空中階だからこその眺めと空間。
思い描いたとおりの地域密着型“隠れ家風レストラン”が実現しました。

地域密着を目指していたので、最初は地元横浜で物件を探していました。しかし、選択肢が東京ほど多くなく、お店の入れ替わりも少ないために、なかなかいい物件が見当たりませんでした。そこで、かつて代官山で働いていた頃のお客様が多く住んでおられるエリアを候補地に探してみたところ、代官山に隣接する目黒区青葉台にフィル・パークを見つけました。駅前などの人が多いエリアではなく、落ち着いた雰囲気の立地で地域密着型の店舗を目指していたため、大通りから一歩入った、住宅街の中にあるフィル・パークは理想的な物件だと思いました。

窓が大きくて、採光性が良いところは、かなり気に入りました。陽当たりが良くてとても気持ちがいいので、お客様がいなくてもこの空間にいるのが好きです。きっとお客様もそう感じているだろうなと思っています。窓から空がよく見えて、景色がいいのも魅力ですね。
3階だとお客様が入りづらいという指摘はありましたが、僕はそれを逆手にとってプラスに考えました。飲食店の利益率を考えると、目黒区のような家賃の高い立地では難しいもの。「飲食店＝路面」という時代は、変わってきています。あえて空中階に店を構え、“隠れ家”のような印象づけをして、敷居を上げることで、客単価も上げられます。路面店よりは入りづらいですが、知る人ぞ知る店という感覚で、こだわりのある地元の大人世代に落ち着いて利用してもらえるお店にできました。

地域密着の方針で営んでいるので、基本顧客層はご近所の方です。それに加えて、開店から6年が経つ中でリピーターや常連さんも増えてきました。毎日のように来られる方から半年に1回という方までさまざまですが、ありがたいことに日々たくさんのお客様にご来店いただいています。落ち着いた40代ぐらいのお客様がメインですが、最近は外国人の方も増えました。ランチになると、子ども連れの方や20代の若い方もいらっしゃいますよ。

これからの時代、飲食店は世界観がすごく大事になってくると思います。店で働く人たちも世界観がないと生き残っていけない。物件も当初は居抜き店舗を探していましたが、やはり一回壊さなければ自分たちの世界観をきちんと作り上げることができません。そう考えるとイチから作れるスケルトンはとても魅力的でした。
お店は木材とアイアン（鉄材）を使ったアメリカンスタイルをテーマにしました。テーブルと椅子はオーダーメイド。壁を塗ったり、棚を作ったり、ドアに木を貼ったり、内装はDIYで造りました。やはり木の質感はいいですね、開店から６年を経て色味が変わってきて、味が出てきました。また、「四角形」を基調とした家具やインテリアも自分なりのこだわり。テーブルも椅子も四角。丸みは入れない。四角に統一することで、お店の中が直線的でスッキリするんですよ。誰も気づいてくれないですが、自分の中のルールとして決めています。スケルトンで入れたからこそ、こんな風に僕たちなりの世界観をとことん表現できたのだと思います。