フィル・パークマガジン 土地名義変更の手続きと必要書類、費用を徹底解説!親から子への相続や離婚ケースも対応

土地名義変更の手続きと必要書類、費用を徹底解説!親から子への相続や離婚ケースも対応

土地の名義変更は売買の場合だけでなく、相続や離婚などで土地の所有者が変わる場合に必要な手続きです。しかし、土地の名義変更には知識や経験が必要であるため、手続きに悩む方が多く見られます。
そこで本記事では、土地の名義変更に関する基本情報や必要な書類、手続きの流れなどについて詳しく解説します。
相続や離婚など土地の名義変更が必要なケースごとで必要な手続きが異なりますので、気になった方はぜひご覧ください。
土地の名義を変更するときの基本情報
土地の名義変更とは、現在登録されている所有者を新しい所有者に変更する手続きのことです。名義変更が必要な場合には、不動産登記法で定められた適切な書類を揃えて速やかに手続きを行うことが大切です。
そこで、不動産の名義変更の仕組みやどのような時に手続きが必要なのか解説します。
名義変更とは何か?
土地や建物などの財産のことを「不動産」と言いますが、不動産の所有者に関するデータは法務局の登記簿で管理されています。不動産の所有者が変更となる場合は、必ず名義変更の手続きを行わなければなりません。また不動産の名義変更は、正式には「所有権移転登記」と呼ばれています。
土地は名義変更によって、新しい所有者が法的に認められて所有権を主張することが可能になります。もし新しい所有者が名義変更を行わなかった場合には、登記が前の所有者など別の人のままになってしまいますので、この土地を売買する時に所有者として主張できなかったり、相続が起きた時に相続人が定められなかったりするなどトラブルの原因となってしまう恐れがあるのです。
名義変更が必要なケース
土地の名義変更が必要なケースは、主に以下の3つです。
- 売買によって土地を得たとき
- 相続で土地を譲り受けたとき
- 離婚による財産分与で土地を得たとき
土地の名義変更手続きにおいて、売買の場合は元の所有者と新しい所有者が共同で名義変更手続きを行うのが一般的です。また、不動産会社が仲介している場合は、提携している司法書士が代わりに手続きを行うことが多いです。
また相続の場合では元の所有者が亡くなっているため、新しい所有者が手続きを行います。土地を相続した場合は、相続人が3年以内に名義変更の申請をすることが2024年4月1日から義務化されており、怠ってしまうと10万円以下の過料が科せられてしまいますので注意しましょう。
離婚による財産分与で土地を取得する場合も名義変更が必要です。しかし、ペアローンを組んでいる場合などはトラブルを起こす可能性が高いので、弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。
土地の名義変更に必要な書類と手続き
土地の名義変更には多くの提出書類が必要ですので、必要な書類一式を作成しなければなりません。まずは登記申請書や戸籍謄本を用意して、相続の場合は遺産分割協議書などの書類も必要です。準備ができたら登記申請書と添付書類を法務局に提出して、審査を受けます。
書類の準備や提出、審査が終わったら、新しい名義の登記となります。不備があると手続きが遅れてしまうため、事前に必要書類を確認して漏れがないようにすることが大切です。
名義変更に必要な書類一覧
売買や相続、離婚の財産分与など原因によって土地の名義変更に必要な書類は異なります。名義変更におけるそれぞれのケースで必要な書類は、以下のとおりです。
必要書類 | 概要 | 書類を用意する人 | ||
元の所有者 | 新しい所有者 | |||
共通 | 登記申請書 | 法務局に登記の申請をするための申請書 | – | ◯ |
登記識別情報または登記済証 | 土地の権利書 | ◯ | – | |
代理権限証書 | 司法書士へ依頼した場合の委任状 | ◯ | ◯ | |
印鑑証明書 | 市町村役場などで取得 | ◯ | – | |
住所証明書 | 住民票を市町村役場などで取得 | ◯ | ◯ | |
固定資産評価証明書 | 不動産が所在する市町村役場などで取得 | ◯ | – | |
登記原因証明情報 | 売買契約書や遺産分割協議書、贈与契約書、財産分与協議書などが該当 | ◯ | – | |
相続 | 被相続人の出生から死亡までの戸籍 | 被相続人の当時の本籍地で取得する必要がある | – | ◯
(または相続人) |
各相続人の現在の戸籍 | 市町村役場などで取得 | – | ◯
(または相続人) |
|
被相続人の住民票除票または戸籍の附表 | 市町村役場などで取得 | – | ◯
(または相続人) |
|
離婚 | 戸籍謄本 | 市町村役場などで取得 | – | ◯ |
相続では、戸籍の準備がもっとも大変ですが、「法定相続情報一覧図」の添付で代用できる場合があります。また集めた戸籍は、土地の名義変更以外にも銀行口座の解約や生命保険金の請求など他の相続関連の手続きでも活用できます。
名義変更の手続きの流れ
次に、土地の名義変更における手続きの流れについて説明します。土地の名義変更は、以下の6つの流れで行います。
1. 準備 |
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2. 登記申請書の作成 |
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3. 登録免許税の納付 |
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4. 法務局への申請 |
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5. 審査と登記 |
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6. 登記完了証の受け取り |
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法務局へ登記申請書と添付書類を提出してから登記が完了するまで、1〜2週間かかります。しかし、相続人が複数いたり隣接地との境界が不明瞭で測量や協議が必要だったりする場合などは、申請前の準備段階を含めて数週間から数ヶ月、場合によっては1年以上かかることがあります。
また登記申請書の作成は、自分で作成するだけでなく司法書士に依頼する方法もあります。ただし、司法書士に依頼する場合は、別途依頼費用がかかる点に注意しましょう。
書類の準備と提出方法
登記の申請は土地の所在地を管轄する法務局で行うため、あらかじめ確認しておきましょう。申請する土地を管轄する登記所は、法務局のホームページで確認できます。
法務局に登記申請書と添付書類を提出する方法は、以下の3つです。
- 法務局の窓口へ持ち込み
- 法務局へ郵送で提出
- 電子(オンライン)申請
電子申請は、法務局へ行かずに自宅で手続きが完了するため便利な方法と言えますが、「申請用総合ソフト」のダウンロードが必要です。また電子申請を行う時には「登記・供託オンライン申請システム」から手続きを行いますが、利用時間は月曜日から金曜日の8時半から21時までとなっている点に注意してください。
法務局に書類を提出したり郵送したりする場合には、必要な書類がすべて揃っており、不備がないかよく確認しておきましょう。
土地の名義変更の費用と依頼方法
土地の名義変更には、税金や書類を準備する費用などさまざまなコストがかかります。
他にも手続きを司法書士などの専門家に依頼する場合は、専門家に支払う費用も発生します。そこで、具体的にどのような費用がかかるのかや専門家に依頼する方法について見ていきましょう。
名義変更にかかる費用
土地の名義変更には、登録免許税などの税金や必要書類の作成などでさまざまな費用がかかります。名義変更にかかるおもな費用は、以下のとおりです。
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 司法書士への報酬
- 書類取得や作成にかかる費用
その他にも複雑な案件の場合には弁護士費用がかかったり、境界が不明瞭な場合には測量費用が必要になるなど、さらにコストがかかることもあります。
また登録免許税は土地の名義変更にかかる税金ですが、不動産取得税は主に売買のときのみ課されます。登録免許税は固定資産評価証明書に基づいて計算され、税率は2%であるため少なく感じがちですが、土地は高額であるケースであるため無視できない金額になる場合が多いです。例えば、1,000万円の土地なら20万円支払う必要がありますので、大きな負担といえるでしょう。
司法書士に依頼する方法
名義変更手続きは自身でも行うことができますが、司法書士に依頼すれば労力をかけず、かつスムーズに手続きを進められます。
まずは自身に合う司法書士を見つけるために、さまざまな事務所に相談することをおすすめします。
司法書士を選ぶポイントは、以下の通りです。
- 相談内容をしっかり聞いてくれるか
- 専門知識があり、分かりやすく説明してくれるか
- できないことはできないとはっきり伝えてくれるか
- 費用が明瞭か
これらの点を踏まえて、もっとも信頼できる司法書士を見つけましょう。報酬は地域や事務所によって異なりますが、名義変更の申請のみ依頼する場合には、5〜15万円程度です。また戸籍などの必要書類も依頼する場合は、追加で費用がかかります。
さらにいくつかの司法書士事務所から見積もりをとっておけば、妥当な報酬の金額を把握できるでしょう。司法書士に相談すれば、登記や相続などに関する悩みを総合的に解決できる点もメリットです。
土地名義の変更に関わる税金と法律
土地の名義変更では、さまざまな税金を支払う必要が出てきます。その中でも登録免許税は、売買・相続・離婚による財産分与などあらゆるケースの名義変更の場合でも課せられます。
また相続や贈与による名義変更の場合には、相続税や贈与税も発生します。そこで、これらの税金の計算方法や適用される法律について詳しく説明します。
登録免許税の計算方法
登録免許税は土地の名義変更を行う理由によって税率が異なりますが、名義変更では必ず課される税金です。登録免許税は、以下の計算式で算出します。
登録免許税=課税標準(固定資産評価額)×税率
このとき使用する税率は、売買・贈与・離婚の財産分与では2%であり、相続の場合のみ0.4%となります。また土地の売買に関しては令和8年3月31日までは1.5%に軽減されています。
そのため、例えば固定資産評価額が5,125,300円の土地を売買で得た場合は、以下の計算で登録免許税を求めます。
5,215,000円×1.5%=78,225円
※課税標準(固定資産評価額)では、1,000円未満の端数は切り捨てられます。また登録免許税でも、100円未満の端数は切り捨てとなります。
登録免許税は原則として現金納付ですが、オンライン申請の場合はインターネットバンキングなどを利用した電子納付が可能です。登録免許税額が30,000円以内の場合は、申請書に収入印紙を貼り付けて支払うこともできます。
名義変更に伴う法律的な注意点
名義変更には、法律的な注意点が多くあります。
例えば、相続では土地や建物の名義変更が2024年4月1日に義務化されました。
それまでは登記の変更は法律上の義務ではなかったため、登記が変更されないまま放置される空き家が散見されていたのです。このような状況を受けて、正当な理由なく相続を知ってから3年以内に名義変更を行わなかった場合には、10万円以下の過料が科せられるようになりました。
また相続の場合には、土地やその他の財産の分け方などを決める遺産分割協議書が必要だったり相続税の申告を故人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納付を完了したりする必要があるなどの決まりもあります。
さらに家族間の土地の名義変更であっても、書面で契約を交わしておくことが求められます。不動産の所有者が変わる原因によって、課税される税金の種類や税額、注意点も異なりますので、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
名義変更に関する税金の種類
土地の名義変更において、登録免許税以外にかかるおもな税金は以下のとおりです。
不動産取得税 | 売買や財産分与などで新たに不動産を取得した時にかかる税金。相続時はかからず、贈与や財産分与の場合はケースによる。 「不動産価格×税率」で計算され、土地の場合は3%となる。 |
譲渡所得税 | 譲渡所得税は、土地の売買で得た利益にかかる税金。そのため、相続や贈与の場合は譲渡所得税がかからない。
「譲渡所得×税率」で計算され、譲渡所得は「売買価格−(取得費+譲渡費用)」の式で求める。 |
贈与税 | 土地に限らず、財産を譲り受けた場合にかかる税金。暦年課税の場合は、基礎控除110万円を差し引いた金額に贈与金額によって10〜55%の税率をかけて算出する。 この他、相続時精算課税を選択し、相続時に精算する方法もある。 |
相続税 | 贈与税と同様に、土地に限らず財産を相続した場合にかかる税金。財産から差し引ける基礎控除は、相続人の人数によって異なる。 |
このように場合によって税金の種類や計算方法が異なるため、土地の名義変更を行う場合には税理士への相談がおすすめです。
- その他、税金の目安や控除金額なども知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
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- ・土地の相続税の計算方法を大解剖!税金の目安や控除金額、売却・生前贈与などの活用法まで
土地名義変更の手続き|相続の場合
相続による土地の名義変更は、とくに複雑であるため要注意です。基本的には相続人全員の合意が必要な遺産分割協議を経てから、相続関係説明図や戸籍謄本などの書類を揃え、法務局に申請します。また故人が亡くなったことを知ってから10ヶ月以内に相続税の計算や申告を済ませれば完了です。
しかし、遺産分割協議がまとまらない場合には調停や裁判になるケースもあります。
そこで親が亡くなり、子が相続人の場合である例を挙げて、手続きの流れや必要書類、相続税のポイントについて詳しく解説します。
相続人が知っておくべき手続き
相続人は、まず被相続人の死亡を証明する戸籍謄本や遺産分割協議書などの書類を用意します。
また相続時には土地の名義変更以外にも、銀行預金の解約や生命保険金の請求などさまざまな手続きが発生します。いずれの手続きにおいても、相続人が本当に正しいかを確認するため戸籍謄本などの提出が必要となるため、あらかじめ相続関係説明図を作成しておくと便利です。
これらの書類から相続関係一覧図を法務局に認証してもらえば、さまざまな相続手続きに活用できますので、おすすめです。
さらに被相続人の財産分割を行う場合には、相続人が全員集まって遺産分割協議書を作成する必要があります。このように相続では、土地の名義変更以外にも行うべきことが多いため、事前に確認しておきましょう。
遺産分割協議と名義変更
遺言書がない場合には、遺産分割協議で相続人全員が集まって遺産の分割方法を話し合うことになります。遺産分割協議では土地だけでなく、現金や預金、株式などすべての財産の分け方について話し合います。
遺産分割協議を行ったら、遺産分割協議書を作成しておきましょう。遺産分割協議書の作成は義務ではありませんが、あとから「合意していない」などのトラブルを防止できますので役立ちます。ただし、遺産分割協議書には相続人全員の署名捺印を得る必要がある点に注意しましょう。
遺産分割協議の前には、被相続人の遺言があるかどうかを確認して、相続人の確定や、相続財産の洗い出しを行う必要があります。とくに相続財産は銀行や保険会社、証券会社などに連絡して調べる必要があるため、かなりの手間や時間がかかります。
また相続税の申告や納付は故人が亡くなったことを知った翌日から10ヶ月以内に行う必要があるため、遺産分割協議をスムーズに進める必要がある点にも気をつけましょう。
相続時の名義変更の流れ
相続で土地の名義変更をするときの流れは、以下のとおりです。
- 登記申請書や相続人の戸籍、登記済証などを収集する
- 固定資産評価証明書を取得する
- 相続人で相談し、遺産分割協議書を作成する
- 登記申請書を作成する
- 法務局に登記申請書と添付書類を提出する
まず相続人を確定し、遺産分割協議を行いましょう。遺産の分け方が決まったら、土地の名義変更を行うため必要書類を揃えて法務局に申請し、審査が行われます。審査に通れば新しい名義が登記され、登記完了証が発行されます。
相続に関する書類でとくに集めるのに苦労するのが、「被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本」です。戸籍謄本は当時の本籍地で取得でしか取得できないため、結婚や引越しなどで本籍地を移動していた場合には、その住所の記録がつながるようにすべての戸籍謄本を取り寄せなくてはなりません。
そのため、被相続人の本籍地移転が多かったり相続人の関係が複雑だったりする場合などには、司法書士に依頼することをおすすめします。
相続後の土地活用ついて詳しく知りたい方は、専門家への相談がおすすめ!まずは一度お問い合わせください。
土地名義変更の手続き|離婚の場合
離婚による土地の名義変更は、夫名義の自宅にそのまま妻と子どもが住み続けるケースなどにおいて財産分与の一環で行われます。離婚協議書や調停調書に基づき、必要な書類を揃えて法務局に申請しましょう。
そこで、財産分与に伴う税金や法律的な注意点について詳しく説明します。また手続きの流れや必要書類の詳細、注意すべき法律的なポイントについても解説します。
離婚後の財産分与と土地名義変更
財産分与とは、夫婦が共同で形成した財産の公平な分配や離婚後の生活保障、離婚の原因に対する損害賠償を目的として行われます。財産分与は離婚から2年経過すると、家庭裁判所に申立てができなくなってしまう点に注意が必要です。
離婚後の財産分与では土地も共有財産に含まれますので、土地を財産分与する際は名義変更しなければなりません。そのため、離婚協議書や調停調書に基づいて土地の所有権を変更する手続きが必要です。
財産分与契約書は自分で作ることもできますが、通常は弁護士などの専門家に制作やチェックを依頼します。財産分与に関する内容を明記しておき、双方が署名捺印を行います。また土地や建物などの不動産に関しては、面積や構造など詳しく記入しておきましょう。
例えば自宅が夫の名義であっても、結婚後に夫婦共同で形成された財産である場合には財産分与の対象となります。また妻が専業主婦であるケースなど直接的に資金を出していない場合でも、家事を分担することで夫を支えていた事実があれば、夫婦の財産であると考えられます。
離婚に伴う名義変更の流れ
離婚による財産分与で土地を名義変更する場合の流れは、以下のとおりです。
- 離婚届を提出する
- 物件調査をし、税金について確認する
- 必要書類を収集する
- 財産分与契約書を作成し、署名捺印する
- 登記申請書の作成をする
- 法務局に登記申請書と添付書類を提出する
離婚に伴う名義変更は、まず財産分与の内容を確定して離婚協議書を作成します。次に、必要書類を揃えて法務局に申請し、審査に通ると新しい名義が登記されます。手続きには数週間から数ヶ月かかりますので、不備がないように書類を準備しておきましょう。
また財産分与の前に事前に物件調査を行い、土地の評価額を調べておく必要があります。名義変更を行った場合には、財産分与でも登録免許税がかかります。そのため、事前に税額についても把握しておくことをおすすめします。
もし土地の評価額が3,000万円だった場合には、税率が2%のため60万円課税されます。この他にも、財産分与契約書を作成するための印紙代も、不動産の価格に応じて最大48万円かかります。このように支払う税額も高くなりますので、気をつけておきましょう。
離婚後の手続きに必要な書類
離婚後に土地の名義変更手続きを行うには、以下の書類が必要です。
- 登記申請書
- 離婚後の新しい戸籍謄本
- 離婚届受理証明書
- 財産分与契約書または調停調書
- 元配偶者の登記識別情報
- 印鑑証明書
- 登記簿謄本
- 固定資産評価証明書
- 委任状(司法書士などに依頼する場合)
- 住民票
戸籍謄本や印鑑証明書は、発行から3ヶ月以内のものを用意します。しかし、双方の署名捺印が必要であることなどから、円満に離婚した場合でなければ司法書士などに依頼するケースが多いです。
口約束で財産分与を決めてしまうと、相続の場合と同様に「合意していない」とあとからトラブルになる可能性がありますので、財産分与の契約書を作成しておきましょう。財産分与を請求できる期間は離婚後2年間となっているため、離婚前に決めておくか、離婚後早めに請求する必要があります。
また、協議離婚と調停離婚では、必要な書類が異なる可能性があるため、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
土地名義の変更に伴うトラブルと対策
土地の名義変更には、さまざまなトラブルが伴うケースがあります。例えば、相続人の間で見られる意見の相違や書類の不備による手続きの遅延などが挙げられます。そこで、
具体的なトラブル事例と対策について紹介します。
名義変更でよくあるトラブル事例
土地の名義変更は大きな金額や権利が移転するため、トラブルが起こりがちです。もっとも多いのは、相続におけるトラブルです。遺言書がなく協議分割を行う場合には、相続人の誰かが合意しないことから協議分割が長期化してしまうケースがよく見られます。
仮に親が亡くなって、相続人A、B(両者とも子)が実家の相続について検討している場合を考えてみましょう。トラブルになりがちな事例として、実家に住んでいるのが相続人Aであるため実家は相続人Aが相続したいが、それと同等の金銭を相続人Bが相続したいと主張している場合です。
被相続人の残した預貯金が潤沢な場合は話は進めやすいですが、実家を相続する場合と同等の預貯金が用意できないと揉めてしまいやすいです。このような場合には、基本的に相続人Aが自身の預貯金から相続人Bに金銭を渡すなどの対策を講じることになります。
最近では相続人A、Bのどちらかが実家を引き継ぐ必要があるが、ともに相続したくないなどのトラブルも見られます。実家の相続を双方とも引き受けたくないと、協議分割が進まなくなってしまいます。仮に相続後に実家を売却する場合でも、いったんはどちらかが相続して管理する必要がありますので、話が難航しやすいのです。
トラブルが発生した場合の対処法
前述したようなトラブルが発生した場合は、相続人の間で冷静に話し合うことが大切です。または、弁護士や税理士など専門家が立ち会って協議を進める方法も良いでしょう。
とくに相続の場合では、被相続人が生前に遺言書を残しておけば相続をスムーズに進められるようになります。また遺言の内容を秘密にせずに、相続人全員で親が亡くなったあとに誰がどのように財産を引き継いで行くか共有しておく方法もおすすめです。
相続における名義変更の期限は相続を知ってから3年以内ですが、相続の申告と納税の期限は10ヶ月以内ですので、注意しましょう。
相続における土地の名義変更に関するトラブルは、長引くほど感情的になって泥沼化してしまいがちです。そのため、調停を利用して専門家からアドバイスを受ければ、相続人の間で冷静に話し合いやすくなるでしょう。
また状況によっては、相続放棄や限定承認など専門的な方法によって解決の糸口が見つかる可能性もあります。トラブルを速やかに解決するためには、弁護士や税理士など専門家の力を借りることも検討しましょう。
土地名義変更後の土地活用方法
相続などで得た名義変更後の土地は、どのように活用するか検討することも重要です。自身が住むか、もしくは売却しようと考えるケースが多いですが、賃貸用の住宅を建てたり駐車場に整備したりするなどさまざまな活用方法があります。
活用方法を検討するには、土地の特性や状況を踏まえることが重要です。土地の具体的な活用方法とそれぞれのメリット・デメリットについて解説しますので、ぜひご覧ください。
さまざまな土地活用
土地の名義変更が終わったあとは、その土地を有効活用する方法を検討しても良いでしょう。土地を使わずに保有しているだけでは、固定資産税がかかって負担になってしまいます。
そこで土地を有効活用する方法をご紹介します。それぞれの方法におけるメリット・デメリットは、下表のとおりです。
活用方法 |
メリット |
デメリット |
賃貸マンションやアパートを建設する |
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土地として貸し出す |
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駐車場として貸し出す |
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名義変更で得た土地の環境や特徴によって有効活用できる方法は異なるため、専門家に相談することをおすすめします。
土地活用に興味があっても、実際にどのような活用方法が良いのか迷ってしまいます。最適な土地活用の方法は、地域や時代によっても変わっていくため、まずは今勝てる土地活用術について学んでみませんか?
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土地活用について専門家への問い合わせ
土地の活用方法は立地や環境だけでなく、用途地域や面積も考慮して決める必要があります。
このように土地の有効活用には専門的な知識やノウハウが求められるため、不動産業者やコンサルタントなどの専門家に相談することをおすすめします。
専門家はベストな土地活用方法を提案してくれるだけでなく、法的な手続きに関するアドバイスも行ってくれます。
そのため土地をもっとも効率よく活用したいならば、まずは専門家に相談してみてください。
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垣内 典之
株式会社 PROPUP 代表取締役/一級建築士
石川県金沢市出身。千葉大学大学院修了(建築学)。建築設計監理からキャリアをスタート、環境性能に係る設計審査業務、企業不動産(CRE)戦略、ファシリティマネジメント(FM)コンストラクションマネジメント(CM)等を経験。建築・不動産・ITを横断的に繋げ、高次元のプロパティ・マネジメントを実現するべくPROPUPを設立。
