フィル・パークマガジン 土地を貸す際の収入相場は?確定申告・税金など注意点やよくあるトラブル解説

土地を貸す際の収入相場は?確定申告・税金など注意点やよくあるトラブル解説

「土地は所有しているけれど、有効活用できていない・・・」そのような方は多いのではないでしょうか?
土地活用の一つの手段として「土地を貸し出す」という選択肢があります。これにより安定的な収入を得ることができます。しかし、土地を貸す際には、収入の相場や税金、トラブルなどの注意点があります。本記事では、土地を貸す際の収入相場や確定申告、税金などの注意点、よくあるトラブルについて総合的に解説していきます。
「土地を貸す」土地活用
土地を所有している方にとって、その土地をどう活用するかは重要な課題ですよね。より効率的で収益性の高い方法を実現することは、全ての土地オーナー様が望まれていることではないでしょうか。
本項では、その選択肢の一つである「土地を貸す」という土地活用について、そのメリットやデメリット、そして借地権について詳しく解説します。
- ▼土地を貸さずに賃貸物件を建てて収益を上げる、という方法もあります。40坪の土地活用について詳しく解説した記事はこちら。
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- ・40坪の土地活用法:おすすめの間取りと費用の目安、土地を最大限活用する方法を徹底解説
土地を貸すメリット
土地を貸すことには、多くのメリットがあります。以下にその代表的なものを挙げてみましょう。
安定した収入を得ることができる
土地を貸すことで、定期的な賃料収入を得ることができます。例えば、アパート経営などの場合、集客や空室リスクに悩むことがあるかもしれませんが、「土地を貸す」という土地活用の場合、そのような悩みはありません。また、建物の修繕費もかからないため、安定して利益を出し続けることができます。
固定資産税の負担軽減
土地を所有しているだけでも固定資産税がかかりますが、土地を貸すことで賃貸収入を得ることができ、税負担を賄うことができます。賃貸収入の一部を税金の支払いに充てることができるため、経済的な負担が軽減されます。
土地の有効活用
土地をそのまま放置しておくよりも、貸すことで有効に活用することができます。とくに都市部の土地は需要が高く、貸すことで地域社会に貢献しながら自身の利益も確保することができます。
リスク分散
土地を複数の借主に貸すことで、収入源が分散され、特定の借主に依存しない安定した収益を得ることができます。
土地を貸すことで得られるメリットは多岐にわたりますが、次に土地を活用しない場合のデメリットについても考えてみましょう。
土地を活用しないデメリット
土地を所有しているだけで何も活用しない場合、以下のようなデメリットが生じる可能性があります。
固定資産税の負担
土地を所有している限り、固定資産税は毎年発生します。土地を活用しない場合、この税金は純粋な支出となり、収入を生むことはありません。
土地の価値低下
土地を放置しておくと、環境要因や法規制の変化により、土地の価値が低下する可能性があります。とくに都市部では、周辺の開発状況により土地の価値が大きく変動するため、適切なタイミングでの活用が重要です。
管理コストの増加
使用されていない土地でも、管理には一定のコストがかかります。雑草の除去や不法投棄の防止、周辺環境の整備など、土地を保持するための管理コストが発生します。
法的リスク
使用されていない土地は、不法占拠などの法的リスクを抱えることがあります。これに対する対策を講じる必要があり、これもまたコストとなります。
以上のように、土地を活用しない場合には多くのデメリットがあります。土地を所有しているというアドバンテージを活かし、その土地を適切な形で活用することで得られるメリットを追求していきましょう。
土地を貸すと借地権が発生する
土地を貸す場合、借地権という概念が重要になります。借地権とは、土地を借りる際に発生する権利で、これにより借主は一定期間その土地を使用する権利を得ます。例えば、借主が先に建物を建て、それを登記することで借地権が発生します。この場合、土地オーナーが将来その土地を使用したいと思っても、「土地を明け渡してほしいのに、借主が借地権を主張して出て行ってもらえない」という状況が発生する可能性があります。
借地権には、普通借地権や定期借地権などいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。普通借地権は長期間の借地関係が維持されますが、定期借地権は契約期間が終了すると更新されないため、土地オーナーは一定期間後に土地を取り戻すことができます。詳しくは次項で解説します。
土地を貸すことは、オーナーにとって多くのメリットをもたらす一方で、デメリットや法的なリスクも存在します。土地の有効活用を検討する際には、これらの点を十分に考慮し、適切な判断を行うことが求められます。
借地権とは?
借地権は、他人の土地を借りて使用する権利のことを指します。土地を所有している方が、その土地を貸し出すことで、借主は一定期間その土地を使用することができます。借地権は、土地活用の方法の一つとして注目されています。本項では、借地権の歴史や「借地法」と「借地借家法」の違いについて詳しく解説します。
これまでの歴史
借地権の歴史は古く、明治時代にまで遡ります。当時は、借地に関する明確な法律がなく、借地契約は当事者間の合意に基づいて行われていました。しかし、借地人の権利が十分に保護されていないという問題があったため、1921年(大正10年)に旧借地法が制定されました。その後、1991年(平成3年)に借地借家法が制定され、現在に至ります。
「借地法」と「借地借家法」の違い
借地権に関する法律には、「借地法」と「借地借家法」の2つがあります。ここでは、それぞれの法律の特徴について解説します。
借地法
借地法は、1921年に制定された法律で、借地契約に関する基本的なルールを定めています。借地法では、借地権の存続期間や地代の支払い方法、契約更新の手続きなどが規定されています。借地法の適用対象は、主に住宅用の借地契約です。
借地借家法
借地借家法は、1991年に制定された法律で、借地法を含む、借地借家に関する包括的な法律です。借地借家法では、借地権の種類や契約期間、契約更新の手続きなどが規定されています。借地借家法の適用対象は、住宅用の借地契約だけでなく、事業用の借地契約も含まれます。
借地権の種類
借地権は、大きく分けると契約期間を更新可能な「普通借地権」と契約期間を更新できない「定期借地権」の2種類に分類できます。
また、定期借地権の中でも「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用定期借地権」の3種類に分類できます。これらの違いについて以下の表にまとめました。
普通借地権 | 定期借地権 | |||
一般定期借地権 | 建物譲渡特約付借地権 | 事業用定期借地権 | ||
存続期間 | 30年以上 | 50年以上 | 30年以上 | 10年以上50年未満 |
更新後の期間 | 1回目20年
2回目以降10年 |
なし | なし | なし |
利用目的 | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 事業用(居住用は不可) |
契約の形式 | 規定なし | 公正証書 | 規定なし | 公正証書 |
借地関係の終了 | 正当事由 | 期間満了による | 30年以上経過した時点で建物を相当の対価で地主に譲渡することを特約する。口頭でも可 | 期間満了による |
契約終了時の建物 | 1. 建物は地主が買取る 2. 借地人が建物の解体・撤去をし土地を返還する |
原則として借地人は建物を取り壊して土地を返還する | 1. 建物は地主が買取る 2. 建物は収去せず土地を返還する 3. 借地人または借家人は継続して借家として住まうことができる |
原則として借地人は建物を取り壊して土地を返還する |
借地権を設定することで、土地のオーナーは安定した収入を得つつ、将来的な土地利用計画を考慮することができます。しかし、借地権の設定には法的な手続きや契約内容の確認が必要となるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
借地法の旧法と新法 存続期間についての違い
借地法には、旧法と新法の2つがあります。旧法は、借地法が制定された1921年から1991年までの期間に適用されていた法律で、新法は、1992年以降に適用されている法律です。旧法と新法では、借地権の存続期間に関する規定が異なります。旧法と新法の違いを以下にまとめました。
区別 | 期間の合意 | 期間の合意の詳細 | 初回の契約期間 | 更新 | |
借地法
(旧法) |
堅固建物 | 期間の合意なし | 30年以上 | 30年以上 | |
期間の合意あり | 60年 | 30年 | |||
非堅固建物 | 期間の合意なし | 20年以上 | 20年以上 | ||
機関の合意あり | 30年 | 20年 | |||
区別 | 期間の合意 | 期間の合意の詳細 | 初回の契約期間 | 初回更新 | 2回目以降の
更新 |
借地借家法
(新法) |
普通借地権 | 期間の合意なし | 30年以上 | 20年以上 | 10年以上 |
期間の合意あり | 30年 | 20年 | 10年 | ||
定期借地権 | 一般定期借地権 | 50年以上 | – | ||
建物譲渡特約付借地権 | 30年以上 | 建物譲渡で借地権は消滅 | |||
事業用定期借地権 | 10年以上50年未満 |
旧借地法では、借地権の存続期間は、原則として30年以上と定められていましたが、新法(借地借家法)では、普通借地権の場合は30年以上、定期借地権の場合は50年以上などの種類があり、具体的な期間は契約によって異なります。
借地権を設定する際には、借地法と借地借家法の違いを理解し、適切な契約を結ぶことが重要です。借地権の種類や契約期間、地代の支払い方法などは、土地所有者と借主の間で十分に話し合い、合意形成を図る必要があります。
また、借地権を設定する際には、税金の問題にも注意が必要です。借地権の設定によって、借主の名義での固定資産税や都市計画税の減免措置が適用されることはなく、所有者が引き続きこれらの税金を支払う必要があります。税金の負担については、契約書に明記するなど、トラブルを避けるための対策が必要です。
借地権は、土地活用の有効な方法の一つですが、リスクも伴います。借地権を設定する際には、専門家に相談し、適切な契約を結ぶことが大切です。借地権に関する知識を深め、土地活用の可能性を探ってみてはいかがでしょうか。
土地を貸して収入を得る方法とそれぞれの相場
土地オーナーが収入を得る方法として「土地を貸し出す」という選択肢があります。これにより、安定した収入を得ることができます。本項では、土地を貸して収入を得る方法とその相場について詳しく解説していきます。
土地を貸し出す際の借地料の相場は、地域や立地条件によって大きく異なります。一般的に、都市部では年間地価(国土交通省が毎年発表する「公示地価」や都道府県が発表する「基準地価」)の3〜5%程度が相場とされています。一方、地方ではこれより低くなることが多いです。
また、商業用地や住宅用地、農地などの用途によっても相場は変動します。借地契約を結ぶ際には、周辺の土地の相場や利用目的を十分に考慮し、適切な価格設定を行うことが重要です。
普通借地契約における収入相場
普通借地契約は、借主が土地を借りて建物を建てる契約方式です。契約期間は30年以上で、借主は建物を所有することができます。普通借地契約における収入相場は、以下のようになります。
- 東京都心部:1坪あたり月額5,000円~10,000円
- 東京都郊外:1坪あたり月額2,000円~5,000円
- 地方都市:1坪あたり月額1,000円~3,000円
ただし、これはあくまでも目安であり、土地の立地や面積、契約条件などによって、収入相場は大きく異なります。
定期借地契約における収入相場
定期借地契約は、一定の期間を定めて土地を貸し出す借地契約方式です。契約期間が満了すると、借主は建物を取り壊して土地を返還する必要があります。定期借地契約における収入相場は、以下のようになります。
- 東京都心部:1坪あたり月額3,000円~8,000円
- 東京都郊外:1坪あたり月額1,500円~4,000円
- 地方都市:1坪あたり月額500円~2,000円
定期借地契約は、更新がないため、普通借地契約と比べて収入相場は低くなる傾向があります。
等価交換方式における収入相場
等価交換方式は、土地所有者が土地を提供し、ディベロッパーが建物を建てる方式です。建物完成後、土地と建物の価値を評価し、等価になるように持分を分けます。等価交換方式における収入相場は、以下のようになります。
- 東京都心部:1坪あたり月額8,000円~15,000円
- 東京都郊外:1坪あたり月額4,000円~8,000円
- 地方都市:1坪あたり月額2,000円~5,000円
等価交換方式は、土地と建物の価値を等価にするため、他の方式と比べて収入相場が高くなる傾向があります。
土地信託方式における収入相場
土地信託方式は、土地所有者が土地を信託銀行に信託し、信託銀行が土地を有効活用する方式です。信託銀行は、土地を貸し出すことで得られる収益を土地所有者に分配します。土地信託方式における収入相場は、以下のようになります。
- 東京都心部:1坪あたり月額6,000円~12,000円
- 東京都郊外:1坪あたり月額3,000円~6,000円
- 地方都市:1坪あたり月額1,500円~4,000円
土地信託方式は、信託銀行が土地の有効活用を行うため、土地所有者は安定的な収入を得ることができます。
以上の情報をまとめると以下のようになります。
契約方式 | 地域 | 収入相場(月額/坪) |
普通借地契約 | 東京都心部 | 5,000円~10,000円 |
東京都郊外 | 2,000円~5,000円 | |
地方都市 | 1,000円~3,000円 | |
定期借地契約 | 東京都心部 | 3,000円~8,000円 |
東京都郊外 | 1,500円~4,000円 | |
地方都市 | 500円~2,000円 | |
等価交換方式 | 東京都心部 | 8,000円~15,000円 |
東京都郊外 | 4,000円~8,000円 | |
地方都市 | 2,000円~5,000円 | |
土地信託方式 | 東京都心部 | 6,000円~12,000円 |
東京都郊外 | 3,000円~6,000円 | |
地方都市 | 1,500円~4,000円 |
土地を貸し出す際には、それぞれの方式の特性を理解し、自分の土地に合った方式を選ぶことが重要です。また、収入相場は、土地の立地や面積、契約条件などによって大きく異なるため、不動産のプロに相談しながら進めることをおすすめします。
土地を貸して得られる収入の種類
ここまで「土地を貸し出す」という土地活用の基本的な知識を解説してきました。本項では、土地を貸して得られる収入の種類と、その計算方法について具体的に解説していきます。
具体的な収入の計算方法
土地を貸し出す際の収入は、主に地代と呼ばれます。
地代の計算方法には、以下のような5つの方法があります。
路線価法
路線価法は、路線価を基に更地価格を算出し、借地料を決定する方法です。
計算式は以下のとおりです。
借地料 = 更地価格(路線価 ÷ 0.8 × 面積) × 1.5〜3%
路線価とは、国税庁が毎年発表する主要道路に面した土地の1平方メートルあたりの価格です。
この情報は国税庁の公式サイトで確認することができます。
参考:国税庁|財産評価基準書路線価図・評価倍率表(https://www.rosenka.nta.go.jp)
賃貸事例比較法
賃貸事例比較法は、類似条件の土地を複数比較して借地料を決定する方法です。
実際の計算方法としては、複数の土地の借地料を1平方メートルあたりの借地料として求めます。その後に、それらの数値の平均借地料を算出し、実際の土地の面積を掛けることで借地料を計算します。
この方法は、実際の相場を元に算出するため、納得感の高い方法ですが、不動産会社など専門家の協力が必要です。
収益分析法
収益分析法は、個人が事業目的で土地を借りるときに使われる計算方法です。
この方式は、土地を貸す企業の事業収益性から土地の借地料を算出するため、非常に難しいと言われています。そのため、実際にはあまり使われていないのが現状です。賃貸事例比較法は、類似条件の土地を複数比較して借地料を決定する方法です。
実際の計算方法としては、複数の土地の1平方メートルあたりの借地料を求めます。その後に、それらの数値の平均借地料を算出し、実際の土地の面積を掛けることで借地料を計算します。
この計算法は、実際の相場を元に算出するため、納得感の高い方法ですが、不動産会社など専門家の協力が必要です。
公租公課倍率法
公租公課法は、固定資産税や都市計画税を基準に借地料を算出するシンプルな方法です。
以下の計算式で簡単に求められます。
住宅地の場合: 借地料 = 「固定資産税 + 都市計画税」 × 2〜5倍
商業地の場合: 借地料 = 「固定資産税 + 都市計画税」 × 5〜8倍
貸主と借主が話し合い、上記の計算式で算出された金額の範囲内で借地料を決定することが一般的です。
ここまで、4つの計算方法をご紹介してきました。どの計算方法を採用するかは、以下のような観点も踏まえて最終的に判断しましょう。
- 簡便さ: 初心者であれば、公租公課法や路線価法が適しています。
- 信頼性: 路線価法は信頼性が高く、交渉に有利です。
- 専門性: 積算法や収益分析法は専門家の助けが必要ですが、より正確な地代を算出できます。
- 地域性: 賃貸事例比較法は周辺に類似物件が多い場合に有効です。
各方法の特徴と適用条件を理解し、自分の土地の状況や目的に最も適した方法を選ぶことが重要です。専門家の力を借りつつ、適切な計算方法を採用することで、より効率的な土地活用ができるでしょう。
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地代に消費税はかからない
土地を貸し出して得られる地代には、消費税はかかりません。これは、土地の貸し出しが非課税取引に該当するためです。
具体的には、消費税法上、土地の貸付けや譲渡は非課税取引として扱われています。したがって、土地オーナーが地代を受け取る場合、その金額に消費税を上乗せする必要はありません。
ただし、注意が必要なのは地代以外の収入です。例えば、建物の賃貸収入には消費税がかかります。これは、建物の貸付けが課税取引とされているためです。
さらに、駐車場などに関しては、舗装せずに貸し出し、借主が舗装する場合は非課税となりますが、舗装してから駐車場として貸し出す場合には課税対象となります。このように、土地とそれ以外の賃貸物件では消費税の扱いが異なるため、収入の種類に応じて適切に税務処理を行うことが重要です。
固定資産税の支払いは必要
固定資産税は、土地の所有者に課税されるため、土地を貸し出しても、所有者が固定資産税を支払う必要があります。ただし、契約内容によっては、借主が固定資産税を負担するケースもあります。
「土地を貸し出す」というのは、リスクもありますが、メリットも大きい土地活用の方法です。土地の価値を適切に評価し、適切な地代を設定することで、安定的な収入を得ることができます。土地活用に関する悩みや疑問があれば、ぜひ専門家に相談してみてください。
土地を貸すことで税金対策になる
土地を所有しているだけでも、固定資産税や都市計画税などの税金がかかります。しかし、土地を貸し出すことで、これらの税金の支払いに充てる収入を得ることができます。本項では、土地を貸すことで得られる税金対策について詳しく解説していきます。
相続税対策
相続税は、亡くなった人から相続した財産に対してかかる税金です。土地は相続税の対象となるため、土地を相続すると、相続税を支払う必要があります。しかし、土地を貸し出すことで、相続税を節税することができます。
土地を貸し出すと、その土地から得られる収入は不動産所得として課税されます。不動産所得は、収入から借入金の利子や必要経費を差し引いた額に対して課税されます。このようにして得られる不動産所得がある場合、賃貸による利用制限が評価に反映されるため、相続税の計算上、土地の評価額が下がることがあります。結果として、相続税の負担を軽減することができます。
ただし、相続税の節税効果を得るためには、一定の条件を満たす必要があります。例えば、土地の貸し出しが相続開始前から継続的に行われていることや、不動産所得が一定額以上あることなどが必要になってきます。
相続税の節税にはさまざまな方法がありますが、適切な対策を講じるためには専門知識が必要です。あなたの土地相続に関するお悩みや疑問を解決するために、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
土地の相続についてさらに詳しく知りたい方は、以下の「失敗しない土地相続ノウハウ」をご覧ください。相続対策のポイントや土地活用の方法などもご紹介しています。
固定資産税
固定資産税は、土地や建物などの固定資産を所有している人に課税される税金です。土地を所有しているだけでも、固定資産税を支払う必要があります。しかし、土地を貸し出すことで、固定資産税を節税することができます。
土地を貸し出すと、その土地は事業用資産として扱われます。事業用資産の場合、固定資産税の計算上、土地の評価額が下がります。これは、事業用資産の評価額が、収益性を考慮して算定されるためです。土地の評価額が下がることで、固定資産税を節税することができます。
また、住宅用に貸す場合には「住宅用地の特例」が適用され、一定の条件を満たす住宅用地については、固定資産税の評価額が大幅に減額されます。具体的には、200平方メートル以下の部分については評価額が1/6になります。これにより、住宅用に貸し出すことで、さらに固定資産税の負担を軽減することが可能です。
- ▼ 固定資産税の計算、申告手続きの詳細など詳しくこちらで解説しています
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- ・土地の固定資産税の軽減措置はいつまでに申告すべき?新築住宅から土地活用まで詳しく解説
都市計画税
都市計画税は、都市計画事業に要する費用に充てるために課税される税金です。固定資産税と同じように、土地を所有しているだけでも、都市計画税を支払う必要があります。しかし、土地を貸し出し、土地を事業用資産として使用することで、都市計画税の計算上の土地の評価額が下がり、都市計画税を節税することができます。
また、住宅用に貸す場合には「住宅用地の特例」が適用されることがあります。この特例により、一定の条件を満たす住宅用地については、都市計画税の評価額が大幅に減額されます。具体的には、200平方メートル以下の部分については評価額が1/3に減額されます。
ただし、都市計画税は、固定資産税と異なり、市町村によって課税されない場合があります。都市計画税が課税されているかどうかは、市町村によって異なるため、事前に確認が必要です。
土地を貸し出すことは、税金対策の有効な方法の一つです。とくに、相続税や固定資産税、都市計画税などの節税効果が期待できます。
ただし、不動産に関する税務は複雑であるため、税理士などの専門家のアドバイスを受けることで、適切な税金対策を講じることが可能です。
土地貸しの収入も確定申告が必要
土地を貸し出すことで、安定的な収入を得ることができますが、その収入は、課税の対象となります。ここでは、土地を貸すとかかる税金や確定申告の必要性、消費税課税業者になる場合の話などについて詳しく解説していきます。
土地を貸すとかかる税金
土地を貸し出すと、その収入に対して所得税がかかります。土地貸しの収入は、不動産所得(土地や建物の貸付けによって得られる収入)として扱われます。
不動産所得の金額は、収入金額から必要経費を差し引いて計算します。必要経費には、固定資産税や都市計画税、借入金の利子、修繕費などが含まれます。
また、不動産所得が一定額以上ある場合は、住民税も課税されます。住民税は、前年の所得に応じて計算されます。
確定申告は必要?
土地貸しの収入が一定金額を超える場合には、確定申告が必要です。確定申告とは、1年間の所得金額や税額を計算し、税務署に申告する手続きのことをいいます。
不動産所得は、土地や建物の賃貸によって得られる収入から必要経費を差し引くことで算出できます。
確定申告が必要な具体的な条件は以下のとおりです。
- 土地貸しの収入がある場合:土地の賃貸収入がある場合、一般的にその不動産所得が20万円を超える場合には確定申告が必要です。
- 給与所得と不動産所得の両方がある場合:給与所得者であっても、不動産所得が20万円を超える場合には確定申告が必要です。
- 公的年金と不動産所得の両方がある場合:公的年金の収入が400万円以下でも、不動産所得が20万円を超える場合には確定申告が必要です。
確定申告を正確に行うためには、収入と経費をきちんと記録し、適切な税額を申告することが重要です。税務署や税理士に相談することで、正確な確定申告をすることができるでしょう。
消費税の課税事業者になる場合
不動産の収入が一定額以上ある場合は、消費税の課税事業者になる可能性があります。消費税の課税事業者とは、消費税の納税義務がある事業者のことをいいます。
消費税の課税事業者になるかどうかは、前々年の課税売上高によって判断します。課税売上高とは、消費税の課税対象となる売上高のことを指します。土地の賃貸料(地代)は非課税取引であり、消費税の課税対象にはなりません。ただし、建物を賃貸する場合は消費税が課されることがあります。
基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下の場合は、消費税の課税事業者にはなりません。ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合は、消費税の課税事業者となり、消費税の納税義務が発生します。
消費税の課税事業者になった場合は、以下のような義務があります。
- 消費税の申告と納付
- 帳簿の記帳と保存(7年間)
- 請求書等の発行と保存(7年間)
消費税の課税事業者になるかどうかは、不動産の収入規模によって異なります。消費税の課税事業者になる可能性がある場合は、税理士など専門家に相談することをおすすめします。
土地を貸す際、よく起きるトラブルと注意点
土地を貸し出すことは、安定的な収入を得る有効な方法ですが、トラブルや注意点もあります。ここでは、土地を貸す際によく起きるトラブルと注意点について詳しく解説していきます。
更新拒否が通りにくい
土地の賃貸借契約では、借主が契約更新を希望する場合、貸主が更新を拒否することが難しいケースがあります。借地借家法では、借主の保護が重視されているため、貸主が更新を拒否するには正当な理由が必要とされています。
例えば、貸主が自分で土地を使用する必要がある場合や、借主が賃料を滞納している場合などは、更新拒否の正当な理由となる可能性があります。しかし、単に他の借主を探したいという理由では、更新拒否が認められないことがあります。
パートナー会社の選定
土地を貸し出す際には、信頼できるパートナー会社を選ぶことが重要です。不動産会社や建設会社など、土地活用のノウハウを持つ会社と提携することで、安心して土地を貸し出すことができます。
パートナー会社を選ぶ際は、以下のような点に注意しましょう。
- 実績や信頼性のある会社かどうか
- 土地活用に関する知識や経験が豊富かどうか
- 契約内容が明確で、納得できるものかどうか
上記のようなポイントを意識してあなたにとって最適なパートナーを探してみてください。
貸す土地の用途地域の確認
土地を貸し出す際は、その土地の用途地域を確認することが重要です。用途地域とは、都市計画法に基づいて定められた土地の利用区分のことです。用途地域によって、建築できる建物の種類や規模が制限されます。
例えば、住居系の用途地域では、マンションやアパートなどの住宅を建てることができますが、工場や倉庫などは建てられません。一方、工業系の用途地域では、工場や倉庫などを建てることができます。工業地域と準工業地域では住宅建設も可能ですが、工業専用地域では住宅を建てることは出来ません。
土地を貸し出す際は、借主が建てる建物が用途地域に適合しているかどうかを確認する必要があります。
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知人や友人に貸す
土地を知人や友人に貸す場合は、トラブルを避けるために、きちんとした契約を結ぶことが大切です。知人や友人だからといって、曖昧な契約にすると、後々トラブルになる可能性があります。
契約書には、賃料や契約期間、更新条件などを明記し、双方が納得できる内容にすることが重要です。また、トラブルが起きた際の解決方法についても、予め取り決めておくことをおすすめします。
賃料を変更する
土地の賃貸借契約では、例えば、公租公課の増減や土地の価値の変動などによって、賃料を変更したい場合もあるでしょう。
賃料の変更については、契約書に明記しておきましょう。賃料の改定時期や改定方法などを予め取り決めておくことで、トラブルを避けることができます。
建物賃貸借の家賃収入よりも収入が少ない
土地の賃貸借では、建物の賃貸借と比べて、収入が少ないことがあります。建物の賃貸借では、建物の価値に応じた家賃収入が得られますが、土地の賃貸借では、土地の価値に応じた地代収入しか得られません。
土地の賃貸借では、収入が少ない代わりに、建物の維持管理コストがかからないというメリットがあります。土地活用の方法を検討する際は、収入と支出のバランスを考えることが重要です。
また、トラブルを避けるために信頼できるパートナーを選び、適切な契約を結ぶことが重要です。用途地域の確認や賃料変更の取り決めも必要です。知人や友人に貸す場合でも、曖昧な契約は避け、正式な契約を結びましょう。
土地を貸し出す際には、不動産の専門家に相談し、適切な対策を講じながら自分の土地に合った方法を選ぶことをおすすめします。
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土地を貸すのは怖いけど収入は欲しいという方におすすめ
ここまでお読みいただきありがとうございます。土地を貸し出すことは安定的な収入を得る有効な方法ですが、トラブルやリスクも伴うため、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたい方法をご紹介します。
駐車場経営
初期投資をミニマムに抑えながらできる土地活用として注目されているのが「駐車場経営」です。駐車場経営は、土地を駐車場として貸し出すことで、安定的な収入を得ることができる土地活用の方法です。初期投資が少なくて済むケースが多いため、土地活用にはじめて取り組まれる方にとっても適しています。
駐車場経営には、以下のような種類があります。
月極駐車場
月極駐車場は、一定期間(通常は1ヶ月)の駐車料金を支払う方式の駐車場です。個人や法人に貸し出すことができ、安定的な収入が見込めます。ただし、空き区画が出ると収入が減少するため、入居者の募集や管理が必要です。
コインパーキング
コインパーキングは、時間単位で駐車料金を支払う方式の駐車場です。不特定多数の利用者を対象とするため、月極駐車場と比べて収益性が高くなる可能性があります。ただし、機器の導入や維持管理にコストがかかります。
シェアリングモビリティ
シェアリングモビリティは、カーシェアリングやシェアサイクルなど、乗り物をシェアする新しい形態の駐車場経営です。近年、シェアリングエコノミーの広がりとともに注目されています。例えば、自転車をシェアするバイクシェアや電動キックボードのシェアサービスなどを提供するための貸し出しスペースとして土地を活用することで、新たな収益源となる可能性があります。
新しい駐車場経営の形
駐車場経営は、従来の月極駐車場やコインパーキングだけでなく、さまざまな新しい形態が生まれています。例えば、電気自動車(EV)の普及に伴い、EVの充電スペースとして土地を活用するケースが増えています。EVユーザーにとって充電スペースは重要なインフラであり、ニーズが高まっています。
また、駐車場とその他の用途を組み合わせた複合型の土地活用も注目されています。例えば、駐車場と商業店舗を併設することで、土地の価値を最大限に引き出すことができます。この形態は、駐車場利用者だけでなく、店舗利用者も増加するため、双方にとって利益をもたらします。
リスクを取らないのであれば、土地をそのまま貸し出すことが最も安全な方法です。しかし、せっかくの土地を最大限に活用したいと考えるなら、駐車場経営に挑戦する価値があります。とくに、駐車場と商業店舗を組み合わせることで、安定した収入を得つつ、土地のポテンシャルをフルに発揮することができます。
まずは、土地活用に関する知識を深め、自分の土地に最適な方法を選ぶことが成功への第一歩です。今回ご紹介したように、土地活用の方法には「土地を貸す」という方法もありますが、それ以外にも駐車場経営をはじめとした土地活用の方法はあります。まずは、自分が所有している土地や相続予定の土地の活用方法について不動産のプロに相談してみませんか?
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垣内 典之
株式会社 PROPUP 代表取締役/一級建築士
石川県金沢市出身。千葉大学大学院修了(建築学)。建築設計監理からキャリアをスタート、環境性能に係る設計審査業務、企業不動産(CRE)戦略、ファシリティマネジメント(FM)コンストラクションマネジメント(CM)等を経験。建築・不動産・ITを横断的に繋げ、高次元のプロパティ・マネジメントを実現するべくPROPUPを設立。
