フィル・パークマガジン 建物の減価償却で土地活用を最適化:初心者でもわかる計算方法から税務メリットまで徹底解説

建物の減価償却で土地活用を最適化:初心者でもわかる計算方法から税務メリットまで徹底解説

土地を所有しているけれど、うまく活用できていないと感じていませんか? 実は、建物の減価償却を理解し活用することで、土地の価値を高められる可能性があります。本記事では、減価償却の基礎知識から実践的な活用法まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。賢い土地活用で収益を最大化し、将来の資産価値を守るヒントが満載です。ぜひ最後までお読みください。
減価償却の基礎知識:土地所有者が押さえるべきポイント
土地を所有していらっしゃる方、その土地を最大限に活用する方法をお探しではありませんか?ここでは、土地活用の成功に欠かせない「減価償却」について、初心者の方にもわかりやすく解説します。この知識を身に付けることで、あなたの土地活用戦略が大きく変わるかもしれません。
減価償却とは?土地活用初心者にもわかりやすく解説
減価償却とは、建物や設備などの資産の価値が時間の経過とともに減少していく状態を、会計上で表現する方法です。かんたんに言えば、建物の「目減り」を費用として計上する仕組みといえるでしょう。
例えば、5,000万円で建てた賃貸アパートの耐用年数が22年(償却率0.046)だとします。この場合、毎年約230万円(5,000万円×0.046)を費用として計上できます。これは、支出した購入資金を、将来にわたって分割して費用化するということです。
この仕組みにより、課税対象となる収入を減らすことができ、結果として税金の負担を軽減できます。とくに、土地活用で建物を建てる際には、この減価償却の知識が非常に重要になってきます。
なぜ建物の減価償却が重要?土地活用成功の鍵
減価償却は、単なる会計上及び税務上の処理ではありません。土地活用において、それは成功への鍵となる重要な要素なのです。
まず、収益性の向上が挙げられます。先ほどの例で言えば、賃貸収入から毎年230万円を経費として差し引けるため、課税対象となる所得を減らすことができます。これにより、手元に残る利益が増えるとともに、投資回収のスピードが上がります。
また、節税対策としての効果も見逃せません。減価償却は長期的な資産価値の維持にも貢献します。計画的に減価償却を行うことで、将来の建て替えや大規模修繕のための資金を確保しやすくなります。
さらに、減価償却を活用した土地活用は、効率的に収益を最大化し、資産価値を維持しながら、相続税対策としても有効です。建物の減価償却により、資産評価額が下がるため、相続税の負担を軽減できる可能性があります。減価償却は土地活用の収益性、持続可能性、そして相続税対策まで幅広い面でメリットをもたらします。所有している土地の減価償却について相談したい、という方はお気軽にお問い合わせください。
建物の減価償却費計算方法:定額法と定率法を徹底シミュレーション
土地活用を考えている方、減価償却費の計算方法に悩んでいませんか?ここでは、定額法と定率法という2つの主要な計算方法を、具体例を交えてわかりやすく解説します。これらの知識を身に付けることで、あなたの土地活用戦略がより効果的になるはずです。
定額法による減価償却費の計算:具体例でマスターする方法
定額法は、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法です。計算式は以下のとおりです。
年間の減価償却費 =取得価額×償却率
例えば、5,000万円で建てた賃貸アパートの耐用年数が22年の場合:
年間の減価償却費 =5,000万円×0.046=230万円
この場合、毎年230万円を22年間にわたって減価償却費として計上できます。
この計算方法は非常にシンプルで、一度計算すれば、その後は毎年同じ金額を経費として計上できるため、会計処理が容易になります。
定額法を使う際のポイントとしては、取得価額や耐用年数を正確に把握することが重要です。定額法は安定した減価償却費を計上できるため、長期的な経営計画を立てやすいという利点もあります。
定率法のメリット:事業用不動産での活用術
定率法は、期首の帳簿価格に毎年一定の償却率を掛けて計算する方法です。初期のころは大きな金額を償却でき、年数が経つにつれて償却額が小さくなっていきます。この計算方法により、初年度に大きな減価償却費を計上できるため、開業初期のキャッシュフローを改善する効果があります。
例えば、同じ5,000万円のアパートで定率法を使用した場合、1年目は約455万円、2年目は約413万円といった具合に減価償却費を計上できます。初期に多くの費用を計上することで、利益を圧縮し、税負担を軽減することが可能です。
開業直後の経費を抑えたい場合や、初期の税負担を軽減したい場合に適しています。ただし、定率法を選択する際には、後年になるほど償却額が減少するため、長期的な資金計画にも注意が必要です。また、定率法を適用するためには、制限や届出が必要な場合もあるため、税理士や会計士に相談しながら進めることが推奨されます。
耐用年数の考え方:構造や用途別の国税庁基準を解説
耐用年数は建物の構造や用途によって異なります。国税庁の基準によると、おもな建物の耐用年数は以下のとおりです。
- 木造:22年
- 鉄骨造:34年
- 鉄筋コンクリート造:47年
例えば、木造アパートと鉄筋コンクリート造のマンションでは、減価償却費の計算に大きな違いが出てきます。木造アパートは耐用年数が短いため、より早い段階で減価償却を進めることができますが、鉄筋コンクリート造のマンションでは、長期にわたって少しずつ減価償却を行うことになります。土地活用の計画を立てる際は、この耐用年数の違いを考慮することが重要です。減価償却は、収益計画や税務戦略にも大きな影響を与えるため、建物の構造や用途に基づいた耐用年数の判断が不可欠です。また、国税庁の基準に従うことで、適正な減価償却計算が行え、税務上のトラブルを回避できます。
ここまで、減価償却費の計算方法について解説してきましたが、初めて数字と向き合う方の中には難しいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。所有している土地の減価償却について理解し、収益を最適化したいという方は土地活用のプロにお気軽にご相談ください。
事業用vs居住用:建物の用途で変わる減価償却の違い
土地活用を考えている方、建物の用途によって減価償却の取り扱いが大きく異なることをご存知でしょうか?ここでは、事業用と居住用の建物における減価償却の違いを詳しく解説します。この知識を身に付けることで、あなたの土地活用戦略がより効果的になるはずです。
事業用不動産の減価償却
事業用不動産(オフィス、店舗、賃貸アパートなど)は、原則としてすべて減価償却の対象となります。この点が、事業用不動産の大きな特徴といえるでしょう。事業用不動産の減価償却は、経営者や不動産投資家にとって重要な税務戦略の一環となります。
減価償却の主な方法には、定額法と定率法があります。それぞれの特徴とその影響を見ていきましょう。
定額法: 定額法では、毎年同じ金額の減価償却費を計上します。例えば、5,000万円で建てた鉄骨造の事業用建物(耐用年数34年)の場合、年間約150万円の減価償却費を計上することになります。この方法のメリットは、長期にわたって安定した減価償却費を計上できるため、予算や資金計画を立てやすい点です。
定率法: 一方、定率法では、年々減価償却費が減少する形で計上されます。同じく5,000万円で建てた建物の場合、1年目には約295万円の減価償却費を計上でき、その後は徐々に減少していきます。定率法のメリットは先ほどご紹介したように、初年度に大きな減価償却費を計上できるため、当初のキャッシュフロー改善に寄与する点です。特に、収益が不安定な初期段階や、早期に資金回収を目指す場合に有効です。
これらの方法を比較すると、定額法は長期的な安定性を重視した経営に向いており、定率法は短期的なキャッシュフローの改善に有利であることが分かります。どちらの方法を選ぶかは、事業計画や資金繰りの方針に応じて慎重に検討する必要があります。
上記の通り、事業用不動産では大きな減価償却費を計上できるため、節税効果が高いのが特徴です。特に、不動産所得や事業所得がある方にとっては、課税所得を抑える有効な手段となります。さらに、事業用不動産の減価償却は、経営計画の一環として活用することで、収益性の向上とリスク管理にもつながります。具体的な計算方法や適用条件については、税理士に相談しながら進めることをおすすめします。
居住用建物の減価償却
一方、居住用建物の場合は状況によって取り扱いが異なります。居住用建物における減価償却の適用には、オーナーがどのように建物を使用しているかが大きく影響します。
- オーナーが居住している場合
自己居住用の建物は、減価償却の対象外です。 - 賃貸している場合
居住用賃貸物件は事業用とみなされ、減価償却が可能です。
例えば、4,000万円で建てた木造アパート(耐用年数22年)の場合、年間約184万円の減価償却費を計上できます。 - 一部を事業用に使用している場合(併用住宅)
事業専用部分のみ減価償却が可能です。
面積按分などで事業使用割合を算出し、その分だけ減価償却を行います。
居住用建物でも、賃貸や事業利用をすることで減価償却のメリットを活用できる可能性があります。ただし、減価償却を行う際には、適用される税法や控除の特例に関する知識が必要です。また、自己居住用の部分と事業用部分を明確に区分することが重要で、間違った計算や適用は税務上のトラブルを招く可能性があるため、専門家の助言を得ることをおすすめします。
用途変更のチャンス:居住用から事業用へ切り替える際の注意点
居住用から事業用への用途変更は、減価償却の観点から大きなチャンスとなります。ただし、以下の点に注意が必要です。用途変更によって、減価償却の計算方法や税務上の取り扱いが変わるため、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。
- 転用後の評価額
転用時の帳簿価格となります。帳簿価格の計算における減価の額(転用前の減価償却費の計算)では、耐用年数を通常の1.5倍にしたうえで、旧定額法により算出します。 - 耐用年数の設定
もともとの耐用年数を適用します。 - 税務上の影響
用途変更後は事業用資産となるため、事業内容によっては固定資産税の軽減措置が適用されなくなる可能性があります。
さらに、用途変更に伴う税務申告や、場合によっては追加の費用が発生することも考慮しなければなりません。また、減価償却のスケジュールも変わるため、資金計画に影響を与える可能性があります。用途変更を検討する際は、これらの点を踏まえて慎重に判断することが重要です。最終的には、税理士や不動産コンサルタントに相談しながら進めることで、最適な判断ができるでしょう。
中古物件と改修時の減価償却:知って得する特殊ケース対応
中古物件の購入や既存建物の改修をお考えの土地オーナーのみなさま、これらの特殊ケースにおける減価償却の取り扱いをご存知でしょうか?ここでは、中古物件や改修時の減価償却について、知って得する情報をわかりやすく解説します。
中古建物の減価償却:取得価額と耐用年数の正しい算定法
中古建物を購入した場合、減価償却の計算方法が新築時とは異なります。まず、取得価額の算定では、土地と建物の価値を適切に按分する必要があります。取得価額を正確に算定するためには、不動産鑑定士による評価や固定資産税評価額、売買契約書に記載されている消費税の額を参考にするのが一般的です。これにより、過大または過少な償却を避けることができます。
耐用年数の決定方法も重要です。中古建物の耐用年数は、次の算式により計算します。
(耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
例えば、法定耐用年数47年の鉄筋コンクリート造で、築20年の建物を購入した場合
(47年-20年)+20年×20%=31年
この場合、耐用年数は31年になります。
耐用年数の設定は重要で、適切に設定することで、減価償却の期間と額を計画的に管理することが可能です。
また、中古建物の場合、短縮耐用年数を適用する特殊なケースも存在します。これにより、早期に減価償却を行うことで、キャッシュフローの改善を図ることができます。ただし、これには税務上の条件があるため、事前に確認することが重要です。
リフォーム・増改築時の減価償却:費用を賢く計上するコツ
リフォームや増改築を行った場合、その費用の減価償却方法が問題となります。ここで重要なのが、「修繕費」と「資本的支出」の区別です。
- 修繕費:建物の維持や原状回復のための費用。支出した年度の経費として全額計上可能。
- 資本的支出:建物の価値を高める支出。減価償却の対象となり、将来にわたって費用計上。
例えば、古くなった壁紙の張り替えは修繕費、断熱性能を高める二重窓の設置は資本的支出となります。資本的支出として計上される場合、新たに同じ資産を取得したものとして、取得価格、耐用年数が決定され、減価償却が行われます。このため、リフォームや増改築を行う際には、どの部分が修繕費として認められ、どの部分が資本的支出となるかを慎重に判断することが重要です。
また、資本的支出として認められる場合でも、事前に税理士と相談し、最適な減価償却計画を立てることが重要です。とくに大規模なリフォームや増改築を行う際には、税務上のメリットを最大限に活用する戦略を考えることが求められます。
築年数オーバーの建物活用法:法定耐用年数を超えた場合の対処法
法定耐用年数を超えた建物でも、まだ使用可能であれば減価償却を続けることができます。この場合、帳簿価格1円まで償却可能です。法定耐用年数を超えた後も建物が有効に使われている場合、減価償却を継続することは、経費としての計上を続ける上で重要です。
例えば、取得価額1,000万円、耐用年数22年の木造アパートで帳簿価格が残っていれば、その年の償却限度額(46万円)までであれば、帳簿価格1円まで、減価償却費を毎年計上することが可能です。
法定耐用年数を超えた建物でも、残存価額に応じて少額ながら減価償却を続けることが可能です。これにより、使用可能な期間中、少しでも税務上のメリットを享受できます。
さらに、建物の売却を検討する際にも注意が必要です。法定耐用年数を超えた建物は、帳簿価格が0円に近い状態が多く、売却時には思わぬ利益が発生することがあります。このため、売却前に税務上の影響をしっかりと確認し、適切な計画を立てることが重要です。
老朽化した建物の建て替えや注意点についてまとめた資料をご用意しました。ぜひダウンロードしてお読みください。
土地活用で差がつく減価償却戦略:収益性を高める秘訣
土地を有効に活用するためには、減価償却を上手に取り入れることが重要です。とくに、事業用不動産や商業施設を建てる際に、この減価償却を考慮した戦略が、長期的な収益性に大きな影響を与えることがあります。例えば、駐車場として運用している土地においても、上部空間を活用することでさらに収益を上げる可能性があります。
駐車場の上部空間を活用することによる収益性のシミュレーションを、減価償却を考慮した具体的な数値を基に詳しく見ていきましょう。
駐車場を活用した減価償却を考慮した収益シミュレーション
駐車場単体での収益シミュレーションと、駐車場の上部空間を活用した場合の収益シミュレーションを比較してみましょう。これにより、どちらの方法がより収益性を高めるかを検討できます。
駐車場単体の場合
例えば、都市部にある土地に駐車場を設置し、月額利用料として1台あたり2万円、20台分の収容スペースがある場合を想定します。
初期投資:1,000万円(舗装工事や区画線設置等)
年間収益:480万円(2万円×20台×12ヶ月)
減価償却費:約100万円/年(耐用年数10年で計算)
※よくあるアスファルト舗装の場合
税引前利益:380万円/年(480万円 – 100万円)
この場合、税引前利益として380万円が見込まれますが、減価償却費を考慮しても、キャッシュフローとしてはほぼ480万円が手元に残ります。
駐車場+上部空間活用の場合
次に、駐車場の上部空間を活用して賃貸住宅を建設する場合を考えてみましょう。
初期投資:5,000万円(建設費用)
年間収益:1,080万円(駐車場480万円+賃貸住宅600万円)
減価償却費:約220万円/年(鉄骨造、耐用年数34年で計算)
税引前利益:860万円/年(1,080万円 – 220万円)
この場合、賃貸住宅からの収益を加えることで、年間収益が大幅に増加します。減価償却費を考慮した税引前利益は860万円となりますが、実際のキャッシュフローとしては1,080万円が手元に残ります。さらに、長期的な視点で見ると、減価償却期間が終わった後も賃料収入が続くため、安定したキャッシュフローが期待できます。
賃貸ガレージハウスのポテンシャル:減価償却で見える真の収益力
賃貸住宅は、不動産投資において安定した収益を得られる代表的な方法です。通常の賃貸住宅は、立地や間取り、設備などに応じて収益性が決まりますが、そこにガレージという付加価値を加えることで、さらに高い収益性を見込める可能性があります。
ガレージ付賃貸住宅は、通常の賃貸住宅と比べて高い収益性を持つ可能性があります。
例えば、建設費6,000万円、年間賃料収入720万円の場合
- 初期投資:6,000万円
- 年間収益:720万円
- 減価償却費:約180万円/年(鉄骨造、耐用年数34年で計算)
- 税引前利益:540万円/年(720万円 – 180万円)
ガレージ部分も建物の一部として減価償却できるため、より大きな節税効果が期待できます。ガレージ付賃貸住宅の魅力は、収益性だけでなく、資産価値の維持にもあります。ガレージは付加価値を提供するため、賃料設定が高くなる傾向があります。
また、ガレージを必要とするターゲット層には長期的な契約を期待できるため、安定した収益が見込めます。また、ガレージ付き物件は需要が高く、長期的な資産価値の維持にもつながります。
さらに、減価償却を通じて、税負担を軽減しながら資産価値を維持することが可能です。ガレージ付賃貸住宅は、長期的な視点で見た時に高い投資効果を発揮します。
減価償却費の計上と確定申告:初心者でもできる実務のポイント
土地活用を始めたばかりの方、減価償却費の計上や確定申告に不安を感じていませんか?ここでは、初心者の方でも実践できる減価償却費の計上と確定申告のポイントを、わかりやすく解説します。この知識を身に付けることで、適切な税務処理ができ、土地活用の収益性を最大化できるはずです。
青色申告での減価償却費計上:ステップバイステップで解説
青色申告で減価償却費を計上する手順を、以下のステップで説明します。
- 必要書類の準備
・固定資産台帳
・青色申告決算書一式 - 減価償却費の計算
・定額法または定率法を選択(建物・附属設備・構築物は定額法のみ)
・耐用年数に応じた償却率を適用 - 青色申告決算書への記入
・「青色決算書の損益計算書」に減価償却費を記入
・「減価償却費の計算」欄に詳細を記入
初心者がよく陥る誤りとして、耐用年数の誤認や計算ミスがあります。とくに、減価償却の計算方法や耐用年数の設定は間違いやすいポイントです。正確に計算するためには、固定資産台帳をきちんと管理し、計算表を正しく作成することが重要です。不安な場合は、税理士に相談することをおすすめします。これにより、誤りを未然に防ぎ、確定申告をスムーズに進めることができます。
減価償却費累計額の管理術:税務調査も怖くない記録の仕方
減価償却費累計額の正確な管理は、税務調査への対応にも役立ちます。以下の点に注意して記録を行いましょう。
- 固定資産台帳の作成と更新
・資産の取得日、事業供用日、取得価額、耐用年数、償却率を記録
・毎年の期首帳簿価格と減価償却費、累計額を記入 - 証憑書類の保管
・領収書、契約書などを最大10年間保管
・電子データでの保存も可能(要件あり) - 税務調査への備え
・計算根拠を明確に説明できるよう準備
・耐用年数の根拠となる資料も保管
正確な記録と管理により、税務調査にも対応できます。とくに、固定資産台帳の更新は、資産の状態を正確に反映するために重要です。毎年の期首帳簿価格と減価償却費とその累計額を正確に記録することで、資産の減価状況を把握しやすくなります。また、証憑書類の保管期間を遵守し、必要に応じて電子保存を活用することで、効率的に管理できます。
税務調査の際には、減価償却費の計算根拠を明確に説明できることが求められることもあります。耐用年数の設定理由や、資産の取得時の詳細な情報を含む資料をきちんと整理しておくことで、税務調査に対して万全の備えができます。
また、よくある指摘事項としては、減価償却費の過大計上が挙げられます。これらの誤りを防ぐためにも、日々の記録管理が重要です。
不動産所得を最適化:減価償却費を活用した節税戦略
減価償却費を活用して、不動産所得を最適化する方法を解説します。
例:賃貸マンション(取得価額1億円、耐用年数47年)の場合
- 年間賃料収入:1,000万円
- 減価償却費:約220万円/年(定額法)
- 他の経費:300万円/年
この場合、課税対象となる不動産所得は480万円(1,000万円 –220万円 – 300万円)となります(青色申告特別控除は考慮していません)。
これに加えて、以下を検討してみましょう。
- 他の所得との損益通算
不動産所得が赤字の場合には、他の総合課税の所得(例えば給与所得)から相殺 - 長期的な税負担軽減
将来の売却を見据えた計画的な経費計上
次世代の土地活用:減価償却を味方につけた革新的プラン
土地活用をご検討中のオーナーのみなさま、その土地をさらに有効活用する方法をお探しではありませんか?ここでは、減価償却を味方につけた次世代の土地活用プランをご紹介します。これらの革新的なアイデアが、あなたの土地の価値を大きく高める可能性があります。
複合型駐車場施設の成功事例:減価償却を活かした高収益モデル
複合型駐車場施設は、駐車場機能に加えて店舗やオフィスなどを組み合わせた施設です。ある成功事例では、以下のような構成で高い収益性を実現しています。
- 1階:機械式駐車場(50台)
- 2-3階:小規模オフィス(10区画)
- 4-5階:シェアオフィス
初期投資額は約3億円でしたが、年間収益は約5,000万円に上ります。複合施設では、駐車場収入に加えて、オフィスやシェアオフィスからの賃料収入が安定的に得られます。多様な収益源を持つことで、経済環境の変動に強いビジネスモデルを構築できるのが特徴です。とくに注目すべきは、建物全体の減価償却費が比較的大きく、これにより課税所得を大幅に抑えることができている点です。この減価償却費を活用することで、実際のキャッシュフローを保ちながら、税負担を効果的に軽減することができます。減価償却をうまく利用することで、収益を最大化しつつ、長期的な資産価値を維持する戦略が可能となります。
この事例から学べるポイントは、複数の用途を組み合わせることで安定した収入源を確保しつつ、大きな減価償却費で税負担を軽減できることです。成功事例を参考にし、自身の土地に応用することで、高収益な複合型施設の運営が可能になるでしょう。
地域貢献型土地活用のすすめ:減価償却とCSRの両立術
地域貢献型の土地活用は、社会的価値と経済的価値を両立させる優れた方法です。例えば、以下のような活用法があります。
- 1階:コミュニティカフェ
- 2-3階:子育て支援施設
- 4-5階:高齢者向け賃貸住宅
これらの施設は、地域の課題解決に貢献しつつ、安定した収入を得られます。また、地域社会に貢献することで、地域住民との信頼関係が構築され、長期的な事業運営が可能になります。この社会的価値の提供が、土地活用の成功に大きく寄与します。さらに、福祉関連施設にはさまざまな税制優遇措置があり、減価償却においても有利な取り扱いを受けられる場合があります。例えば、特定の福祉施設を運営する場合、減価償却費の計上に際して、税制上の優遇措置が適用されることがあります。これにより、初期投資の回収が早まり、収益性が向上するだけでなく、地域社会に対する貢献も同時に達成できます。
地域貢献型の土地活用は、CSR(企業の社会的責任)活動の一環としても評価され、企業や個人オーナーのブランドイメージ向上にもつながります。経済的な利益と社会的価値を両立させる土地活用は、持続可能なビジネスモデルの構築に寄与します。
まとめ:あなたも今日から賢い土地活用者に
ここまで読んでこられた土地オーナーのみなさま、減価償却を活用した土地活用の可能性に興味が湧いてきたのではないでしょうか?ここでは、これまでの内容をまとめ、あなたが今日から実践できる賢い土地活用のポイントをご紹介します。
減価償却マスターへの道:成功する土地活用5つのゴールデンルール
- 長期的視点を持つ:
減価償却は長期にわたる戦略です。短期的な収益だけでなく、10年、20年先を見据えた計画を立てましょう。 - 適切な建物の選択:
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など、構造によって耐用年数が異なります。あなたの目的に合った建物を選びましょう。 - 定額法や定率法などの償却方法の選択:
事業の状況や資産の種類に応じて、適切な償却方法を選択します。初期の負担を軽くしたい場合は定率法(一部適用できない資産があります)、安定した経費計上を望む場合は定額法がおすすめです。 - 複合的な活用を考える:
駐車場と賃貸住宅の組み合わせなど、複数の用途を持たせることで、リスク分散と収益の安定化を図れます。 - 専門家のアドバイスを活用:
税理士や不動産の専門家に相談することで、より効果的な戦略を立てられます。
プロの目線を活用しよう:土地活用の専門家に相談するベストタイミング
専門家への相談は、以下のタイミングがおすすめです。
- 土地活用を検討し始めたとき
- 具体的な計画を立てる段階
- 税務申告の前
- 相続対策を考え始めたとき
相談する際は、以下の点を準備しておくとより効果的です。
- 土地の詳細情報(謄本や利用状況など)
- あなたの目標(収益重視、相続対策、社会貢献など)
- 現在の収支状況
- 将来の計画や希望
専門家への相談費用は、通常1回1〜3万円程度です。しかし、適切なアドバイスにより得られる長期的なメリットを考えれば、十分な投資価値があるといえるでしょう。
現在所有している土地をうまく活用するためには、まずはどれくらいの価値があるのかを知って、活用した時にどれくらいの利回りが予想されるかを知る必要があります。ご相談は無料です。将来的に土地活用をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
黒部 豪
税理士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/GKコンサルティング合同会社 代表社員
東京都出身。明治大学理工学部物理学科卒業。大学卒業後はIT会社に勤務していたが、一念発起して税理士に。都内の税理士事務所に約10年ほど勤務したのち、2021年にくろべ税理士事務所を開業。法人や個人事業主の税務顧問以外に、相続やファイナンシャルプランなどのスポット案件も行う。
