HOMEフィル・パークマガジン「人生が変わるほどの空間をデザインする」——illi Stays(イリー ステイズ)がフィル・パークと描く、妥協なきホテルデザインの裏側

「人生が変わるほどの空間をデザインする」——illi Stays(イリー ステイズ)がフィル・パークと描く、妥協なきホテルデザインの裏側
今回インタビューさせていただいたのは、フィル・パーク中野、フィル・パーク新宿三番街Ⅱにご入居のグループ滞在・中長期滞在に特化したホテルブランド「illi Stays(イリー ステイズ)」を運営する株式会社BARE NOTE STUDIO(以下、BNS) 代表取締役 黒木様です。
「人生が変わるほどの空間をデザインする」
——このビジョンのもと、ホテルの企画・設計・デザイン・運営まで一貫して手がける黒木様を代表とするBNS。
2026年2月、フィル・パーク新宿三番街Ⅱにオープンした「illi Nuto Shinjuku」 にて、創業の原点から事業への想い、フィル・パークを選んだ理由、そして世界を見据えた展望まで、じっくりとお話を伺いました。

下北沢のシェアハウス体験から始まったBNSの挑戦
創業のきっかけや、現在の事業内容を教えていただけますか?
創業は2017年です。すべての原点は下北沢のシェアハウスにあります。そこは、グラフィックデザイナー、スタイリスト、料理家、インテリアデザイナーなど、多彩な才能と遊び心を持つクリエイターたちが30人も集まる場所でした。
毎晩のように仲間たちと食卓を囲み、互いの夢や価値観をぶつけ合いながら刺激し合う。そんな日々を過ごすうちに、「空間ひとつで、人の人生や価値観はこんなにも劇的に変わるんだ」ということを肌で感じました。
ただ屋根と壁がある箱ではなく、そこに集まる人、流れる空気、そして意図されたデザインが合わさったとき、誰かの人生を一歩前に動かす力が生まれる。
「この豊かな時間や、人生を変えるような出会いを、もっと多くの人に届けたい」 その実感が、現在の事業の根幹になっています。
私たちのビジョンは、「人生が変わるほどの空間をデザインする」 こと。
私たちがデザインする空間を通じて、誰かの人生が一歩でも良い方向へ動きだすこと。そんな思いで日々事業に向き合っています。
実は、今の取締役3名全員がそのシェアハウスの出身なのです。あの場所がなければ、BNSも、illiも、きっと存在していませんでした。

株式会社BARE NOTE STUDIO(以下、BNS) 代表取締役 黒木様
Booking.com9.1点の満足度。無人運営 illi Staysが追求する「心に触れるホスピタリティ」の正体
「illi Stays」は、なぜグループ向けに特化しているのか含めて、ブランド設立の背景を教えてください。
2018年の民泊新法の施行で民泊規制が厳格化され、グループで泊まれる宿が一気に減少しました。
でも、私たちは「家族、友人との思い出、仲間との時間」そういう「複数人で過ごす豊かな時間・空間」こそが、人生を変える体験を生むと確信していました。
そこで、2020年東京オリンピック後の市場変化も見据え、民泊のような自由度とホテル以上の特別な体験を両立させるブランドとして「illi Stays」を立ち上げたのです。
「無人運営」でありながら、高いゲスト満足度はどのようにして実現しているのでしょうか?
私たちのホテルは無人チェックインを基本としています。お客様は20代〜40代のデジタルネイティブ層が中心ですので、フロントで列に並ぶ煩わしさよりも、スマートに自分のペースで入館できるスタイルがむしろ喜ばれる。
ただ、「無人だからサービスが薄い」では絶対にいけない。
チャットでの迅速なレスポンス、誕生日や記念日のサプライズ演出、地域情報の提供など、「目に見えないホスピタリティ」をどれだけ磨き込めるか、ここが私たちの勝負どころです。
その積み重ねの結果、Booking.comでの平均スコアは9.1点という高い評価をいただいています。
差別化のポイントは「ホスピタリティの質・空間の広さ・ロケーション」の3点。
無人運営による高い利益率を空間のクオリティに再投資する。この好循環こそが、私たちのビジネスモデルの強みです。

フィル・パークの魅力——「ロケーション」「ガラス張りの窓」「スケルトン引渡し」
フィル・パーク中野・新宿三番街Ⅱにご入居いただいた理由を教えて頂けますか
まず何より「ロケーション」。
つまり立地の良さです。私たちのホテルはロケーションが命。需要があるエリアに、質の高い空間を届けることが出発点なので、フィル・パークが展開している場所そのものが私たちの事業戦略と合致していました。
2026年2月にオープン の「illi Nuto Shinjuku」が入居するフィル・パーク新宿三番街Ⅱ。新宿三丁目は、ゴールデン街や花園神社のすぐそばで、賑わいと喧騒の中心にある。
でも、その賑わいから一本裏に入った立地にあるフィル・パークは、驚くほど静かで「都会の静けさ、心地よさ」を感じます。
例えば、夜遊びから帰ってきても、「ゆっくり静かに過ごそう」という滞在者の気持ちにちゃんと応えられる。
「illi Nuto Shinjuku」は静かな贅沢を意味する「Quiet Luxury」がコンセプトとなっています。
これは、フィル・パーク新宿三番街Ⅱの立地だからこそ浮かびました。騒がしい街の中にある、静寂と洗練の空間。この場所でなければ生まれなかったコンセプトです。

フィル・パークの 建物の特性については、どう映りましたか?
フィル・パークの大きな特徴である「窓」が、私たちにとって本当に重要なんです。ホテルは、窓から差し込む光の質で、空間の印象が大きく変わります。
窓が多い分だけデザインの自由度も高くなるし、ゲストが感じる解放感も違う。あの窓があるからこそ「illi」らしい空間が完成すると思っています。
もう一つ、「スケルトン引き渡し」も、私たちにとってはベストな条件です。
居抜き物件だと、まず既存の設備を壊すところから始まる。コストも時間も、そして廃棄物による環境負荷もかかる。
でも、フィル・パークは、まっさらな状態からスタート。だからこそ、デザインの細部に予算を全集中できる。
内装へのこだわりに一切妥協したくない私たちにとって、スケルトンであることは単なる「条件の一つ」ではなく、「全てのデザインの出発点」です。

挑戦を支えるのは、フィル・カンパニーの「人」——共に創るパートナーとして
フィル・カンパニーは企画から施工、テナント誘致、管理まで一貫して自社で行っていることを強みとしています。入居者様の目線から感じたメリットはありましたか?
非常に心強いですよ。フィル・パーク中野の入居から数えると、もう5年以上のお付き合いになります。
その中で感じるのは「建築、不動産会社」というより、「一緒に空間を作っているパートナー」という感じです。
例えば、新宿三番街Ⅱの看板。「illiの世界観をきちんと守りながら視認性も確保したい」というこちらの要望を丁寧に聞いてくれて、カタチにしてくれました。
また、ホテル運営に不可欠な防災設備の設計についても、「ホテルとして運用するなら、こうした方が使い勝手がいい」と、私たちの業態を深く理解した上で、設計段階から密に相談に乗ってくれました。
普通、新築ビルの引き渡し後は「あとはテナントさんで自由にどうぞ」となりがちですよね。でも、フィルの皆さんは、最後まで寄り添って一緒に考えてくれる。
私たちの事業は一つひとつに強いこだわりがある分、その想いを理解してくださるパートナーでないと、お付き合いを続けるのは難しいと思っています。
コスト効率だけを追えば、仕様を画一化した方が楽です。でも私たちはあえてそうしない。
「プロダクトに魂を込める」ことが結果的に差別化につながり、ゲストの満足度に跳ね返ってくる。
そう信じているからです。
フィルの皆さんは、そうした私たちのこだわりを「面白い!」と言って一緒に実現しようと動いてくれます。それが本当にありがたいし、だからこそ良いものができると思っています。
数億円規模の施工費を投じる大きなプロジェクトを安心して進められるのは、この事業を深く理解した上での「きめ細かなコミュニケーション」と「柔軟な対応力」があってこそです。

今後の展望——「経済的価値」と「社会的価値」を同時に追求し、世界へ
最後に、これからの展望を教えてください。
有人体制の導入によるサービス拡充や、一棟再生モデルの確立を進めることで、「illi Stays」をしっかりとスケールさせつつ、新たなホテルブランドの商品化にも挑戦を始めています。
今まさに「illi Stays」の姉妹ブランドとなる「illi Hotels」のオープンを2026年5月に控えており、これも企画・デザインから運営まで完全内製化したブティックホテルとして展開します。世界に通用するブランドを自分たちの手で作り上げたい。
以前、ニューヨークのエースホテルを視察したことがあって、あの「1歩先のかっこよさ」に強い衝撃を受けました。自分たちの感性と技術を研ぎ澄ませ、ああいう心に響く空間を生み出したい——その思いが今の原動力になっています。
私たちのミッションは「経済的価値(事業としての成長)と社会的価値(人々の暮らしや未来の持続的な豊かさ)を同時に高めること」です。そのためには、パートナーとの信頼関係が不可欠だと思っています。
フィルの社員の皆さんはじめ、信頼できるパートナーと一緒に、これからも誰かの人生を豊かにする空間を、日本から世界へと広げていきたいですね。

最後に
黒木様のお話を伺い、BARE NOTE STUDIO様の「一切の妥協を許さない空間づくり」への情熱と、その裏にある緻密な戦略に改めて感銘を受けました。
特に印象的だったのは、黒木様がフィルの社員を「一緒に空間を作るパートナー」と呼んでくださったことです。
企画から管理まで自社で一気通貫で行っているフィル・カンパニーだからこそ、テナント様の細やかなこだわりを最後までカタチにすることができる。
看板一つ、防災設備一つへの丁寧な配慮が、その先にいらっしゃるお客様の「感動」へと繋がっていく。
これこそが私たちが創業時から大切にしてきた「Phil=共存共栄」なのだと、インタビューを通じて改めて感じました。
新宿三番街Ⅱの1階部分には、今後、九州料理店やイタリアンバーの入居も予定されています。
建物全体が街の熱量と呼応し、滞在する方の人生を彩る場所へ。
——そんな新しいフィル・パークの形を、これからも黒木様はじめBARE NOTE STUDIOの皆様と共に描いていけることを、心から楽しみにしています。
プロフィール
株式会社BARE NOTE STUDIOが展開する、グループでの中長期滞在に特化したブティックホテルブランド。
「家よりも快適に、ホテルよりも特別に」をコンセプトに掲げ、ホテルのホスピタリティとデザイン性、自宅のような安らぎと機能性の両立を追求しています。
観光の拠点としての利便性を重視し、客室内にはリビング・ダイニング・キッチン・洗濯乾燥機を完備。画一的なデザインではなく、建物のポテンシャルやその街の特徴を反映させたコンセプトを大切にしています。
2026年4月時点で、都内主要エリアに23拠点・大阪心斎橋に1拠点を運営中。
illi Nuto Shinjuku
住所:東京都新宿区新宿5丁目11−2 フィル・パーク新宿三番街II 2F-5F
illi Esu Nakano
住所:東京都中野区新井1丁目9-4 S-Fit中野ビル 7F,8F(フィル・パーク中野)
【公式リンク】