Home フィル・パークマガジン ガレージハウスとは?その魅力やメリット・デメリット、賃貸系土地活用としておすすめの理由

2024.08.07 アパート・マンション経営土地活用

ガレージハウスとは?その魅力やメリット・デメリット、賃貸系土地活用としておすすめの理由

この記事の監修者
垣内 典之一級建築士垣内 典之

車好きのにとって、愛車とともに暮らせる家が理想の住まいでしょう。その夢を叶える新しい住まいが、ガレージハウスなのです。以前は注文住宅としてオリジナルの設計で作るケース多かったのですが、近年ではこのガレージハウスになんと「賃貸物件」形式が登場しています。
「賃貸ガレージハウス」は、これまでガレージハウスに住みたくても住めなかった入居者層からの需要が高まっており、アパート・マンション経営に代わる新たな不動産系の土地活用として地主のや投資家など土地活用に興味がある方々から注目を集めています。
そこで本記事では、ガレージハウスの概要から、賃貸ガレージハウスの魅力、そして土地活用としての可能性まで詳しく解説します。

ガレージハウスの基本概念と特徴

まずは、ガレージハウスの一般的な概念や特徴について解説します。

ガレージハウスの定義と構造

ガレージハウスとは、住宅の一部にガレージを組み込んだ建物を指します。一般的に1階部分がガレージスペース、2階以上が居住スペースとなっています。
構造で分けるとビルトインガレージ(完全に建物内部に組み込まれたタイプ)と、インナーガレージ(建物に隣接して設置されたタイプ)の2種類に大別されます。また四方壁で囲まれていないオープンな作り(ピロティ)のガレージもあります。
ガレージ部分は通常の住宅よりも大きな開口部が必要となるため、より耐震性に配慮した設計が求められるのに加え、騒音や振動、排気ガス対策として適切な防音材や換気システムの導入も必要です。
ガレージハウスはアメリカで多く採用されていますが、日本でもオシャレな外観やライフスタイルから憧れる人が増えています。とくに車好き人にとっては、車をいじりながら家族と離れたパーソナル空間で趣味に没頭できる場として「隠れ家」「趣味の城」といったイメージが定着しているのです。
近年はリモートワークの増加がきっかけとなり、「おうち時間」「2拠点生活」ができることから人気を集めています。この点からも、ガレージハウスが実現する新しいライフスタイルが注目されているのです。

車好きにとっての理想的な住まい

ガレージハウスは、車やバイク好きにとって理想的な住まいとして人気を集めています。その最大の魅力は、愛車を身近に感じながら暮らせる点です。ガレージ内でじっくりと愛車のメンテナンスやカスタマイズを楽しめますので、趣味の時間を存分に満喫できます。
またガレージの広い空間に作業スペースやバーカウンターを設置するなど、自分好みのスペースをデザインできるも大きな魅力です。さらにガレージ部分をガラス張りにすれば、リビングから愛車を眺めながらくつろぐこともできます。
このようにやバイク好きの方々にとって、ガレージハウスは単なる住まいではなく、趣味と生活が融合した理想的な空間を提供してくれるのです。

愛車とともに暮らすライフスタイルの魅力

ガレージハウスで、愛車とともに暮らすライフスタイルを実現できるだけでなく、多くの魅力があります。まず屋内にあるガレージに車を停めておけますので、防犯面で安心できます。またカスタマイズやメンテナンスに必要な道具備えておけますので、愛車の維持管理も便利です。
このように愛車を生活の一部として大切に扱えますのでより豊かで充実したライフスタイルを実現できるがガレージハウスの大きな魅力です。

ガレージハウスのメリットと楽しみ方

ガレージハウスには多くのメリットがあり、さまざまな楽しみ方ができます。そこで、ガレージハウスのメリットや楽しみ方についてご紹介します。

愛車の保護と管理の容易さ

ガレージハウスでは愛車を屋内に保管できるため、雨や雪、直射日光などから車を保護できます。戸外で車を保管すると、紫外線や温度の変化、ホコリなどの汚れ、雨などによって傷めてしまう危険性がありますが、ガレージハウスに置いておけばこのようなリスクを回避できるのです。
なお、カーポートでも、色あせや傷を完全に防ぐことはできません。そのため、愛車に長く乗り続けたい場合にはガレージをおすすめします。またいつでも雨水のふき取りなどの作業ができるので、愛車のコンディションを維持できるメリットもあるです。

盗難対策などセキュリティ対策として

ガレージハウスは車を屋内に保管するため、盗難のリスクを大幅に低減できるメリットもあります。自動車の盗難件数は、ここ数年増加傾向にあり、中でも一般住宅における被害件数は増加を続けています。
最近はピッと押すだけで遠方からドアを開錠できるスマートキーが主流になっていますが、そのスマートキーを採用する車から発せられる微弱な電流を「キープログラマー」という専用の機器で拾って、電波から読み取った情報IDが登録されていないスマートキーに書き込んで、車の合鍵を作ってしまう盗難の手口も登場しているのです。
しかし、ガレージは通常の駐車場と比べて外部の目に触れにくく、施錠管理も容易です。またホームセキュリティシステムと連動させれば、より高度な防犯対策を実現できるでしょう。
価値の高い車は盗難のリスクも高い​ため愛車を安全に保管できる環境は、車好きにとって大きな安心感もたらしてくれるでしょう。

限られた土地でも駐車スペースを確保できる

都市部では広い土地がなかなか取得できず、住まいに十分な駐車スペースを確保することが難しい場合があります。しかし、ガレージハウスならば建物の一部として駐車スペースを組み込めるため、限られた土地を効率的に活用できるのです。

趣味スペースや倉庫ストレージとしての活用法

ガレージは単なる駐車スペースではなく、さまざまな目的で活用できる空間でもあります。例えば車のメンテナンスやカスタマイズの作業スペースとして使用したり、ワークショップ空間として利用したりなど、多様な趣味のスペースとして活用することもおすすめです。

ガレージを中心とした家族の暮らし

ガレージハウスでは、ガレージを家族の共有スペースとして活用することもできます。例えば、休日にガレージで家族ホームパーティーを開いたり、おうちキャンプを楽しんだりできます。屋内ならば雨の日でも気軽に集まることができ、キッチンからお料理を運びやすい点も便利です。
また子どもたちの遊び場として活用するケースもあります。ウッドデッキやガーデンルームなどを持ち込んで、安全に遊べる屋内空間を用意できるでしょう。

ギャラリーやショーケースとしての利用

愛車を芸術作品のように愛でたい場合でも、ガレージハウスはおすすめです。ガラス張りのガレージを設ければ、リビングやダイニングからでも愛車を眺めることができます。
このように、ギャラリーやショーケースのように愛車を展示する方法もおすすめです。

税金の面で優遇がある

ガレージハウスには、税金面におけるメリットもあります。例えば、固定資産税は、その建物の面積や材質・強度など全てを考慮して決定されます。ガレージ部分は居住スペースに比べて簡易になりやすいため、居住部分よりも評価が低くなる可能性があります。

ご紹介したメリット楽しみ方を考慮すれば、ガレージハウスは入居者の方にとって理想的なライフスタイルを実現する場所であり、かつ物件のオーナー様にとっても理想の運用方法となるでしょう。

ガレージハウスの賃貸がある!?

ガレージハウスの人気の高まりから、近年ではガレージハウスを所有するだけでなく、賃貸で借りられるところも増えてきました。賃貸ガレージハウスは車好きなどさまざまな趣味を持つ方にとって理想の住まいを手に入れる新しい選択肢となっています。
賃貸ガレージハウスは購入と比べて、初期費用を抑えながらガレージハウスライフを楽しめる点が魅力です。賃貸なら比較的手軽にガレージハウスに住むことができ、転勤などで将来的な移動の可能性がある方にとっても便利な選択肢となるでしょう。

ガレージハウスの賃貸が登場した経緯

ガレージハウスの賃貸が支持され、広まってきた経緯について詳しく見ていきましょう。

車好きの需要の増加

日本では車やバイクを趣味とする人々からのニーズにより、愛車と一緒に暮らせるガレージハウスなどの住宅へのニーズが高まりました。しかし、ガレージハウス購入するには高額であるため、賃貸という選択肢が求められるようになったのです。

都市部での駐車スペース不足

都市部では、昔から駐車スペースの確保が難しいという課題がありました。そこでガレージハウスの賃貸は、この課題を解決する方法として注目されていたと言われています。

ライフスタイルの多様化

趣味や仕事のスペースとしてガレージを活用したいという需要が増加したころから、賃貸でもそのようなライフスタイルを実現できる物件へのニーズ高まりました。

土地所有者の新たな活用方法

従来のアパート・マンション経営が供給過多になっていたため、賃貸物件の差別化を目的としてガレージハウスがフォーカスされるようになってきています。

賃貸のガレージハウスとは?実例紹介

次に、賃貸のガレージハウスの事例について見ていきましょう。

賃貸ガレージハウスの間取り

こちらの物件は埼玉県の戸田市にある賃貸ガレージハウスです。1階がガレージスペースで、2階が居住スペースとなっています。
ガレージは2台分の駐車スペースがあり、作業スペースも確保されています。また2階の居住スペースは、リビング・ダイニング・キッチンが一体化した空間となっています。一般的な賃貸物件に必要な収納の機能が1階の空間でもまかなえるため、2階の居室を広々と使えるメリットもあります。
2階には洋室1部屋とLDKがあり、2人の大人が快適に住める広さです。
2階にはバルコニーもありますので、外の景色を楽しめます。
以上のように、1階のガレージと2階の居住スペースが明確に分かれた間取りとなっています。またガレージを十分に確保しつつ、居住スペースも機能的に設計されていますので、車好きの方や家族にとって理想的な間取りといえるでしょう。

プレミアムガレージハウスの2階居住スペースの間取り

プレミアムガレージハウスの1階ガレージスペースの間取り

ガレージの雰囲気

車庫として、普通車2台分の駐車スペースがある大型のガレージ約32㎡/19.7帖を確保しています。またガレージスペースには換気扇や小窓が設置されており、換気に配慮しています。

ガレージの仕様またガレージ内にはシンクや水道も備わっており、入口のリモコンシャッターは幅約4.5m(B号室は3.6m)×高さ約2.4mの大型なので開放感があります。ガレージ内にはセコムのセキュリティセンサーが設置されており、ホームセキュリティサービスが利用可能です。

プレミアムガレージハウスの外観

外観はツートンカラーの木目調で、スタイリッシュな印象となっています。屋外に1台分の駐車スペースも用意されており、来客にも対応しやすい計3台分の駐車スペースが確保されています。さらに首都高速のインターチェンジから車で10分程度と車のアクセスが良好な入居者にとっては嬉しいポイントでしょう

賃貸ガレージハウスの中ってどうなっている?プレミアムガレージハウスの内部を特別公開!【ガレージ編】|プレミアムガレージハウス

2階にある居住スペース

2階はリビングダイニングキッチン約8.0帖と洋室約5.3帖の居住スペースになっています。ダークブラウンのフローリングとキッチンの木目調で落ち着いた雰囲気です。

ガレージハウスの2階居住スペースリビングと洋室の間に引き戸があり、部屋を仕切れるようになっています。洋室の一面がブルーのアクセントクロスとなっており、落ち着きやすい色合いです。バルコニーと洋室の窓から陽射しが入りますので、開放感があります。
洋室にはクローゼットを設置しています。壁沿いの幅広のキッチンは調理に専念しやすいレイアウトになっており、コンロは2口あるので使いやすく、シンクも広めです。

ガレージハウスのキッチン仕様またシンク下の引き出しと吊り戸棚が備え付けられており、収納スペースが大きいです。ユニットバスも1616mmサイズと大きいので、バスタイムをゆったりと過ごせるでしょう。
このように、ガレージスペースだけでなく、居住スペースも快適に過ごせる機能的で使いやすい設計になっているため、ガレージハウスならではの日常送れる空間といえるでしょう。

賃貸ガレージハウスの中ってどうなっている?プレミアムガレージハウスの内部を特別公開!【居住スペース編 】|プレミアムガレージハウス

賃貸ガレージハウスとは?これまでの賃貸経営と何が違う?

土地オーナーのにとって、賃貸ガレージハウスは新しい土地活用の形として注目を集めています。なぜなら従来の賃貸アパートやマンションとは異なり、ガレージハウスは特定のニーズに応える物件として高い需要が見込まれるからです。
また賃貸ガレージハウスで、土地の有効活用と安定した収入も期待でき、競合物件との差別化を図りやすいです。

アパート・マンション経営は供給過多!?

現在では多くの地域において、一般的なアパート・マンション経営は供給過多の状況にあると言われています。その傾向を裏付ける根拠は、以下のとおりです。

  • 空室率の上昇
    空室率とは、需要に対して供給が過剰であることを示す指標として使われています。実際に多くの地域で賃貸住宅の空室率が上昇傾向にあります。
  • 賃料の下落
    供給過多の現状から、賃料の下落や値引き競争が起きている地域が増えています。このような状況需要と供給のバランスが崩れていることを示唆しているのです。
  • 建設戸数の増加
    低金利や相続税対策などを背景に、アパートやマンションの建設戸数が増加し続けています。しかし、人口減少や世帯数の伸び悩みから、需要の伸びが供給の増加に追いついていません。
  • 地域による偏り
    都市部では需要がある程度維持されていますが、地方では人口減少によって需要も減っています。しかし、需要が減少しているにもかかわらず、新たな物件の建設が続いているケースがあるのです。
  • 政府や自治体の対応
    政府や一部の自治体では、アパートやマンションの建設を抑制する施策を打ち出しています。この政策が実を結ぶか、まちの活性化が果たせなければ、供給過多の問題は解決しないでしょう。

このような状況から、一般的なアパート・マンションと差別化を図る土地活用の一つとして、賃貸ガレージハウスに注目が集まっているのです。一般的なアパート・マンションの経営に不安を感じる方に向けて、新しい土地活用術の情報を知りたい方は、ぜひこの機会にダウンロードしてご覧ください。

賃貸ガレージハウスが土地活用として人気な理由

賃貸ガレージハウスが新しい土地活用として人気を集めている理由は、以下のとおりです。

需要が多く供給が少ない

ガレージハウスは車好きをはじめ、様々な趣味のスペースとして活用したい入居者に対して需要がありますが、供給が追いついていない状況にあります。アパートやマンションでは供給過多が指摘されていますのでガレージハウスは新しい市場を開拓しつつあるといえるでしょう。

税制上のメリットがある

賃貸住宅を建設することで小規模宅地等の特例を利用して相続税などの評価を下げられます。とくにガレージハウスは、固定資産税の評価も居住部分より低く抑えやすい傾向あります。

郊外や駅から遠い土地でも問題ない

一般的な賃貸住宅は駅からの距離が重視されますが、ガレージハウスは車での移動を前提としているため、立地条件にあまり左右されません。そのため、郊外や駅から遠い土地でも経営しやすいのです。

入居者は高所得者が多い

ガレージハウスの入居者は車好きが中心であり、高い収入があって趣味やライフスタイルにお金をかけてもこだわりたい方が多い傾向にあります。そのため、やや高い家賃でも入居者を確保しやすく、安定した経営が期待できるでしょう。
以上のように、賃貸ガレージハウスは需要のニーズが高く、税制面でのメリットもあります。また立地条件や土地の形状には左右されます。高所得者層を対象とした経営が可能です。これらの理由から、土地活用の選択肢として注目を集めているのです。
ただし、専門的な知識や適切な設計・運営が必要となるため、専門業者への相談が重要となる点に気をつけましょう。

ガレージハウスの注意点とデメリット

ガレージハウスには多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。そこでガレージハウスのデメリットをまとめました。

居住スペースが狭くなる

ガレージハウスでは住宅の1階部分をガレージスペースとして使うため、居住スペースが狭くなる場合があります。おもに2階が居住スペースとなり、さらにスペースを確保するには3階建てにする必要があり、階段の上り下りに苦労するかもしれません。
ガレージハウスを収納スペースとして活用すれば、その分居住スペースを広く活用できますが、取りの工夫が重要ですので、その点に注意しましょう。

騒音・振動対策の重要性

ガレージにシャッターを設置した場合騒音問題に注意が必要です。とくに深夜や早朝に車が出入りする場合は、シャッター音が騒音となってトラブルに発展するリスクが考えられます。そのため、防音性の高いシャッターの導入や車の出入り時間への配慮などに気をつける必要があります。
またビルトインガレージ内でエンジンをかけると、その強い振動が2階部分に伝わることもあるため防振効果のある天井材を使うなどの対策の検討をしましょう。

換気と排気ガス対策の必要性

ガレージ内で車を動かすと排気ガスが充満してしまうため、適切な換気設備を整える必要があります。とくにビルトインガレージの場合には密閉された空間になるためとくに注意が必要です。それらの解決法として、換気扇の設置や開口部の確保などの対策を講じましょう。

メンテナンスと清掃の手間

ガレージハウスガレージ部分は広いため、清掃や管理に手間がかかります。とくに車が趣味の方は、入念なガレージの掃除や車の出し入れによる汚れ対策などかなりの手間が必要となるでしょう。以上のように、ガレージハウスにはメリットが多い一方で、居住スペースの確保騒音・振動対策、換気設備、メンテナンスなど注意すべき点も多数あります。そのため、設計時には専門家に相談しながら十分な検討を重ねることが重要です。

ガレージにあると良い機能

また人気が出るガレージハウスを経営していくために重要な設備は、以下のとおりです。

  • 換気扇:ガレージ内の排気ガスや湿気対策
  • オートライト:夜間に車を入出庫する際に快適な自動照明
  • エアコン:ガレージ内作業の快適性を確保
  • スロップシンク:道具や大きなものも洗えるガレージ内のシンク
  • EV用充電コンセント:EV(電気自動車)を充電できる200Vの EV コンセント

そのほか、あると良い機能もありますので、ご紹介します。

  • 作業スペース
    愛車のメンテナンスやカスタマイズを行うために、作業スペースを設けておくと便利です。また作業台や工具棚、照明などを備えれば作業しやすくなります。
  • 収納スペース
    車検証や工具、オイルなどの車関連の物品を収納できる棚やロッカー設置おすすめです。
  • バーカウンター
    ガレージ内にバーカウンターを設置すれば、くつろぎのスペースとしても活用できます。車好きの方々が集まって談笑したり、ホームパーティーを開いたりする時に役立つでしょう。
  • ショールーム
    ガレージとリビングをガラス張りにすれば、室内から愛車を鑑賞できるショールームのような空間を演出できます。
  • 給排水設備
    給排水設備を設置しておけば、洗車や掃除で便利です。また排水溝や排水ポンプなども検討してみてもいいでしょう。
  • 収納庫
    収納スペースに入りきらないタイヤや工具などを収納する収納庫設置もおすすめです。

これらの機能や設備を取り入れればガレージライフをより快適に過ごせるでしょう。予算や目的に合わせて、ぜひ検討してください。

建築コストと予算の考え方

同じ広さの賃貸物件を作る場合は、ガレージハウスのほうが建築コストは高くなります。1階をガレージとして広い間取りをとるため、仕切りの壁面で支えることができない分、建物の強度を高める対策が必要となるためです。
ただし、駐車場を設けるための敷地を確保する必要がある点を考えれば、そのコストを比較してみることが大切です。
また、入居者にとって、家賃とは別に駐車スペースを借りるためには費用がかかるため、サービスのレベルに違いが出ます。
上記の点を念頭に、ガレージハウスのメリットを検討してみましょう。

賃貸ガレージハウス経営と税金・法規制

賃貸ガレージハウスを経営する場合には、税金や法規制で気をつけておくべき点があります。それぞれ重要なポイントを解説しますので、ぜひチェックしてください。

容積率の緩和措置

容積率と建築基準法上の規定であり、敷地面積に対する延べ面積(建物の各階の床面積の合計)の割合を指します。
ガレージはその床面積が建物の延べ面積の5分の1以下の場合、容積率算定のための床面積に含まないという容積率の緩和措置が受けられます。
つまり、ガレージ部分の床面積の分、居住用の面積に使って良いということになります。
具体的な例を挙げると、延べ面積が100平方メートルの建物の場合、ビルトインガレージの床面積は20平方メートルまで、容積率の計算から除外できます。そのため実質的に居住スペースを広く確保できるのです。

固定資産税の評価

建物の固定資産税の課税面積については、ガレージ部分も含まれます。しかし、ガレージ部分は居住部分よりも低く評価される傾向にあるため、同じ床面積の一般的な賃貸物件よりも税負担が軽減される可能性があるのです。

不動産所得の確定申告

賃貸経営による収入は、不動産所得として確定申告が必要となります。そのため、適切な経理処理と税務申告が求められます。

建築基準法の規制

ガレージ部分の防火対策や換気設備などについて厳密なルールがありますので、これらの法規制を遵守することが重要です。例えば、内壁及び天井を難燃若しくは不燃素材で覆わなければならない、といった規制があります。また1階をガレージとして広い間取りをとる場合には、建物の強度を高める対策が必要となります。

以上が、現時点での賃貸ガレージハウス経営に関わるおもな税金や法規制です。また今後の法改正にも注意を払い、適切に対応していくことが求められます。ただし土地オーナー様がつねにこれらの税金や法律の最新の情報を必ずしも知っておく必要はありません。困った時に専門家に相談すれば適切なアドバイスを受けられますので、健全な経営を続けていきましょう。

賃貸ガレージハウスの新しい取り組み

賃貸ガレージハウスは2000年ごろから登場しましたが、ここ数年において進化した様式のガレージハウスが増えています。どのような新しいガレージハウスがあるのかご紹介しましょう。

エネルギー管理システムやIoTの導入

最近の賃貸ガレージハウスでは、省エネやスマート化の取り組みが進んいます。例えば、太陽光パネルを設置して電気代を抑えたり、高効率の断熱材を使用して冷暖房費を削減したりする工夫が行われているのです。
またIoT技術を活用したスマートハウス化も進んでいます。ガレージのシャッターや照明、空調をスマートフォンで遠隔操作できるシステムなどを導入しており、入居者の利便性を高めています。
これらの省エネ・スマート化の取り組みは、入居者にとっての魅力を高めるだけでなく、オーナーにとっても共有部分のランニングコストの削減につながるメリットがあります。

サステナブルな建材CLTを利用した賃貸ガレージハウス

サステナブルな建材であるCLT(直交集成板)を利用した賃貸ガレージハウスも登場しています。
CLTは木材を積層・圧着した建材であり、高い強度と断熱性を備えています。木造ガレージハウスでも、CLTを採用する事で環境負荷の低減に寄与出来ます。またCLTは工場で加工・生産されるため、現場での施工がかんたんで工期の短縮期待できます。軽量で狭小地にも対応しやすい建材ですので、建設工事上のメリットもあります。
さらにCLTの断熱性を活かせば冷暖房の省エネ化を図ることできます。このようにCLTの優れた性能から、ガレージハウスを過ごしやすい空間できるでしょう。

これからのガレージハウスとは

ガレージハウスの概念は、今後さらに進化していく可能性があります。例えば、電気自動車の普及に伴い、充電設備を備えたガレージハウスの需要が高まると予想されています。また自動運転技術の発展によって、ガレージの役割や設計も変化していくかもしれません。そのため、郊外のガレージ付き住宅の需要が高まることも考えられます。
さらにワークスペースとしてのガレージの活用も注目されています。テレワークの増加に伴い、ガレージを車庫兼一時的な仕事場として利用するニーズが高まっているのです。このような新しいライフスタイルに対応したガレージハウスの設計や提案が今後ますます重要になってくるでしょう。

まとめ

賃貸ガレージハウスは車好きや様々な趣味のスペースとして活用したい入居者に対して理想の住まいであるだけでなく、地主のにとっても魅力的な土地活用の選択肢となっています。賃貸ガレージハウスという新しい形態は、入居者と所有者の双方にメリットをもたらす可能性を秘めているのです。
しかし、賃貸ガレージハウスの経営には専門的な知識が必要だったり注意すべき点に気をつけたりするケースも多くあります。例えば、騒音対策や法規制の遵守、税務処理などさまざまな側面に配慮する必要があります。そのため、専門家と相談しながらこれらの課題を解決して、省エネやスマート化などの最新トレンドを取り入れれば、より魅力的な賃貸ガレージハウスを提供することができるでしょう。
賃貸ガレージハウスは土地活用の新たな可能性を秘めていますので、これからの土地活用のひとつとして、ますます注目される存在となっていくでしょう。

新しい土地活用にご興味にある方は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者

垣内 典之

株式会社 PROPUP 代表取締役/一級建築士

石川県金沢市出身。千葉大学大学院修了(建築学)。建築設計監理からキャリアをスタート、環境性能に係る設計審査業務、企業不動産(CRE)戦略、ファシリティマネジメント(FM)コンストラクションマネジメント(CM)等を経験。建築・不動産・ITを横断的に繋げ、高次元のプロパティ・マネジメントを実現するべくPROPUPを設立。

垣内 典之の写真