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2024.09.03 土地活用

亡くなった親の土地名義変更完全ガイド:2024年義務化対応と相続対策

この記事の監修者
垣内 典之一級建築士垣内 典之

親が亡くなり、土地を相続したものの、名義変更の手続きがわからず困っていませんか?
2024年4月1日から、相続による不動産(土地および建物)の所有権取得に関する登記申請が義務化されました。相続した土地の名義変更を適切に行わないと、罰則の対象になる可能性もあるのです。

そこで本記事では、亡くなった親名義の土地を相続し名義変更する際の重要ポイントを詳しく解説します。

亡くなった親の土地名義変更の重要性と2024年義務化の影響

親から土地を相続したものの、名義変更の手続きがわからず放置している人もいるでしょう。 土地の名義変更とは、亡くなった親など前の所有者から相続した土地の所有権を自分の名義に変更する手続きのことです。
この手続きを怠ると、さまざまな問題が発生する可能性があります。

今すぐ名義変更が必要な理由

土地の名義変更は早めに行うことが大切です。
その理由は以下の通りです。

  1. 固定資産税の納税通知書が届かない
  2. 土地の売却や有効活用ができない
  3. 相続人間のトラブルを防止できる
  4. 不動産登記簿が実態と乖離したままになる

上記の理由から亡くなった親の土地の名義変更を早めに行うことが重要となります。

たとえば、亡くなった親の土地は、名義変更がされていなかったとしても固定資産税を支払う必要があります。しかし、名義変更していないと固定資産税の納税通知書が相続人に届かないため、滞納するリスクがあります。このリスクを防ぐためにも名義変更を行うことは重要です。

また、2024年4月からは相続発生から3年以内に名義変更の手続きを行わないと10万円以下の過料という罰則の対象になる可能性があります。

2024年4月から始まった相続登記義務化とは?

「相続登記義務化」とは、相続によって土地や建物を取得した相続人に対し、3年以内に所有権移転登記を申請することを義務付ける制度です。この義務化は2024年4月1日以降に相続が開始する場合だけでなく、それ以前に相続が開始している場合にも適用されます。
ただし、後者の場合は2024年4月1日から3年間の猶予期間があります。

具体的には、以下のような手続きが必要です。

  • 相続発生から3年以内:所有権の移転登記を申請
  • 3年経過後~6年以内:申請が遅れた旨の申出が必要

適用除外となるケースもありますが、基本的には期限内の名義変更が必要です。

亡くなった親の土地名義変更を放置するとどうなる?いつまでに対策すべき?

亡くなった親の土地の名義変更を放置すると固定資産税の滞納や相続人同士の争いなどさまざまなリスクが発生します。
具体的には、以下のようなリスクが考えられるでしょう。

リスク 内容
固定資産税納付の義務違反 名義人に納税通知書が届かず、固定資産税が滞納される
滞納が続くと、対象の不動産が差し押さえられる
土地の管理不全 所有者が不明のため、土地の管理や有効活用ができない
相続人間の紛争 遺産分割協議が進まず、相続人同士のトラブルに発展
不動産の二重譲渡 悪意の第三者による不正な売却や担保設定の恐れ

これらのリスクを回避するためには、以下の対策が有効です。

  1. 司法書士など専門家に相談し、名義変更の手続きを依頼する
  2. 相続人全員で話し合い、遺産分割協議を進める
  3. 名義変更後の土地の管理や有効活用の方法を検討する
  4. 必要書類を揃え、期限内に名義変更の申請を行う

土地の名義変更は、放置すればするほど問題が複雑化します。早期の対応が何より大切だといえるでしょう。

親の土地相続と名義変更の手順|どこで手続きをする?いつまでにする必要がある?

亡くなった親から土地を相続した場合、できるだけ早く名義変更の手続きを進めることが推奨されます。相続手続きは複雑で、専門的な知識が必要です。

ここでは、親の土地相続と名義変更の流れを、以下7つのステップにわけて詳しく解説します。

  1. 相続人の確定:兄弟・親族で誰が相続できる?複雑なケースの解決策
  2. 遺産分割協議:スムーズに進めるコツと注意点
  3. 必要書類はどこで取得?:10種類の書類と取得方法を詳しく解説
  4. 相続登記申請書の作成:失敗しない3つのポイント
  5. 法務局への申請はいつまで?:窓口・郵送・オンライン、どれがおすすめ?
  6. 登記完了証の受け取り:確認すべき3つのこと
  7. 相続税の申告と納付:税理士が教える節税テクニック

専門家に相談しながら、スムーズに手続きを進めるためのコツについても見ていきましょう。

相続人の確定:兄弟・親族で誰が相続できる?複雑なケースの解決策

まず、誰が相続人になるのかを確定する必要があります。
民法の規定により、相続人には以下の順位があります。

配偶者:常に相続人となります。
第一順位:被相続人の子ども(直系卑属)
第二順位:被相続人の直系尊属(父母、祖父母など)
第三順位:被相続人の兄弟姉妹

亡くなった方の配偶者は常に相続人となり、他の相続人と共に相続権を持ちます。第一順位の相続人がいる場合、第二順位以下の人は相続人になれません。同順位の相続人が複数いる場合は、全員が相続人となります。

複雑なケースとしては、相続人の一部が相続を放棄したり、認知症で判断能力がなかったりする場合です。また相続放棄をした人は初めから相続人でなかったものとされます。そのため、相続権は相続放棄をした人の次の順位の人に移るのが一般的です。

また相続人のなかに認知症の方がいる場合、後見人が必要となり、後見人が相続手続きを代行します。後見人とは、認知症となった方の生活や医療、介護、福祉などを支援する人のことで、家庭裁判所から選任されます。
こうした場合は、司法書士などの専門家に相談し、適切な解決策を探りましょう。

遺産分割協議:スムーズに進めるコツと注意点

次に、相続人全員で集まり、遺産分割協議を行います。
遺産分割協議とは、亡くなった方の財産の分割方法や割合について法定相続人全員で話し合いを行うことです。遺産分割協議では、「親の介護をしたから相続財産のほとんどを受け取りたい」といった相続財産をめぐったトラブルに発展する可能性があるため、慎重に進める必要があります。
この際、以下のポイントに注意しましょう。

  • 相続人全員が納得できる分割方法を話し合う
  • 遺言書がある場合は、その内容を尊重する
  • 土地の評価額や分割方法で意見が対立したら、司法書士や弁護士に相談する
  • 協議の結果を「遺産分割協議書」にまとめ、全員が署名・捺印する

スムーズに進めるためには、事前に専門家のアドバイスを受け、次に紹介する必要書類を揃えておくことが大切です。

必要書類はどこで取得する?:10種類の書類と取得方法を詳しく解説

遺産分割協議によって相続人が決まったら相続登記に向けて必要な書類を準備します。
相続登記とは、亡くなった方が所有していた土地や家、マンションなどの不動産の名義を相続人に変更する手続きのことです。

相続登記の申請には、以下の10種類の書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本および住民票の写し
  • 遺産分割協議書(全員の実印と印鑑証明書が必要)
  • 相続人全員の実印および印鑑証明書
  • 相続人全員の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 被相続人の除籍謄本
  • 登記識別情報通知
  • 土地の登記事項証明書
  • 固定資産税評価証明書

これらの書類は、役所や法務局で取得できます。手続きに時間がかかる場合もあるので、早めに準備を始めましょう。

相続登記申請書の作成:失敗しない3つのポイント

相続登記申請書とは、相続登記を申請する際に法務局に提出する書類のことです。相続登記申請書には以下の記載事項があります。

記載事項 詳細
登記の目的 ・以下のいずれかを記載する

  1. 亡くなった方が不動産の所有権をすべて持っている場合
    →「所有権移転」と記載する
  2. 亡くなった方が持つ権利が不動産の共有部分である場合
    →「〇〇(亡くなった方の名前)持分全部移転」と記載する
  3. 複数の不動産のうち、すべての所有権を持っているものと共有部分であるものが混合している場合
    →「所有権移転及び〇〇(亡くなった方の名前)持分全部移転」と記載する
原因 「〇月〇日相続」と記載する
被相続人 「被相続人 〇〇(亡くなった方の名前)」を記載する
相続人
  1. 概要
    ・相続人の「住所・氏名・電話番号」を記載する
  2. 相続人が複数いる場合
    ・「各相続人の持ち分」を記載する
  3. 相続した権利が不動産の共有持ち分であった場合
    ・「相続人の持ち分」を記載する
添付資料 「登記原因証明情報・住所証明情報・評価証明書」と記載する
返却書類の郵送希望 ・登記手続きが終わると次の3つの書類が返ってくる

  1. 添付した資料の原本
  2. 登記完了証
  3. 登記識別情報通知
申請日と管轄法務局 ・申請日は法務局の窓口で申請書を提出する際に記載する
→郵送する場合は、記載しなくてもよい
・管轄法務局は「〇〇法務局」と記載する
課税価格と登録免許税 ・「登記免許税」と記載する
不動産の表示 ・どの不動産の登記申請を行うのかを記載する
・土地、建物、分譲マンションのいずれかを記載する
収入印紙の貼り付け ・登録免許税分の収入印紙を貼り付ける

書類の不備があると、申請が受理されない場合があります。
失敗しないためにも、以下の3つのポイントを押さえましょう。

  • 申請書の記載事項に漏れや誤りがないか確認する
  • 添付書類に不備がないか確認する
  • 申請書と添付書類の内容に矛盾がないか確認する

司法書士に依頼すれば、ミスのない申請書を作成できるため、スムーズに相続登記申請が行えるでしょう。また、申請後に誤りが見つかった場合は、補正や更正登記の手続きを行うことができます。

法務局への申請はいつまで?:窓口・郵送・オンライン、どれがおすすめ?

相続登記の申請は、相続登記義務化により3年以内に行う必要があります。しかし、固定資産税の支払いなどを考えると、1年以内の方が望ましいです。

相続登記の申請は、以下の3つの方法があります。

  • 法務局の窓口に直接提出する
  • 書類を郵送する
  • オンラインで申請する(一部の法務局のみ)

窓口申請は即日受付できますが、待ち時間が長いこともあります。郵送は簡単ですが、書類の不備があると返送されるため、申請が完了するまでに時間がかかる可能性があるでしょう。オンライン申請は便利ですが、対応している法務局が限られています。

そのため、相続登記を誰が行うかによって申請方法を変更するとよいでしょう。たとえば、自身で相続登記の申請を行う場合は、ミスが起きる可能性が高いため、窓口での申請がおすすめです。申請を司法書士に依頼する場合は、ミスが起きる可能性が低いため、郵送での申請でも問題ないでしょう。

登記完了証の受け取り:確認すべき3つのこと

登記が完了すると、法務局から「登記完了証」が送付されます。その際には、以下の3つのことを確認しましょう。

  • 登記事項に誤りがないか確認する
  • 登記の完了年月日を確認する
  • 登記完了証を大切に保管する

誤りがあった場合は、速やかに法務局に連絡して更正登記の手続きを行う必要があります。

相続税の申告と納付:税理士が教える節税テクニック

土地の相続には、相続税の問題もつきものです。基礎控除額を超える場合は、申告と納税が必要となります。
以下のような節税対策を取り入れることで、税負担を軽減できる可能性があるでしょう。

  • 小規模宅地等の特例を活用する
  • 配偶者の税額軽減を適用する

小規模宅地等の特例とは、自宅の敷地などの一定要件を満たす土地であれば、評価額を最大80%減額できる制度です。評価額は、相続税の額にも直結するため、相続税も減額することができます

配偶者の税額軽減とは、亡くなった方の配偶者が遺産分割によって取得した遺産額が1億6,000万円か配偶者の法定相続分相当額のいずれか大きい金額以下である場合は、配偶者の相続税が発生しないという制度です。

節税の可能性については、税理士に相談するのがおすすめです。プロのアドバイスで、賢く相続税対策を行いましょう。

亡くなった親の土地名義変更にかかる費用と相続税の計算方法

土地の名義変更には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。また、相続税はどのように計算するのでしょうか。土地を相続したオーナー様の多くが、こうした疑問を抱えています。

ここでは、名義変更にかかる登録免許税や司法書士報酬の相場、相続税の計算方法について詳しく解説します。
さらに、相続税を抑える対策もご紹介します。

登録免許税の計算方法:土地評価額で変わる具体例

登録免許税は、不動産登記の際に納める税金です。相続による土地の名義変更(相続登記)では、固定資産税評価額に対して一律0.4%の税率が適用されます。

たとえば、固定資産税評価額が800万円の土地を相続した場合、登録免許税は以下のように計算されます。

  • 800万円 × 0.4% = 32,000円

土地の評価額が高いほど、登録免許税の負担も大きくなります。
名義変更の費用を把握するには、まず土地の評価額を確認することが大切です。

司法書士報酬の相場:依頼すべきケースと自分でできるケース

司法書士に名義変更を依頼する場合、報酬はケースによって異なります。
一般的な相場の例として以下のようなものがありますが、具体的な金額は各司法書士事務所に確認する必要があります。

  • 土地と建物の名義変更:約5万円~約15万円

ただし、相続人が多数いる場合や、遺産分割協議が複雑な場合は、報酬がさらに高くなることもあります。なお、土地の名義変更を司法書士に依頼すべきケースは以下の通りです。

  • 相続手続きに不安がある
  • 相続人同士の話し合いがまとまらない
  • 書類の準備や作成が困難
  • 登記申請の方法がわからない

一方、相続人が少なく、遺産分割協議もスムーズに進められそうな場合は、自分で名義変更の手続きを行うこともできます。法務局のホームページなどを参考に、必要書類を揃え、登記申請に臨みましょう。

相続税の計算方法:土地以外の財産も含めた総額の求め方

相続税は、亡くなった人から相続した財産の金額に応じて課税されます。
土地だけでなく、現金や預貯金、有価証券、家屋など、全ての財産が対象となります。

相続税の計算は以下の手順で行います。

  1. 相続財産ごとの財産評価額を算出(非課税などを考慮)
  2. 1より葬式費用や債務などを控除し、各人の課税価格を算出
  3. 2から基礎控除額を控除する
  4. 3に法定相続分を乗じて法定相続人ごとの取得金額に税率を乗じる
  5. 4.の相続税額を合計して、相続税の総額を算出する

基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算されます。

相続税の税率は、法定相続分に応じた取得金額に応じて以下のように変わります。

出典:国税庁ホームページ

相続税の計算は複雑なので、専門的な知識を持つ税理士に相談するのがおすすめです。
プロの的確なアドバイスで、納税額を適切に抑えましょう。

相続税を抑える5つの対策:生前贈与と小規模宅地等の特例活用法

相続税対策には、以下のような方法があります。

  1. 生前贈与を活用する
  2. 小規模宅地等の特例を利用する
  3. 配偶者の税額軽減を適用する
  4. 相続時精算課税制度を利用する
  5. 遺言書を活用する

なかでも、生前贈与や配偶者の税額軽減は、相続税の節税に有効です。

生前贈与とは、被相続人が亡くなる前に、財産を相続人に贈与することです。
贈与税は相続税よりも税率が低いため、生前に財産を分散させておくことで、相続税を抑えられます。配偶者の税額軽減とは、亡くなった人の配偶者が遺産分割や遺贈により、取得した遺産額が、以下の金額のどちらか多い金額までは、相続税が発生しないという制度です。

  • 1億6千万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

また相続時精算課税制度を活用すれば、子や孫などの受贈者が2,500万円までの贈与は、贈与税を納めなくてよくなります。

土地の相続に伴う相続税対策について気になる人は、土地相続や活用の専門家がいる「フィル・カンパニー」にご相談ください。

土地相続で失敗しないための専門家活用術

土地の相続手続きは複雑で、専門的な知識が必要とされます。書類の準備や手続きの流れなど、初心者にはわかりにくいことが多いものです。

そこで頼りになるのが、司法書士、税理士、弁護士といった専門家です。ここでは、土地相続の各場面で専門家に相談すべきポイントを解説します。
適切なタイミングで専門家の力を借りることが、スムーズな相続手続きの鍵となるでしょう。

司法書士に相談すべき5つのケース

司法書士は、不動産登記の専門家です。以下のようなケースでは、司法書士に相談するのがおすすめです。

  1. 相続登記の手続き方法がわからない
  2. 必要書類の種類や集め方がわからない
  3. 遺産分割協議がまとまらない
  4. 相続登記に必要な書類の作成が難しい
  5. 相続登記申請書への記入ミスが不安

司法書士に依頼することで、スムーズに相続登記を完了できます。司法書士に土地の名義変更を依頼するメリットは以下のとおりです。

  • 正確で適切な登記申請書類の作成
  • 相続登記の専門的なアドバイス
  • 書類の過不足や記入ミスのチェック
  • 法務局とのスムーズなやり取り

相続手続きに不安を感じたら、まずは司法書士に相談してみましょう。ただし、親権者や未成年後見人など法定代理が必要な場合は弁護士のサポートが必要です。

税理士に相談して得られる3つのメリット

相続税の計算は、専門的で複雑な作業です。税理士に相談することで、以下のメリットが得られます。

  • 正確な相続税額の計算
  • 適切な相続税の申告と納税
  • 節税対策のアドバイス

税理士は、土地だけでなく、預貯金や有価証券など、相続財産全体を見渡して最適な申告をサポートしてくれます。
なお、相続税申告時に確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 相続財産の評価額
  • 相続人と法定相続分
  • 相続税の計算方法
  • 小規模宅地等の特例の適用可否

相続税の心配があるなら、早めに税理士に相談するのが賢明です。ただし、法的代理や不動産登記は弁護士や司法書士に依頼する必要があります。

弁護士に相談すべき相続トラブルの事例

相続をめぐって、相続人同士の意見が対立することがあります。
こうした相続トラブルの解決には、弁護士の力が頼りになります。

弁護士に相談すべき代表的な相続トラブルには、以下のようなものがあります。

  • 遺産分割協議が争点になっている
  • 相続人の一部が相続放棄を主張している
  • 遺留分侵害額請求(※1)が発生している
  • 相続人の間で遺言書の有効性を巡って対立がある
  • 相続人が認知症等で意思能力が不十分な状態にある

弁護士は、法律の専門知識を駆使して、相続トラブルの解決策を見出します。
自身のみで解決しようとするとかえって自身の立場が悪くなる可能性もあるでしょう。
そのため、対立が深刻な場合は、弁護士に相談して早期解決を図るのも一つの方法です。

土地相続で大切なのは、「手続きを後回しにせず、必要な時期に適切な専門家に相談する」ことです。

司法書士、税理士、弁護士といった頼もしい味方を上手に活用し、円滑な相続手続きを目指しましょう。

※1 遺留分侵害額請求:不平等な遺言や贈与によって遺留分を侵害された法定相続人は、侵害した人へ遺留分の取り戻しを請求できること

亡くなった親から相続した土地の活用方法

親から土地を相続したけれど、「どのように活用すればいいのかわからない。」

そんな悩みを抱えている土地オーナー様もいるでしょう。土地の有効活用には、賃貸や売却、その他さまざまな選択肢があります。

ここでは、相続した土地の活用方法について、メリットとデメリットを交えながら詳しく解説します。

賃貸活用のメリットとデメリット:安定収入を得るコツ

土地を何かしらの方法で賃貸活用する方法は、安定した収入を得られる活用方法の一つです。駐車場や貸し倉庫、アパート経営など、土地の条件に合わせたさまざまな選択肢があります。賃貸活用のメリット・デメリットは以下のとおりです。

土地の賃貸活用のメリット ・安定した賃料収入が見込める
・土地を手放さずに収益化できる
・一定の条件下で相続税の節税効果が期待できる
土地の賃貸活用のデメリット ・入居者の募集や管理の手間がかかる
・建物の維持・修繕費用が発生する
・土地の売却時に譲渡所得税がかかる

上記のように土地の賃貸活用には、さまざまなメリット・デメリットがあります。
賃貸活用によるメリットをさらに増大させ、デメリットを低減させるために、以下のコツを覚えておきましょう。

  1. 土地の立地や周辺環境を考慮し、需要に合った賃貸プランを選ぶ
  2. 適正な賃料設定で、入居者を確保す
  3. WEB広告を活用するなど効果的な募集活動で、空室期間を最小限に抑える
  4. 定期的なメンテナンスで、建物の資産価値を維持する

不動産経営の経験がない場合は、不動産会社などに相談しながら、慎重に計画を立てることが大切です。

売却のタイミングと方法:高値で売るための3つの秘訣

土地を売却するなら、できるだけ高値で売りたいでしょう。そのためには、売却のタイミングと方法を適切に選ぶ必要があります。

売却のタイミングは、以下のような時期が狙い目です。

  • 周辺地域で開発プロジェクトが進行中である
  • 不動産市場が活況で、土地の需要が高まっている
  • 自身の資金需要が高く、土地を手放すメリットがある

一方、売却方法には、主に以下の3つがあります。

  • 不動産会社に依頼する
  • 不動産投資家に直接売却する
  • 不動産オークションに出品する

高値で売るためのポイントは次の通りです。

  • 複数の不動産会社から査定を取り、適正な売却価格を把握する
  • 土地の魅力を最大限にアピールできる販売戦略を立てる
  • 買主の資金調達力や購入意欲を見極め、粘り強く交渉する

売却については、専門知識を持つ不動産会社などに相談するのがおすすめです。
適切なアドバイスを受けて、満足のいく売却を目指しましょう。

ただし、売却するとその土地は二度と戻ってきません。売却は最終手段として、まずは土地活用を検討するのがおすすめです。

土地活用のアイデア8選:収益性と将来性を考慮した選び方

相続した土地の活用方法は、賃貸経営や駐車場経営をはじめ様々な方法があります。
土地の特性を生かした以下のようなアイデアを参考に、収益性と将来性を考慮しながら、最適な活用法を選びましょう。

  1. 賃貸アパート・マンション経営:初期投資が必要だが、節税効果や長期間の安定収入が見込める
  2. 駐車場経営:比較的初期投資が少なく、狭い土地や変形地でもはじめやすい
  3. 商業ビル経営:オフィスや店舗、駐車場などを組み合わせて収益向上を目指せる
  4. 太陽光発電事業:再生可能エネルギーの需要が高まるなか、一定期間の売電収入が見込める場合がある。ただし、固定価格買取制度(FIT)の変更や地域の規制に注意が必要
  5. 菜園やキャンプ場の運営:自然や食への関心の高まりを背景に、レジャー需要を取り込める
  6. 介護施設の誘致:高齢化社会の進展で、介護施設の需要が高まっている
  7. コインパーキングの経営:車社会の中で、駐車場の需要は根強い
  8. トランクルームの運営:都市部を中心に、個人の収納需要が拡大している

土地活用のカギは、時代のニーズを的確に捉えることです。「今後10年、この事業の需要は高まるだろうか」「この地域に合ったサービスは何だろうか」といった広い視野を持つことが重要です。

また、アイデアが実現できる可能性を多角的に検討することも重要となります。
事業計画や資金計画をしっかり立て、専門家のアドバイスを参考にしながら、慎重に進めましょう。

相続後の土地の活用方法について失敗しないノウハウをまとめました。以下の資料をお読みください。

よくある質問と回答:土地相続の疑問を解決

土地相続には、さまざまな疑問や不安がつきものです。「相続放棄のメリットとデメリットは?」「共有名義と単独名義、どちらがいい?」「相続登記の期限延長は認められる?」など、頭を悩ませている人もいるでしょう。

ここでは、土地オーナー様からよく寄せられる質問に答えていきます。

相続放棄のメリットとデメリット:どんなケースで選択すべき?

Q. 相続放棄にはどのようなメリットとデメリットがありますか?また、どのようなケースで選択すべきでしょうか?

A.相続放棄とは、相続人が被相続人から引き継ぐ財産の一切を受け取らないことを選択することです。おもなメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
相続財産に関する債務や税金を引き継がなくて済む 相続財産を一切受け取れない
他の相続人との間でトラブルを回避できる 一度放棄すると撤回できない
相続手続きの負担から解放される 相続税の負担が他相続人に上乗せされる

相続放棄は、以下のようなケースで検討すべきでしょう。

  • 相続財産の価値よりも債務の方が大きい
  • 相続手続きに多大な時間と労力がかかりそうで、メリットを感じない

相続する財産は、プラスの財産だけでなく負債などのマイナスの財産も相続します。
そのため、プラスの財産よりもマイナス財産のほうが多い場合は、相続放棄したほうが良いでしょう。

ただし、相続放棄は熟慮の上で決断すべき重大な選択。
司法書士など専門家に相談し、メリットとデメリットを慎重に見極めることが大切です。

兄弟で共有名義にするべき?単独名義との違いと選び方

Q. 土地の登記名義は共有と単独、どちらがいいのでしょうか? それぞれのメリットと選び方を教えてください。

A. 土地の登記名義には、共有名義と単独名義の2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

共有名義の特徴 単独名義の特徴
場合によっては相続税の節税効果が期待できる 土地の管理や処分を自由に行える
相続人全員の合意で、土地の管理や処分を決める必要がある 登記手続きがシンプルで、費用も抑えられる
資産を分散でき、相続リスクを軽減できる可能性がある 単独で土地を活用したい場合に適している

登記名義の選択は、以下の観点から総合的に判断しましょう。

  • 相続人の人数や関係性
  • 土地の管理や活用方針
  • 相続税対策の必要性
  • 手続きの簡便さや費用面

悩んだら、司法書士や税理士などプロのアドバイスを求めるのも一つの方法。
最良の選択ができるよう、しっかりと検討しましょう。

相続登記の期限延長が認められるケースとは?

Q. 相続登記には、相続開始を知った日から3年以内という期限がありますが、どのようなケースで延長が認められるのでしょうか?

A. 2024年4月1日から施行された相続登記義務化により、原則として相続開始を知った日から3年以内に相続登記を行う必要があります。
しかし、以下のようなケースでは、法務局長の許可を得て、期限を延長できます。

  • 相続人の一部が外国に住んでおり、すぐに帰国できない
  • 相続人の一部が連絡を取れない、または所在不明
  • 相続財産の範囲や相続分について、争いが生じている
  • 相続人の中に認知症など意思能力が十分でない人がいる

また相続登記の期限延長を受けるには、以下の手順を踏む必要があります。

  1. 期限内に「相続登記期限延長申請書」を法務局に提出する
  2. 期限延長の理由を明記し、必要書類を添付する
  3. 法務局長の審査を経て、延長の可否が決定される

期限延長の申請は、司法書士に依頼すると手続きがスムーズです。
期限内の相続登記が難しそうな場合は、早めに専門家に相談しましょう。

まとめ:スムーズな土地相続と名義変更のために今すぐ行動を

ここまで亡くなった親の土地の相続と名義変更について、手続きの流れや注意点、活用方法など幅広く解説してきました。最後に、スムーズな相続・名義変更のために、土地オーナーのみなさまに知っておいていただきたいポイントをまとめます。

名義変更の重要性を再確認:手続きを放置するリスクと早期対応のメリット

改めて、土地の名義変更が重要な理由を確認しておきましょう。
名義変更を放置すると、以下のようなリスクが発生します。

  • 固定資産税の納税通知書が届かず、滞納につながる
  • 土地の売却や有効活用の機会を逃す
  • 相続人間のトラブルが長期化・複雑化する
  • 相続登記義務化により、相続(遺言も含む)によって不動産を取得した被相続人は、相続開始を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければ罰則対象になる可能性がある

一方、早期の名義変更には次のようなメリットがあります。

  • スムーズに土地の管理や活用ができる
  • 相続人全員の合意形成の時間が十分にとれる
  • 小規模宅地等の特例など、相続税の軽減措置が適用しやすくなる
  • 将来の相続トラブルを未然に防げる

「面倒だから」と先延ばしにせず、早めの行動を心がけましょう。

専門家相談と情報収集:確実な相続のための第一歩

土地相続の手続きは複雑で、専門的な知識が必要とされます。
司法書士、税理士、弁護士など、それぞれの分野のプロに相談することで、スムーズに相続を進められます。

専門家 おもな役割
司法書士 不動産登記の申請、名義変更手続き、遺産分割協議書の作成など
税理士 相続税の申告と納税手続き、節税アドバイスなど
弁護士 遺産分割協議の調整、紛争の解決など

まずは無料相談を活用し、自分の状況を専門家に伝えることから始めましょう。
そのうえで、それぞれのプロから必要な情報を収集し、相続の全体像を把握することが大切です。

専門家の助言を参考に、相続人全員で話し合いながら、適切な相続の実現を目指しましょう。

次のステップ:今すぐできる3つのアクション

土地相続・名義変更に向けた行動は、一日でも早く始めるのがおすすめです。
まずは以下の3つのアクションから始めてみましょう。

  1. 相続人全員で集まり、土地の現状と今後の活用方針を話し合う
  2. 司法書士事務所に連絡を取り、無料相談の日程を決める
  3. 相続後の土地活用の方法について検討する

土地の名義変更は、複雑な手続きを踏む必要があります。またその後の土地活用の方法について検討しておくことも大切です。たとえば、アパート経営をするのであれば、相続する土地の周辺環境の市場調査や家賃相場などを調査するとよいでしょう。また高い収益性を得るために競合との差別化なども考えておくことが大切です。
「フィル・カンパニー」では、相続によって得た土地の有効的な活用方法をご提案いたします。土地の周辺の競合との差別化を図り、高い収益性を創出したいという方は、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

垣内 典之

株式会社 PROPUP 代表取締役/一級建築士

石川県金沢市出身。千葉大学大学院修了(建築学)。建築設計監理からキャリアをスタート、環境性能に係る設計審査業務、企業不動産(CRE)戦略、ファシリティマネジメント(FM)コンストラクションマネジメント(CM)等を経験。建築・不動産・ITを横断的に繋げ、高次元のプロパティ・マネジメントを実現するべくPROPUPを設立。

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