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2024.08.07 商業ビル経営土地オーナー様土地活用

空中店舗は土地活用の新しい選択肢!空中店舗向きのテナントや業種を知り満室経営・高い利回りを目指そう。

この記事の監修者
垣内 典之一級建築士垣内 典之

駐車場・コインパーキングとして使用されている土地の新たな有効活用には、さまざまな方法があります。その中でも、近年注目すべき手法の一つとして「空中店舗」があります。そこで本記事では、空中店舗としての土地活用の可能性や、経営上のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

現在駐車場及びコインパーキングを経営しているが、もっとより良い土地活用を探している・もう少し収益をあげたい・もしくは相続の予定があるがそのタイミングでもっと新しい土地活用に転用したいなどで悩んでいる方は、ぜひお読みください。

空中店舗とは?

空中店舗とは、ビルの2階以上に出店する店舗のことを指します。ただし、百貨店やショッピングモールなどの大型の施設内にある2階以上の店舗は空中店舗とは呼ばれません。

路面店、地下店との違い

路面店とは、通常建物の1階にある通行人や車のとおりに面している地上の店舗を指します。一方、地下店は地下に建設された店舗や施設です。

店舗を出すなら1階にある路面店に出したいと思う方も多いかもしれませんが、実は空中店舗には路面店、地下店にはないメリットが多くあります。そのため、空中店舗を希望するテナントや業種も増えているのです。

土地活用としての空中店舗も計画的に運営すれば満室になることも期待できますので、人気の商業ビル・その土地のランドマークになる可能性を秘めているといえるでしょう。

空中店舗のメリット、デメリットの詳細は後述しますが、まず空中店舗の価値について解説します。

不動産としての空中店舗の価値

空中店舗は、都市部交通の要所など土地の価値や希少性が高い場所に建設されるケースが多いです。そのため、立地条件によっては高い不動産価値を持つ場合があります。

そのような土地で駐車場やコインパーキングを経営している場合には、その上部空間は予想外の収益を生み出す可能性を持つ存在となり得るでしょう。

駐車場、コインパーキングの上部空間は狙い目

駐車場やコインパーキングを持っているけど、もっとより良い活用をしたいとお悩みのオーナー様には、空中店舗はぜひ検討していただきたい土地活用方法の一つです。駐車場として活用している土地の上部空間を空中店舗として利用すれば、限られたスペースをより効率的に活用できます。そのため、より高い収益を得られる可能性があります。

また駐車場の上に商業空間を作ることで、まちに新たな賑わいや人通りをもたらすなどその土地の魅力を最大限に引き出すことも可能です。実例もありますので、詳しくご紹介します。

事例①:空中店舗でニーズを創出

事例①:空中店舗でニーズを創出

3F A/B|ヘアサロン:45.10坪
3F C|オフィス:14.98坪
2F 焼肉店:60.08坪
1F コインパーキング

こちらの空中店舗は、アクセスが良いとは言えない場所でしたが、新たな賑わいを創出した土地活用事例の一つです。もともと駐車場だった土地の上部空間に、空中店舗を作りました。

企画や建築の段階で、駐車場台数がほとんど減らなかったという点も注目です。通行・入出庫ともに快適な大型コインパーキングは高い賃料収入を得るだけでなく、2階・3階テナントの集客装置としての役割も果たしています。

事例②:角地を活用した魅力的なランドマークとして集客

事例②:角地を活用した魅力的なランドマークとして集客

3F|ショップ:40.06坪
2F|飲食店:40.06坪
1F|飲食店:19.07坪
1F|コインパーキング

こちらの物件は、空中店舗としての特性を活かした独創的なデザインと空間配置が特徴です。近代的な建築と伝統的なまち並みの調和が見事に表現されており、訪れる人々に都市の魅力を感じさせてくれます。

1階はコインパーキング兼カフェ、3階はインテリアショップとなっています。また屋上には観葉植物がライトアップされており、付近の景観を盛り上げています。

その他の空中店舗実績はこちら|フィル・パーク 

空中店舗としての不動産経営|アパート・マンション経営と何が違う?

空中店舗経営などの商業ビル経営と、アパート・マンション経営などの賃貸事業における違いについてご紹介します。最大の違いとして、収益率の高さが挙げられます。商業ビル経営の方が、アパート・マンション経営よりも収益が高く見込めます。

またアパート・マンションは基本的に住民だけが利用する場所となりますが、商業ビル経営はその土地に新しい雇用や人流を生み出しますので、より多くの人が行き交う場所となります。そのため、商業ビルをハブとして、まちを活気づかせる賑わいを作り出せる点も魅力です。

これまで土地活用といえばアパート・マンション経営が王道とされてきましたが、それ以外の土地活用に目を向けることも大切です。

従来の土地活用では、競合に勝てない時代が今後やってくるでしょう。土地活用に関する未来の傾向を読み解く資料をご用意しましたので、ぜひご覧ください。

オーナー目線での空中店舗を作るメリット

空中店舗を持つことは、オーナーにとって多くのメリットをもたらします。とくに地価の高い都市部では有効で、空中店舗によりスペースを有効活用し、高い収入を得ることが可能です。

さらに、設計や施設の工夫により高い集客力と収益性を期待でき、ユニークな店舗として注目を集めることができます。オーナーからみて空中店舗を建設するおもなメリットには、以下のような点が挙げられます。

土地の有効活用が可能である

駐車場経営では地上に駐車場を設けて、それのみを運営するケースが多いです。しかし、空中店舗では地上との二重構造によって土地の有効面積を最大限に引き出せますので、高い収益を期待できます。そのため、路面店だけ、駐車場だけ、といった通常の活用方法と比べて土地を数倍効率的に活用できます

また、駐車場と店舗が隣接していることで、双方の収益に相乗効果が期待できます。「車が停められるから、あのお店を利用する」「車を停めたついでに、上にあるお店にも行ってみよう」という心理が働くためです。

さらに、上に空中店舗を建てた部分の駐車場は屋根付きとなります。悪天候時に雨風などの影響を受けずに車の乗降ができるコインパーキングは、利用者にとって大きな魅力であり、競合との差別化でアピールできる点のひとつとなるでしょう。

高い集客力と収益性が期待できること

空中店舗は、設計や施設の工夫次第で顧客やテナントを引き寄せやすい特性があります。

また、駐車場の上部を活用した空中店舗は、普通の高層階の商業ビルと比べて事例がまだ少なく、周囲の目を引きやすいので、建築物としての価値も高められるでしょう。

「空中店舗」をメリットに感じるテナントがある

空中店舗は路面店と比べて人気が低いと思われがちですが、逆に路面店ではなく2階以上の階層を希望するテナントもいらっしゃいます。その理由をご紹介しましょう。

賃料が抑えられる

空中店舗は潜在的な需要があるとはいえ、1階の路面店の方が根強い人気があるため、空中店舗のテナント賃料は低めに抑えられる傾向があります。賃料が抑えられることを理由に入居するテナントも多くあります。空中店舗では、立地としては良い場所なのに以下のような理由から家賃の敷居が低いので、テナントオーナーからの人気も集めやすいのです。

● 利便性の問題

一般的な路面店と比較して、空中店舗はアクセスが制限される場合があります。例えば、エレベーターや階段を利用する必要があるため、顧客の利便性が低いと見なされるケースが見られます。このような条件下では、テナントは通常の路面店よりも低い賃料を期待する傾向があります。

● 視認性の問題

空中店舗が路面店に比べて視認性が低い場合、店舗の宣伝や広告活動に制限が生じる可能性が考えられます。そのため、テナントの集客力が低下する可能性があり、賃料を下げざるを得ない場合もあるのです。

● 建物の使用条件

空中店舗の貸室内には、法的制約や使用条件が課されるケースがあります。例えば、建築基準法や消防法に適合するために、店舗レイアウトが制約を受けたり、一定の消防設備が必要となる場合があります。テナントに制約を強いる事や、対応コストがテナント負担となる事の見返りとして賃料が抑えられる場合があります。

● 供給と需要のバランス

地域の空中店舗の供給と需要のバランスも、賃料に影響を与えています。需要が低迷していたり競争が激化していたりする場合には、オーナーが賃料を抑えてテナントを引きつけようとするケースがあります。

上記のように、立地が良いのに家賃がリーズナブルな理由を説明できるため、テナントの方は安心して借りられるでしょう。

また賃料が路面店に比べてお得なので、万が一空きが出ても次のテナントが決まりやすい特徴もあります。さらに路面店とは違う視覚的なインパクトによって、競合に比べて選んでもらいやすくなり、入居も長期となる傾向が見られます。

プライバシーを確保しやすい

2階以上の空中店舗は、路面店と違って入り口が人目につきません。中が見えるガラス張りの店舗でも、外の様子を気にせず入店できます。また建物の入り口に入ってもどの店舗に入ったか分からないので、プライバシーを確保しやすいです。

落ち着いた雰囲気を醸し出せる

路面店は通りに面しているため、どうしても外の雑踏を行き交う人たちや車の動きが目に入ってしまい、雑多な印象を与えてしまいます。しかし、2階以上の空中店舗ならば、そのような煩わしさから解放されて、ゆったり落ち着いた雰囲気を作り出せるでしょう。

眺望が良い

2階・3階と階が上がるにつれて、目線が高くなって眺望が良くなります。周りのビルや店舗が低層である場合には、さらに開けた眺望が目の前に広がりますので、そのような眺望を希望して入ってくるテナントの方もいるでしょう。

このように、空中店舗には路面店や地下店とは違った独自のメリットがたくさんあります。そのため、ビジネスチャンスに恵まれた土地活用の一つとなり得るでしょう。

オーナー目線での空中店舗のデメリット

空中店舗は多くのメリットがある一方で、オーナーにとっていくつかのデメリットも存在します。ここでは留意すべき空中店舗のデメリットを紹介します。

建設・設計における追加コストがかかる可能性があること

駐車場上部への空中店舗設置は、慎重な構造検討や設計が必要となります。階数によっては、エレベーターも必要となるでしょう。建築基準法、消防法などの基準に適合させるためのコストは当然発生します。空中店舗を検討する際は、上記内容を想定して計画を立てるようにしましょう。

通常の商業ビル建設とは異なる点も多いため、建設を検討する際には空中店舗の設計の経験が豊富な業者を選びましょう。

建設や運営上の安全性や規制への対応が求められること

空中店舗は、最下階が単独の柱や壁で構成されるため、通常の建物よりも地震や台風に対応するための構造コストが大きくなる傾向にあり、計画段階から充分な構造検討が必要です。また、計画する上で消防安全への対策も必要です。火災発生時の避難経路や消火設備の設置など、消防法令への厳密な適合が求められます。

このように建築物の安全確保や災害時の対応策、運営許可の取得などさまざまな法的要件を満たす必要があるのです。

これまで駐車場として順調に運営してきたが、すぐ近くに強力なライバルができて収益が下がってしまった。こんな状況でも打開策となるのが空中店舗です。新たな収益のシミュレーションをしてみたい方は、下記からお気軽にご相談ください。

目指せ満室!空中店舗に向いている業種・テナント

空中店舗のような商業ビル経営で利益を生むには、テナントをできる限り埋める必要があります。レストランやカフェといった飲食店や、美容サロン、医療・公共施設、オフィスなど、空中店舗に適した業種やサービスを紹介します。

レストランやカフェといった飲食店

高い位置からの眺望を楽しめる空中店舗は、レストランやカフェにとって魅力的な立地です。とくに景色の良い場所や観光地では、食事を楽しむお客様を引きつけるお店となるでしょう。外から食べてる様子を見られたくないという人も、空中店舗なら外の目を気にせず食事を楽しむことができます。

スパ・リラクゼーション・美容室サロンなど

スパ・リラクゼーションなど心身をゆったり落ち着かせる目的の店舗は、1階路面の喧騒から離れた空中店舗が好まれる傾向にあります。また美容サロンや増毛、かつらなどの美容クリニックなども、支店・営業所が空中店舗にあるところが多いです。空中店舗ではお客様のプライバシーを保護しやすいので、このような業種・テナントが好まれています。

また有名人ご用達の美容室なども、あえて人目のつきにくい空中店舗に居を構えるケースが多いと言われています。

医療・公共施設

開業医や小規模医院などの医療機関、または公共施設は、路面店でなくとも必要に迫られた利用者が訪れるため、空中店舗に開業する場合が多いです。

とくに、美容整形のような時間をかけて施術するようなコンセプトであればより相性が良いでしょう。こういった施術はプライバシーを重視するので、通行人から店舗内が見えたり、他の患者が頻繁に出入りしたりするような雰囲気は好ましくありません。

空中店舗ならば個人のプライバシーと、落ち着いた雰囲気を両方とも確保できるためおすすめです。

学習塾・習いごと

子供向けの学習塾や習いごとのテナントも、空中店舗に向いています。道路に面していると大勢の人が行き交うため、生徒さんの集中力が途切れやすいです。また生徒さんのプライバシー管理においても、望ましいとはいえません。

また小さなお子様の場合には道路に誤って飛び出すなどのリスクが考えられますので、親御さんも空中店舗の方が安心してお子様を預けられるでしょう。

エンターテイメント施設・ギャラリー

屋外イベントスペースや屋上テラス、スカイバーなどのエンターテイメント施設は、空中店舗で開業しているケースが多いです。とくに夜景を楽しむスポットやパーティー会場などは、人気が高いです。

また開放的な空間を活用して、ギャラリーを開いているところもあります。

オフィスやコワーキングスペース

静かで景色が良い空中店舗は、オフィスやコワーキングスペースにも向いています。人の往来が目につく場所だと、いくら室内が静かで落ち着いていようと、視界が落ち着かず修力が途切れてしまう恐れがあります。

空中店舗なら景色が大きく変わることもありません。視覚的にも落ち着きのある環境は、働く人々にとって心地よい作業空間となるでしょう。

小売店やショールーム

特定の商品やサービスの販売、展示に適した空中店舗もあります。例えば、ファッションブランドのショールームや特定の製品を取り扱う小売店などが該当します。知る人ぞ知る隠れ家感が商品の希少価値を高める可能性もあるでしょう。

テナント募集をしてくれるパートナー企業もある!

土地のオーナー様は別に本業もある場合が多いので、建築やリサーチ、現地調査などなかなか手が回りません。そのため、空中店舗の企画設計や建築だけでなく、その後のビルコンセプトの決定やテナント募集などまでサポートしてくれる業者に依頼することをおすすめします。

テナント集客と誘致、契約内容の策定などは、利益やその後の運営に直結する最重要項目です。そのため、このような点もプロに頼んでみる方が、最終的な利回りの安定を期待できるでしょう。

空中店舗経営と駐車場経営、どれだけ利回りが変わる?

最後に、具体的に空中店舗を経営するにあたって必要な情報や、とくに利回りなど経営的な観点についてご紹介します。

具体的に空中店舗を経営するにあたっては、立地条件や駐車場経営時の収支の数値を参考に、現実的に実現可能な収益プランを策定しましょう。

空中店舗の運営に必要な広さ

空中店舗の運営に必要な最低限の広さは、その店舗の種類や目的、利用方法によって異なります。

一例として、50坪に満たないスペースでも、1階のコインパーキングの上に2階と3階の空中店舗を建設した例では、地域のオフィス需要とマッチし成功を収めています。広さだけではなく、店舗内の動線やお客様の快適な滞在を考慮した空間配置が重要です。

建築基準や消防法規などに適合するため、階段や廊下などの幅、避難経路幅員にも気を配ることが大切です。非常口や避難経路の確保などにも注意し、建物を計画しましょう。

狭小地や裏通りでも大丈夫!

少し狭い土地や裏通りでも、駅に近い商業圏内ならば集客力が見込めます。逆に狭い土地という制約が建築のイマジネーションを刺激し、通常の土地には真似できないような面白い建築物を生み出す可能性もあります。

駐車場経営の収支と比べてみよう

駐車場やコインパーキングを経営している場合と、その上に空中店舗を建てた場合では、収支は大きく変わります。金額がどの程度変動するかについては、立地や実際に入居したテナント状況によりますが、一般的には空中店舗を建てた場合の方が経済的効果は高く見込めます。

駐車場の上に空中店舗を設置すれば、同じ敷地内でもより多くの収益を生み出せることが期待されます。例えば、駐車場のみの場合よりも、テナント賃料など収入源が増加するでしょう。前述のように相乗効果で駐車場の収益が増える可能性も期待できます。

空中店舗を備えた商業ビル経営に挑戦してみよう

空中店舗を利用した土地活用の可能性について気づいていただけましたでしょうか?一般的には土地活用と聞くと、駐車場経営・アパート・マンション経営をイメージしがちですが、商業ビル経営も魅力にあふれる選択肢です。

空中店舗にはデメリットがありますが、それを上回るメリットも多くございます。とくに今まで車が停まっていただけで人もまばらだった土地に店舗ができて、人の活気が溢れていく様子は、土地のオーナー様にとっても喜ばしいことではないでしょうか?

その場所で新たな出会いや学び、成長のストーリーが紡がれるかもしれません。イメージして心が躍ったあなたには、空中店舗で土地活用をする方法をおすすめします。空中店舗での土地活用にご興味がある方は、ぜひこの機会にご相談ください。

この記事の監修者

垣内 典之

株式会社 PROPUP 代表取締役/一級建築士

石川県金沢市出身。千葉大学大学院修了(建築学)。建築設計監理からキャリアをスタート、環境性能に係る設計審査業務、企業不動産(CRE)戦略、ファシリティマネジメント(FM)コンストラクションマネジメント(CM)等を経験。建築・不動産・ITを横断的に繋げ、高次元のプロパティ・マネジメントを実現するべくPROPUPを設立。

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