切です。維持費を見込まずに賃料収入だけで判断すると、想定より手元に残る利益が少なくなる場合があります。
9-2|電気代・防犯設備費・修繕費の負担
ランニングコストは、誰が負担するのかも整理しておきましょう。共用部のメンテナンス費用や修繕費はオーナー負担が基本です。
一方で、専有部分の電気代や防犯システムの利用料は、契約内容によって入居者負担にできる場合もあります。負担区分を契約時に明確にしておくと、運営開始後のトラブルを防ぎやすくなります。設備の故障に備え、修繕費を計画的に積み立てておくことも有効です。
9-3|投資回収期間は建築費・賃料・空室率で変わる
投資回収期間は、建築費・賃料・空室率の3つで大きく変わります。建築費が高く、賃料が低い、または空室期間が長い場合は、回収に時間がかかります。
逆に、高めの賃料を維持し、長期入居で空室を抑えられれば、回収を早めやすくなります。回収期間は立地や使用目的によって幅があり、一概にはいえません。自分の土地での回収見込みを知るには、条件を入力して試算する無料の収支シミュレーションを活用すると、具体的なイメージがつかめます。
建築費・賃料・空室率といった前提は土地ごとに異なるため、回収期間も一律では測れません。所有地の条件を入れて試算すれば、回収の目安が具体的に見えてきます。
10|ケーススタディ|立地や地形から適したガレージハウスを考える
自分の土地にガレージハウスを建てられるのか、疑問を持つ方も多いでしょう。ここでは3つのケースを挙げ、どんなガレージハウスが適切かを解説します。
一般的なアパート・マンション経営に不向きな土地でも、ガレージハウス経営なら活用できる場合があります。
10-1|ケース1:駅から遠いがバス通りが近い住宅街の土地
バス通りなど交通量の多い道路が近い場合、排ガスなどの臭い対策が必要です。脱臭機能のある換気扇を設け、排気方向を住宅地へ向けないなどの工夫で、トラブルを避けられます。
周辺の住宅密度によっては、騒音対策として鉄筋コンクリートの防音壁や防音シャッターの採用も検討します。
駅から遠い街道沿いは一般住宅地としては不便かもしれません。しかし、入居者は車やバイク移動が基本のため、主要幹線道路が近い立地はドライブやツーリングに出かけやすく、むしろメリットになります。
10-2|ケース2:賑やかな繁華街にほど近い小ぶりな土地

この立地では、シングルや子どものいない共働き夫婦が入居者として想定されます。土地が小規模なため建築総額は抑えられますが、坪単価は割高になりがちです。
周辺の利便性が高いので、外食が多い層ならキッチン設備は最小限でも不都合が少なく、浴室もユニットシャワー程度で足りる場合があります。
建物が密集する住宅地では、街並みにそろえたデザインが求められます。奇抜なものは避け、周囲の住環境に溶け込む外観にすることが大切です。
10-3|ケース3:坂道沿いにある傾斜地

傾斜地に建築する場合、平地より基礎工事の費用が増えます。整地費用に加え、車両の出入りや資材運搬にもコストがかかるためです。
平坦地と比べ、1.5〜2倍ほどのコストを見ておくとよいでしょう。
一方で、土地の段差を活かし、1階のガレージに車を入れ、坂を登って2階から直接住居に入るプランも考えられます。傾斜地ならではのユニークな構造は、他物件との差別化につながり、希少価値を生み出せます。
11|賃貸ガレージハウス経営についてよくある質問
ここでは、賃貸ガレージハウス経営に関してよく寄せられる質問に一問一答で答えます。
Q. シャッター付きの賃貸ガレージハウスの車庫に固定資産税はかかりますか?
A. 固定資産税はかかります。ガレージ部分も建物として固定資産税の対象です。ただし、居住部分があれば土地に「住宅用地の特例」が適用され、200㎡までは課税標準が6分の1に軽減されます(出典2)。
建築基準法上、車庫は延べ床面積の5分の1までを容積率の計算から除外できますが、これは固定資産税の課税対象から外れる制度ではありません(出典4)。容積率と固定資産税は別の制度として理解することが大切です。
Q. 駐車場経営と賃貸ガレージハウス経営では、収益性にどれくらい違いがありますか?
A. 駐車場経営と賃貸ガレージハウス経営では、初期費用や賃料単価、管理の手間に違いがあります。駐車場経営は初期費用を抑えやすく、比較的始めやすい一方で、1台あたりの賃料単価は限られやすい傾向があります。
これに対して賃貸ガレージハウス経営は、建築費などの初期費用がかかるものの、住居とガレージを一体で貸し出せるため、一般的な駐車場経営よりも高い賃料収入を見込める可能性があります。ただし、収益性は立地や建築プラン、周辺需要によって大きく変わるため、事前に収支シミュレーションを行うことが重要です。
Q. シャッター付きの賃貸ガレージハウスの減価償却はどうなりますか?
A. 建物部分は構造ごとに定められた法定耐用年数に応じて減価償却します。木造は短く、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は長くなる傾向があります。
減価償却は所得税・住民税の計算に関わるため、具体的な年数や金額は税理士など専門家へ確認すると安心です。
Q. シャッター付きの賃貸ガレージハウスの施工費はどれくらいですか?
A. 建築本体工事費の坪単価は80万〜100万円ほど(税込)が目安です(出典1)。
これに設計費(本体工事費の10%程度)、調査費(測量・地盤調査で各10万〜50万円ほど)、登記費用や各種税金などの諸費用が加わります。総額は規模や仕様で変わるため、見積もりを取って確認しましょう。
Q. 駅から遠い土地でもガレージハウス経営はできますか?
A. できる場合があります。入居者は車やバイク移動が前提のことが多く、駅近へのこだわりが比較的小さいためです。
幹線道路やインターチェンジに近い立地は、むしろ好まれる傾向があります。ただし、前面道路が狭い住宅街や車の需要が低いエリアは不向きな場合もあるため、事前の需要確認が重要です。
Q. ガレージハウス経営の利回りはどれくらいですか?
A. 利回りは立地・建築費・賃料・空室率などの条件によって変わるため、断定はできません。希少性を背景に高めの賃料を維持でき、長期入居で空室を抑えられれば、利回りは高まりやすくなります。
正確な見込みは条件によって異なるため、まずは無料の収支シミュレーションで自分の土地の数値を確認することをおすすめします。
固定資産税や利回りのように、最終的な答えが土地や条件で変わる項目も少なくありません。ここで解消しきれない疑問は、個別の状況を踏まえてプロに直接たずねるのが確実です。
まとめ
賃貸ガレージハウス経営は、一戸建てやアパート・マンション経営とは違う新しい土地活用です。収益性・設計・運用のいずれにおいても独自の考え方が求められますが、その分、他にはない付加価値を生み出せる点が大きな特徴です。
とくに、シャッター付きガレージ単体と比較すると、住居を備えた賃貸ガレージハウスのほうが収益性や節税面で活用の幅が広がります。本記事を読んでオーナーになりたいと感じた方は、賃貸ガレージハウス『プレミアムガレージハウス』を展開するフィル・カンパニーへご相談ください。プレミアムガレージハウスは、独自の入居待ち登録システムにより、新築物件や空室がすぐ早期に埋まりやすく、安定した賃貸経営につながりやすい点が特徴です。
所有する土地で賃貸ガレージハウス経営が成り立つか気になる方は、無料の相談・収支シミュレーション・現地調査・見積もり依頼をご利用ください。
※本記事は2026年4月時点の情報を基に執筆しております。
参考・出典
(出典1) プレミアムガレージハウス(フィル・カンパニー)/「賃貸ガレージハウスの建築費はいくらかかる?」建築本体工事費・坪単価の項/https://premium-garage.co.jp/magazine/230428b/
(出典2) 三井住友トラスト不動産/不動産用語集「住宅用地の特例(小規模住宅用地200㎡まで課税標準6分の1)」/https://smtrc.jp/useful/glossary/detail?n=305
(出典3) 国土交通省/「新築住宅に係る税額の減額措置」(床面積40〜240㎡要件・120㎡相当部分まで税額2分の1・一戸建て3年/マンション等5年・適用期限あり)/ https://www.mlit.go.jp/
(出典4) 建築基準法施行令第2条/車庫部分は延べ床面積の5分の1まで容積率算定の対象から除外(容積率の緩和と固定資産税の課税は別制度)/e-Gov法令検索/https://elaws.e-gov.go.jp/
垣内 典之
株式会社 PROPUP 代表取締役/一級建築士
石川県金沢市出身。千葉大学大学院修了(建築学)。建築設計監理からキャリアをスタート、環境性能に係る設計審査業務、企業不動産(CRE)戦略、ファシリティマネジメント(FM)コンストラクションマネジメント(CM)等を経験。建築・不動産・ITを横断的に繋げ、高次元のプロパティ・マネジメントを実現するべくPROPUPを設立。
