フィル・パークマガジン 狭小地の活用法を形や立地別にパターンで解説!【メリット・デメリットや法規制まで網羅】
狭小地の活用法を形や立地別にパターンで解説!【メリット・デメリットや法規制まで網羅】
活用が難しいとされる「狭小地」。土地を持っている、または新たに土地を相続したものの、活用方法がわからないとお悩みではありませんか。狭小地といってもさまざまで、アイデア次第では収益化も可能です。狭小地とはどんな土地を指すのか、またどんな活用法が考えられるか、定番の活用法に加えて、最新のトレンドも交えてご紹介します。
この記事のポイントを事前にチェック!
まず、この記事でポイントとなる事項を事前にチェックしていきましょう。
狭小地、狭い土地ごとの特徴
狭小地には以下のような種類があります。
- 正方形の土地
- 長方形の土地
- 三角形の土地
- 旗竿地
- がけ地
狭小地活用のメリット・デメリット
狭小地活用には下記のようなメリットがあります。
- 初期費用を抑えて活用を開始できる
- 税金対策になる
一方、以下のようなデメリットもあります。
- 単位面積あたりの建築コストが高くなる可能性がある
- 融資を受けにくい
- 法規制に注意が必要
狭小地活用パターンのご紹介
狭小地はさまざまな活用パターンが考えられます。
- アパート経営
- 駐車場経営
- コインランドリー経営
- トランクルームの設置
- 自動販売機の設置
- 証明写真機の設置
- コインロッカーの設置
- 宝くじ売り場
- 資材置き場
- 野立て看板設置
- シェアポート・ステーションの設置
- シェア畑
- キッチンカーなどによる販売場所
- カプセルトイの設置
- ワークスペースの設置
- 変わり種自販機の設置
狭小地活用における法規制とは
狭小地を活用するにあたっては、以下のような法規制に注意する必要があります。
- 用途地域
- 建ぺい率・容積率
- 防火規制
- 接道義務
ハイブリッドな狭小地活用法のご紹介
ハイブリッドな狭小地活用法のパターンには、以下のようなものが考えられます。
- パターン1 コインランドリー×自動販売機
- パターン2 資材置き場×野建て看板
- パターン3 駐車場×商業ビル
駐車場の上部空間をテナントビルとして活用するハイブリッドな土地活用をはじめ、これから先の中長期を見据えた勝ち組土地オーナーになるための土地活用ガイドブックをダウンロードできます。ハイブリッドな土地活用のノウハウについて知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
狭小地、狭い土地とは?
具体的な活用方法をご紹介する前に、狭小地の特徴を見ていきましょう。そもそも、狭小地とはどんな土地でしょうか。
狭小地とは、文字通り、広さが限られた狭い土地のことを指します。一般的には、幅員が狭く、奥行きのある長細い形状をした土地や、周囲と比較して際立って小さい土地を指してこの言葉を用います。
狭小地とはどれくらいの広さを指す?
狭小地は明確な基準を定められているわけではありませんが、一般的には20坪以下の土地を指すことが多いです。地方など、地域によってはもっと広い土地でも狭小地と捉えられることがあります。
都市部では、住宅やビルが密集しているため、狭小地が生じやすく、限られたスペースをいかに有効活用するかが重要な課題となっています。また、狭小地はその形状や面積の特性上、独自の設計やアイデアを要することが多く、建築の際には工夫が必要です。しかし、その一方で、狭小地ならではの魅力を活かしたユニークな建物や空間が生まれることもあり、注目を集めています。
狭小地の特徴
狭小地は、狭いということに加えて、三角形や旗竿地、がけ地など、不整形地であることも多いです。そのため建物を建てづらく、設計や構造上の工夫が必要になることもしばしばあります。また、隣接する建物との距離が近いので、プライバシーや採光の問題も考慮しなければなりません。
一方で、プライベートな空間を演出しやすく、一戸建て住宅や個性的な小規模住宅の立地として活用できる可能性があります。商業地域の一角にポツンと存在する狭小地なら、人通りの多さを活かした商業施設の経営も検討できるでしょう。
正方形の土地
正方形の土地は狭小地の中でも比較的利用がしやすい形状です。どの辺も均等な長さを持つため設計がしやすく、部屋の配置や動線の計画がスムーズに行えるというメリットがあります。また、正方形は美的観点からもバランスが取りやすく、デザインしやすい形状です。
しかし、狭い面積の中でどのようにスペースを有効活用するかは依然として課題となり、創意工夫が必要です。また、角地ではない限り、正面の間口が狭いことが多いのもデメリットです。
長方形の土地
長方形の土地は、間口が狭い場合と、奥行きが狭い場合の2パターンが考えられます。とくに間口が狭い場合は、注意が必要です。建築基準法では、接道義務といって「土地と道路は2m以上接していなければならない」と定められており、間口が2メートル以下の土地の場合、建物が建てられなくなります。一方、奥行きが狭い場合は問題なく建物が建てられますが、間取りの配置などを工夫する必要があります。
・奥行の長さ
奥行が長い土地は、一見すると狭く感じるかもしれませんが、その分、建物のプランニングにおいて柔軟性が増すこともあります。
たとえば、縦長の空間を利用して、メゾネットタイプの住宅を建てることが可能です。空間を上手く分割することで、限られた面積を最大限に活かす工夫の一つです。また、奥行があることで、建物と建物の間に中庭を設けることができ、緑豊かな空間を確保することも可能になります。
さらに、奥行のある土地は駐車スペースを確保しやすく、住宅としての機能を高めることができるでしょう。ただし、日照や通風の面で不利になることもあります。
・間口の広さ
間口とは「道路に面している幅」のことを指します。間口が広い土地は、道路に面している部分が長いため、視認性が高く、店舗や広告スペースとして活用することが考えられます。一方で、間口が狭い場合は、縦長の建物を建てることで、効率良くスペースを確保するなどの工夫が求められます。
三角形の土地
三角形の土地は一般的な四角い形状ではないため、設計に際して工夫が必要です。とくに角度が鋭角であるほどに、建物の配置やデザインに困難を伴うことがあります。限られたスペース内での動線計画や光の取り入れ方などを考慮する必要があるでしょう。一方、道路に面した一角が尖っていると視認性が高くなるなどのメリットもあります。
旗竿地
旗竿地とは、道路から細長いアプローチを介して奥に伸びた土地のことを指します。前面の道路から建物が見えにくいということは、裏を返せばプライバシーを確保しやすいということでもあります。静かな住環境を求める方には好条件となるでしょう。
ただし、「長方形の土地」の項目でも説明したとおり、接道義務を満たしているかどうか確認する必要があります。
がけ地
がけ地とは、土地の一部が急な傾斜になっていて、平坦な面積が限られている土地のことを指します。これまで住宅や商業施設の建設には不向きと考えられてきましたが、最近では建築技術やデザインが進化し、がけ地の特性を生かしやすくなってきました。他の平坦な土地と比べて視線が高く、開放感ある景観を楽しめるなどといった点です。
ただし、地盤の強化など、建築に際しては一定の条件を満たさなければならず、専門家との十分な打ち合わせが不可欠です。
立地
- 駅近
駅に近い狭小地はアクセスの良さが魅力です。徒歩圏内に駅があることで、人の流れが期待でき、小さな商業施設や単身者向けの賃貸住宅などのニーズが高いです。自動販売機の設置やコインロッカーの設置など、隙間を活用した収益化も考えられます。
- 住宅街
住宅街にある狭小地は、地域に根ざしたサービスを提供することで、地元住民からの支持を集めることが可能です。たとえばコインランドリーやトランクルームの設置などが考えられます。
- ロードサイド
ロードサイドに面した狭小地は、車の通行量を活かしたビジネスモデルが考えられます。野立て看板(ロードサイン)や駐車場は、初期費用もかからず、すぐに始められる土地活用法です。
狭小地でも上手な活用法はある?
土地の面積には物理的な限界があり、とくに都市部では狭小地が散見されます。しかし、活用方法がわからないからといって売却してしまうのは時期尚早です。狭小地を活用するメリットを見ていきましょう。
狭小地を活用するメリット
狭小地を活用する大きなメリットとして、「初期費用を抑えられる」「税金対策になる」ことが挙げられます。
初期費用を抑えて活用を開始できる
狭小地の土地活用を検討する上で、まず考えることの一つに初期費用があります。
広い土地ほど高額な初期費用がかかります。土地の購入費だけでなく、登記費用、測量費用、そして場合によっては地盤改良などの追加工事費用も含まれます。こういった費用は、土地の広さに比例して増大する傾向にあります。対して、狭小地では土地の整備や建設にかかる費用が安くなるため、初期費用を抑えられるというメリットがあります。駐車場や野立て看板のようなシンプルな活用法であれば、建築に必要な工事は最小限で済みます。
新たに土地を購入する場合も費用を下げることが可能です。資金調達に制限がある個人や中小企業にとって、初期費用の安さは大きな魅力といえるでしょう。
税金対策になる
狭小地の活用は、税金の節約という面でも非常に魅力的です。
税金は土地の広さに応じてかかるため、広大な土地を所有することが必ずしも賢明ではないこともあります。固定資産税や都市計画税は土地の価値や広さに応じて課税されますが、狭小地はその特性上、一般的な土地に比べて評価額が低くなりがちです。これにより、固定資産税が低く抑えられる可能性があります。
さらに、狭小地に建物を建てて賃貸事業を行うことで、所得税の節税にもつながります。賃貸事業を行うことで得られる家賃収入は所得として計上されますが、建物の減価償却費やローンの利子、管理費などの経費を差し引くことができるため、実質的な税負担を軽減することが可能です。また、相続税対策としても有効であり、狭小地に適した小規模な賃貸物件を建てることで、土地の評価額を下げることができるため、相続税の負担を減らすことができます。都心部や駅近くなどの立地条件が良い場所は土地の価格が高騰しやすいため、狭い土地であっても、上手く利用することで収益化が望めるでしょう。狭小地だからといって活用を諦めて売却してしまう前に、一度、専門家に相談することをおすすめします。
狭い土地を活用するデメリット
一方、狭小地を活用する際にはデメリットも存在します。
建築コストが割高になる可能性もある
狭小地は、建築面積がそもそも小さく、初期費用を抑えられる傾向にありますが、一般的な土地に比べて面積あたりの建築コストが割高になるケースもあります。
たとえば、狭い敷地向けの重機や仮設足場の使用、特殊な構造の採用、隣接する建物との間隔を保つための技術的な工夫などが挙げられます。
光を多く取り入れるための特殊な設計や、限られたスペースに収納を多く取り入れるなど、狭小性と機能性を両立させる設計にした場合、特殊な構造になり、高額になることもあります。
融資を受けにくい
狭小地活用を考える際、頭を悩ませるのが融資の問題です。一般的に、銀行は担保価値が高く、流動性のある不動産に対して融資を行いやすい傾向にあります。その点、狭小地は建築に制限が多く、活用方法が限られることから、担保価値が低く見積もられがちです。さらに、狭小地は一般的な市場での需要が少なく、売却しにくいという点も銀行の融資判断に影響を与えます。そのため、多くの金融機関では狭小地に対する融資のハードルが高く設定されており、融資を受けるためには通常よりも高い自己資金が必要になることがあります。
しかし、融資を受ける際のコツやポイントを押さえることで、狭小地に対する融資の可能性を高めることができます。たとえば、狭小地を活用した独創的な建築計画を持ち込むことで、担保価値を高めるアプローチができるかもしれません。また、地域の再開発計画など、将来的な価値上昇が見込める情報を金融機関に提示することも有効です。
法規制に注意が必要
狭小地に建築を行う際には、建築基準法をはじめとする各種法規制に注意を払う必要があります。
建築基準法における容積率や建ぺい率はもちろんのこと、日影規制や高度規制など、さまざまな規制が存在します。とくに狭小地は限られたスペースの中で計画を進めるため、これらの法律を熟知していないと計画が頓挫する可能性があります。
法規制は地域によって異なり、時には特別な条例が設けられている場合もあるため、狭小地の活用を考える上では、法規制をきちんと事前に確認した上で建築に臨む必要があります。法規制を遵守しつつ、狭小地の最大のポテンシャルを引き出すには、専門家の助言が不可欠です。土地の特性を踏まえた適切なプランニングや、法規制内での最適な設計は、思いもよらない価値を土地に生み出すことができるでしょう。ともすると、逆転の発想で、この法規制を生かした建築アイデアが生まれるかもしれません。
狭小地の活用
それでは、以下で実際に狭小地の活用方法を見ていきましょう。
自身で経営する方法と土地を貸す方法
狭小地を活用する際には、自身で経営する方法と土地を貸す方法があります。
自身で経営する場合はコントロールが利きやすく、ビジョンに合わせた事業を展開することができます。対して土地を貸す方法は、手間がかからず安定した収入が見込める反面、土地の活用方法に関しては借主側に委ねることになります。
どちらの方法にも一長一短があり、土地の立地や状況、オーナーの状況によって最適な選択肢は異なります。
これまで多く活用されてきた方法
以下ではこれまで多く活用されてきた土地活用の方法について、それぞれメリットとデメリットを紹介します。
アパート経営
アパート経営は、狭小地であっても、工夫次第で効率的にスペースを活用できるため、都市部や人口密集地域ではとくに人気があります。アパート経営には、その立地や形状に応じた綿密な計画が必要です。たとえば、長方形の狭い土地であれば、縦長のデザインを活かした配置を考えることで、使い勝手の良い住居空間を確保することが可能です。また、角地の場合は、開放感を出しつつ、採光や通風を考慮した設計が重要となります。
アパート経営のメリットは、入居者からの賃料収入が見込める点です。これにより、安定したキャッシュフローを生み出し、長期的に資産を形成することができます。加えて、土地の権利を保持したまま資産価値を高めることができるのも大きな利点です。
一方、デメリットには、空室リスクや、建物の老朽化によるメンテナンスコストの増加があります。また、法規制により建築可能な建物の規模に制約があるため、収益性を最大化するためには詳細な市場調査と計画が不可欠です。
アパート経営を検討する際には、地域性やターゲット層を把握し、競合との差別化を図ることが成功の鍵となります。たとえば、一人暮らしの若者をターゲットにする場合、駅へのアクセスの良さや、コンパクトで機能的な部屋作りが求められるでしょう。
- 向いている土地
正方形、長方形を含む方形が向いています。とくに、長方形は計画がしやすいというメリットがあります。
アパート・マンション経営はポピュラーな選択肢ですが、所有している土地を最大限活用するには、しっかりと経営のロードマップを作ることが大切です。下記資料で詳しく解説していますので、あわせてこちらもご覧ください。
駐車場経営
駐車場経営では、都市部や人口密集地域でとくに需要が高い特徴があります。駅前の立地やオフィス街、商業エリア、商店街、住宅街などでは狭小地であっても駐車場として活用可能。土地の形状に応じた設計を行い、限られた面積でも最大限駐車スペースを確保することで、高収益を目指せます。また、コンパクトな自動車専用の駐車場にすることで、スペースの制約を受けずに運営が行える場合があります。
駐車場経営は、アパート・マンション経営やテナントビル経営のように建物を建てる必要がないため、初期投資を低く抑えられるというメリットがあります。また、メンテナンス費用もさほどかからないため、ローリスクで始められる土地活用といえるでしょう。
また、転用性に優れているので将来的に売却する予定がある場合や、別の事業を展開する予定がある場合など、一時的に駐車場を経営するという選択肢も考えられます。
ただし、建物を建てた際に受けられる固定資産税の軽減措置は受けられません。同じ土地で建物を建てた場合と、何も建てない場合では、後者のほうが税金の負担が大きくなります。
また、2階建て、3階建てと上に階数を積んでいくことができない分、土地の利用効率は低く、収益にも限界があります。
- 向いている土地
接道している場合にしても、駐車スペースへ至る車路を設ける場合にしても、方形(正方形、長方形)が適しています。
コインランドリー経営
コインランドリーは設置に必要なスペースが比較的少なく、限られた土地でも効率的に運営することが可能です。
コインランドリー経営の大きなメリットは、24時間365日稼働させることができ、定期的な収入が見込める点です。また、自動運転型のビジネスモデルであるため、人件費を抑えつつ運営が可能です。近年では、洗濯だけでなく乾燥や折りたたみサービスを提供するなど、付加価値を高めることで利用者の増加を図る例も増えています。
しかし、注意すべきデメリットも存在します。コインランドリー設備の初期投資は決して安価ではなく、設備のメンテナンスや修理にもコストがかかるため、慎重に収支計画を立てる必要があります。また、競合他社との差別化が難しく、集客を工夫しなければなりません。
コインランドリー経営を成功させるには、立地の良さが一つの鍵となります。とくに、住宅街の場合は、家庭用洗濯機を持たない単身者や、布団や毛布などを洗いたい人、多忙で洗濯にわずらわしさを感じる人などに対してアピールすることで、地域住民から指示を得やすくなります。また、最新鋭の洗濯機や乾燥機を導入し、利便性の高さを訴求することも大切です。
- 向いている土地
方形(正方形、長方形)が適しています。
トランクルームの設置
トランクルームは、限られたスペースを最大限に活かすことができます。
都市部においては収納スペースの不足がつねに問題となっています。手狭なアパートやマンションに住み、季節物の衣類や趣味の道具など、普段使わない物を安全に保管する場所に頭を悩ませている方も少なくありません。立地によっては大きな需要が見込める場合があり、狭小地でも十分に活用できます。
トランクルーム経営のメリットは、比較的低リスクであることに加え、建設コストがアパートなどの住居施設を建築するよりも抑えられる点です。また、トランクルームは居住用途ではないため、建築基準法における厳格な規制を受けにくいという特徴もあります。引っ越しなどしない限り、継続して利用してもらえる可能性が高く、安定した収益が見込めるでしょう。
一方で、セキュリティ面には注意が必要です。利用者の品物を預かる以上は、防犯カメラなどセキュリティシステムを導入し、安心して利用できる環境を整備する必要があります。また、品物を傷めず保管するために、空調設備の設置を求められることもあります。
- 向いている土地
方形(正方形、長方形)が適しています。
自動販売機の設置
狭小地の有効活用として、自動販売機の設置はポピュラーな選択肢です。
面積が限られている場所でもスペースを最大限に活用でき、比較的低い初期投資で始められるため、小規模な土地活用をしたい方におすすめです。
自動販売機の種類も飲料から日用品、軽食まで多岐にわたり、立地に応じた商品のセレクトが可能です。例えば、オフィス街ではエネルギードリンクや軽食を、観光地では地域の特産品など珍しいものを取り扱うことで、ターゲットとする消費者のニーズに合わせたサービスを提供できるでしょう。
また、自動販売機は24時間営業が可能であり、土地オーナーが別の事業に専念しつつ収入を生み出すことができる点がメリットといえるでしょう。ただし、自動販売機の管理には電気代やメンテナンス費用などのランニングコストが発生するため、これらのコストと収益をしっかりと計算に入れた上で事業計画を立てる必要があります。また、競合の自販機が周辺に多い場合は、差別化を図るためのアイデアも必要になります。
- 向いている土地
視認性が大事ですので、道路に長く接した敷地が適しています。
証明写真機の設置
証明写真機は、限られたスペースでも始めやすい事業の一つです。人の出入りが多いエリアでは証明写真の需要は絶えません。
たとえば、駅の近くや学校の周辺、繁華街の小さなスペースなど、人通りの多い場所で需要を捉えることができます。
また、つねに最新の機種を導入することで、クオリティの高い写真を提供し、リピーターを獲得することも可能です。たとえば、顔認識技術によるポージングアシストや、照明の自動調整など、次々と新しい技術が導入されています。
また、証明写真機自体がコンパクトなため、土地の形状を選びません。正方形、長方形、三角形、旗竿地、がけ地など、それぞれの狭小地に適した設置方法が考えられるでしょう。
- 向いている土地
ブースが置ければ敷地形状は問われませんが、視認性が重要なため、旗竿地などは避けたほうが良いでしょう。
コインロッカーの設置
都市部の駅周辺や観光地の近くでは、一時的に荷物を預けたいというニーズが高く、コインロッカーは限られたスペースでも始めやすいビジネスといえます。とくにコロナ禍後はインバウンドの流入が増加しており、地方の観光地でもコインロッカーの需要が高くなっています。
比較的少ない初期投資で済み、手間のかからない運営が可能な点が大きなメリットです。
一方で、セキュリティ面に配慮する必要があります。たとえば、不正使用防止策として、24時間監視カメラを設置するといったことです。また、利用者がスムーズに利用できるように、現金だけでなく電子マネーにも対応したシステムを導入していく必要があるでしょう。
- 向いている土地
証明写真機と同じく、ブースが置ければ敷地形状は問われませんが、視認性が重要です。旗竿地などは避けたほうが良いでしょう。
資材置き場
建設業者が建設を行う際に、一時的な資材置き場を必要とされることがあり、狭小地を貸し出すことが可能です。更地でも始められるため、初期費用が一切かからないことと、契約解除が容易であることがメリットです。
ただ契約期間は工事期間のみであり、つねに需要があるわけではありません。また、収益性も高くないため、一時的な活用を考えている人に適した方法であるといえます。
- 向いている土地
置く資材にもよりますが、基本的に形状は問われません。
野立て看板設置
手軽に土地活用を始めたい人にとって最適なのが、野立て看板(ロードサイン)の設置です。交通量の多い幹線道路沿いや、駅前の狭小地など、人目につきやすい場所が向いています。
初期費用はかかりませんが、自治体によって広告物の条例が異なるため確認が必要です。また、4メートルを超える大型のサインは工作物と見なされるため、審査が必要です。
駐車場やトランクルームなど、他の土地活用とあわせて運用するのも良いでしょう。
- 向いている土地
看板のサイズや構造にもよりますが、基本的に、敷地形状は問われません。視認性がもっとも重要です。
令和らしさのある活用方法
時代の変化とともに、狭小地の活用方法も進化しています。住まい方や働き方が多様化する中で、狭小地は新しい可能性を秘めた原石のような存在です。限られたスペースに新たな価値を見出し、人々の生活に豊かさをもたらす狭小地活用法は、これからの時代においてますます重要性を増していくでしょう。
ここでは、近年登場した新しい土地活用方法を見ていきましょう。令和らしさのある土地活用法として、SNSなどで話題になった際の集客を期待できる点があります。
下記資料では、狭小地はもちろん、アパート・マンションを建てた後にできるスキマを活用した最近の活用術をご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
シェアポート・ステーションの設置
令和の時代に相応しい活用方法として注目されているのが、「シェアリングエコノミー」のサービス拠点とする方法です。
シェアリングエコノミーとは、消費者同士で必要なものを共有したり提供したりするビジネスモデルのことです。シェアリングエコノミーが普及した背景には、モノを所有することより、体験やサービスに価値を感じるという消費行動の変化が関わっています。
自転車や自動車を所有せず、必要なときだけ借りる「シェアサイクル」や「カーシェアリング」もその一例です。
狭小地の活用方法として注目されているのが、このシェアサイクルを貸し借りする拠点となる「シェアポート・ステーション」の設置です。
ポートがある場所ならどこでも貸し借りでき、たとえば行きは徒歩で帰りは自転車を使う、ビジネスで訪れた場所で利用する、または電車で遊びにいって現地では自転車で移動するなど、フレキシブルな使い方が可能です。都市部に住んでおり、自転車の保管スペースに悩んでいる方の間でも需要が高まっています。日本では2005年ごろに試験的な導入が始まって以来、年々全国に拡大しており、現在では全国269都市で導入されています。
自転車や電動キックボードを停められるスペースさえあれば良いため、狭小地や変形地でも活用できる他、アパート・マンションやテナントビルの余剰スペースを活用するといった方法も考えられます。
(出典:国土交通省「シェアサイクル事業の導入・運営のための ガイドライン」国土交通省「シェアサイクルに関する現状と課題」)
シェア畑
農園と聞くと、自然豊かな田園風景に囲まれた広々とした土地を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、最近では、都市部においても農業が注目されています。限られたスペースを有効活用し、地域コミュニティに新鮮な野菜やハーブを供給するシェア畑は、持続可能な土地活用の新たなモデルです。
もともと遊休農地で行われていましたが、最近ではSDGsやESGへの関心の高まりから、宅地や企業が所有する土地での開設も増加。現在では東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県の首都圏と関西を中心に、120以上の農園が展開されています。
農地ではない土地における土壌改良などの知見が蓄積されてきたこともあり、ビルの屋上や空き地など、都市部においても活用できる数十平米のスペースがあれば小さな畑を作り出すことが可能です。
このような取り組みは、地域住民の間での協力を促し、共同で作業を行うことで、人と人との絆を深める交流の場としての役割も果たします。
また、シェア畑は都市の緑化にも寄与します。緑豊かな畑が点在することで、都市の景観は向上し、住民にとっては心の潤いとなるでしょう。
キッチンカーなどによる販売場所
キッチンカーによるモバイル販売は、従来の店舗経営に一石を投じるビジネスモデルとして注目されています。2020年初頭、新型コロナの影響でテイクアウトの需要が高まる中、低コストでテイクアウト専門の店舗を始められるとして脚光を浴びたのがキッチンカーです。市場規模はコロナ以前から拡大傾向にあり、東京都におけるキッチンカーの営業許可は、平成元年から比較すると令和2年度の時点で約8倍にもなっています。
キッチンカーは高額な賃料を支払う必要がなく、小規模ながらも独自性を追求したメニューで顧客を惹きつけることが可能です。たとえば、オーガニック素材にこだわったバーガーショップ、地元の食材を活かしたクレープ屋、エスニック料理を提供するタコススタンドなど、多種多様なコンセプトが実現できます。
このようなキッチンカーが販売する場所として狭小地を利用する方法もあります。
土地さえあればすぐに貸し出すことが可能で、オーナー側の出費はほぼありません。繁華街やオフィス街など、人通りや車通りの多い場所であれば需要が見込めるでしょう。
ただし、人通りが少ない場所では集客が難しく、利用者が定着しない恐れがあります。その場合でもキッチンカーはすぐに撤退でき、土地オーナー側にもとくにリスクはありません。
カプセルトイの設置
子どもから大人まで幅広い世代に親しまれているカプセルトイ。狭小地にガチャガチャマシンを設置することで、空いている土地を有効に活用できます。
わずかなスペースで始められる上に、専門の知識や大きな資本が不要なため、初心者にも手軽に始めやすいビジネスモデルです。デザインに工夫を凝らして目を引けば、地域の人々の足を止める楽しいスポットとなることでしょう。
一般社団法人 日本カプセルトイ協会によれば、2023年度の時点で、製造元出荷ベースでの市場規模は約 1,150 億円。2022年度の720臆円から159.7%の急成長となっています。その背景には、日本人の手先の器用さの象徴ともいうべきミニチュア文化が世界で注目され、外国人観光客の間で人気が高まっていることもあるようです。
カプセルマシンは1台から設置可能で、電気も必要ないため場所を選びません。運用形態には、カプセルトイの補充やメンテナンスを業者に依頼する業務委託と、ガチャマシンを購入する買取があります。
単価が300~500円程度のため大きな収益は望めませんが、店舗経営に売り上げをプラスアルファでき、何よりも利用者にちょっとしたわくわくを提供できるのが魅力です。
ワークスペースの設置
働き方の多様化とインターネット環境の普及にともない、オフィス以外の場所で仕事をするニーズが高まっています。そのため、狭小地にワークスペースを設置することのメリットは数多くあります。
第一に、土地の立地条件が良ければ、通勤や商談の拠点となり得ます。また、コンパクトな空間を有効活用することで、コストを抑えつつも働くための必要最低限の機能を確保することが可能です。
さらに、固定のオフィススペースを持たないフリーランスや起業家にとっては、プライベートな空間として、またクライアントとのミーティングスポットとして活用できます。
しかし、狭小地にワークスペースを設計する際には、いくつか注意点が必要です。限られたスペース内で快適な環境を整えるためには、狭い空間での換気や採光、騒音対策などの問顳を解決するための工夫が必要です。また、小規模ながらもビジネスを行う場所であるため、安全性やプライバシーの確保、法規制への対応など、細かな配慮が求められます。
変わり種自販機の設置
他にはないユニークな土地活用法として、変わり種自販機の設置があります。
日本国内の自動販売機の普及台数は、2021年末時点で約270万台。自販機と聞くと飲料を思い浮かべるかもしれませんが、最近では、食品、地域の特産品やオリジナルグッズなど、ユニークな商品も増えています。生産台数の9割を占める飲料用は2012年をピークに減少傾向にありますが、一方で、食品や日用品などは増加傾向にあります。
変わり種自販機のインパクトのあるビジュアルは、広告塔となる可能性も秘めています。珍しい自販機がSNSで“バズ”れば、そのエリアの集客を高めてくれるでしょう。24時間稼働する自販機は人件費を削減できるため、経済的なメリットも大きいといえます。しかし、変わり種自販機を設置する際には、設置する地域に商品のターゲットとなる層が存在しているか見極めることが重要です。また、商品の補充やメンテナンス、売上管理などの運営コストも考慮する必要があります。
ハイブリッドな活用法
とくに都市部においては限られた空間の中で最大限の価値を生み出すための知恵が必要とされています。とりわけ、狭小地においては、一つの用途に限定するのではなく、複数の用途を組み合わせる「ハイブリッドな土地活用」が注目されています。たとえば、コインランドリーと自動販売機の組み合わせは、相乗効果を生み出す収益モデルとして有効です。また、資材置き場と野立て看板を組み合わせることで、広告収入を土地の維持費用に充てることができます。さらに、駐車場の上部空間を利用した商業ビル経営という戦略的な土地活用の例もあります。こういったハイブリッドなアプローチにより、限られたスペースでも収益性を高めることが可能になります。
・パターン1 コインランドリー×自動販売機
コインランドリー×自動販売機は、限られたスペースを有効に使いつつ、2つの異なる収益源を確保するハイブリッドの典型的な例です。
コインランドリーは、住宅の狭小化や単身世帯の増加に伴い需要が高まっており、とくに雨天時や夜間に利用者が集中する傾向があります。一方で、自動販売機は24時間稼働し、ランドリー利用者だけでなく通行人からも収益を得ることができます。この2つは非常に相性が良く、日中から夜間にかけて安定した収益を見込むことができ、土地の収益率を上げることができます。コインランドリーの待ち時間に自動販売機の飲料を購入するなど、相互に顧客を誘導することで、一層の収益アップが期待できます。最近では、自販機の種類はジュースやお酒に限らず、食品や生活雑貨、書籍・雑誌など、バリエーションが豊富です。利用層に応じて使い分けるといいでしょう。
・パターン2 資材置き場×野建て看板
資材置き場は、使用頻度の高い資材や機材を保管するためのスペースとして、都市部ではとくに需要があります。しかし、この用途だけでは収益性が限られてしまうことが多いため、野立て看板を併設することで広告収入を得ることができます。看板は高い視認性を確保するために道路に面した位置に設置されることが多く、この特性を活かして資材置き場の隣に設置することにより、土地所有者は広告主からの収益を得ることが可能になります。これにより、土地の収益性を高めるだけでなく、資材置き場を利用する企業にとっても便利な立地条件を提供することができます。
・パターン3 コインパーキング×商業ビル
狭小地の活用法として注目されているのが、コインパーキング×商業ビルのハイブリッドです。もともとコインパーキングを経営している場合、その上部空間を利用して商業ビルを建設する土地活用方法。コインパーキングの収益はそのまま残しつつ、上にフロアを積み重ねることにより、テナント賃貸という新しい収益源が生まれ、収益を最大化できます。
土地活用を考える際には、収益性の向上が重要なポイントです。とくに狭小地の場合、限られた面積をいかに効率よく活用するかが成功のカギを握ります。コインパーキングと商業ビルを組み合わせることで、コインパーキングからの安定した収入と、商業施設による賃料収入の両方を見込むことができます。また、地域の需要に応じてテナントの選定を行うことで、地域に魅力的な空間を創出し、長期的な賃料収入の安定化と地域貢献を両立ことができるでしょう。
所有している土地で最大限の収益を生み出すためにも、専門家の意見を参考にすることをおすすめします。売却を検討する前に、ぜひ一度フィル・カンパニーへご相談ください。
狭い土地を活用する際に知っておきたい法規制
狭小地を最大限に活用するためには、土地にかかる法規制を踏まえた上で、どのような建築が可能かを検討する必要があります。以下で解説します。
用途地域
用途地域とは、都市計画に基づいて、住居専用地域や商業地域など土地の使い方を定めたエリアのことです。狭小地を活用する際には、その土地がどの用途地域に指定されているかを確認することが不可欠です。
例えば、住居専用地域では商業施設の建設ができません。また、地域によっては高さ制限が設けられているケースもあります。
建ぺい率・容積率
「建ぺい率」とは、土地の面積に対する建物の建築面積の割合のことで、この数値が高いほど広い面積に建物を建設することができます。一方で「容積率」は、土地の面積に対する建物の延床面積の割合を表し、建物の規模を決める上での重要な指標となります。
これらの率は用途地域によって異なるため、計画を進める前に精査することが求められます。
防火規制
狭小地は周囲の物件との距離が近く、火災時の延焼リスクが高まるため、厳しい規制が設けられることがあります。建築予定地が防火地域や準防火地域に指定されている場合、外壁や開口部の材質に制限がかかるなど、建築物の仕様が厳しく規定されており、安全性と利便性を兼ね備えた建築計画が求められます。
接道義務
接道義務とは、「幅員4メートル以上の前面道路に、敷地が2メートル以上接していなければ原則建築物を建てられない」と義務付けるもので、道路に面していない土地では建築許可が下りない場合があります。狭小地の場合、道路が接していないことも多いため、事前に確認することが重要です。接道状況によっては、土地の形状を変更するなどの対策が必要になることもあります。
まとめ
活用法がわからずに売却を考えていた土地でも、フィル・カンパニーの専門知識と豊富な経験により、可能性を引き出すことが可能です。ぜひご相談ください。
垣内 典之
株式会社 PROPUP 代表取締役/一級建築士