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2024.07.12 土地活用駐車場経営

駐車場経営の初期費用は実はどれくらい?必要経費を抑え事業を成功させるコツをご紹介

この記事の監修者
垣内 典之一級建築士垣内 典之

駐車場経営に興味はあるものの、初期費用が高額になるのではないかと不安に思っている人もいるでしょう。駐車場にはさまざまな種類があり、経営方式によっては初期費用を抑えられるケースもあります。駐車場経営を成功させるためには、必要経費を把握し、不要な出費を抑えることが重要です。

この記事では、駐車場の種類別の初期費用の違いや、駐車場経営のメリット・デメリットについて解説します。さらに、初期費用を抑えつつ、事業を成功させるためのコツもご紹介します。駐車場経営に興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

駐車場経営のメリットは

駐車場経営にはさまざまなメリットがあり、土地活用の有効な手段として注目されています。以下は駐車場経営を行うメリットの一例です。

  • 初期費用が抑えられる
  • 解約や転用がしやすい
  • 災害リスクが低い

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

初期費用が抑えられる

駐車場経営のメリットとして、初期費用を抑えられることが挙げられます。土地活用としてアパート経営やマンション経営などの「賃貸住宅経営」を行う際は、新たに建物を建設する必要があるでしょう。

一方、駐車場経営の場合、土地の舗装や必要に応じて設備を導入する必要がありますが、建物を建設するよりも大幅に費用を抑えることが可能です。さらに、保有する土地をそのままの状態で月極駐車場として活用できれば、「初期費用なし」でも経営を始められます。

駐車場経営は、経営方式によって初期費用の金額は変わりますが、土地活用の選択肢としては比較的低コストで参入できるビジネスといえます。

解約や転用がしやすい

駐車場経営は、撤退や別の土地活用への転用がしやすいメリットもあります。たとえばコインパーキング経営の場合、運営を委託していた管理会社との契約を解約すれば、撤退することが可能です。月極駐車場経営の場合も、撤退する1ヶ月ほど前に利用者に対して契約の解除を予告しておけば、スムーズに撤退できます。

また、別の土地活用に転用する際も、駐車場の設備を撤去するだけで済むため、建物の解体のような大規模な工事は不要です。

このように駐車場経営は、一定期間土地を駐車場として活用でき、状況の変化に応じて柔軟に利用形態を切り替えられる点が大きなメリットといえます。将来的に土地の売却や住宅の建設などを検討している人にとって、駐車場経営はおすすめです。

災害リスクが低い

駐車場経営は、地震や水害などの自然災害が起きても事業を継続しやすいというメリットもあります。たとえば、賃貸住宅経営では、地震により建物が倒壊したり、大規模な修繕が必要となったりするリスクがあるでしょう。こうした状況に陥れば、事業を継続するために多額の追加資金が必要になります。

一方、駐車場経営では、アスファルトのひび割れや浸水などのリスクはありますが、建物の修繕のように多額の費用はかかりません。そのため、自然災害が起きたあとも比較的すみやかに事業を再開できます。

駐車場経営のデメリットは

駐車場経営を始める際は、メリットだけでなくデメリットについても把握しておくことが大切です。駐車場経営には、以下のようなデメリットもあります。

  • 収益性が低い
  • 節税効果が賃貸住宅より低い
  • 新規参入が多い

ここでは、それぞれのデメリットについて解説します。

収益性が低い

駐車場経営は、土地活用方法の中でも収益性が低いというデメリットがあります。駐車場経営は1年間で約200万円~500万円が相場です。駐車場経営の収益性が低い要因として、以下が考えられるでしょう。

  • 料金設定に限界がある
  • 土地の活用効率が悪い

駐車場経営は、駐車場の利用料金が収益源となりますが、その料金設定には限界があるのが実情です。たとえば、周辺の駐車場よりも高めに料金を設定すれば、自身が経営する駐車場は利用されなくなる可能性があります。さらに駐車場の立地が駅や繁華街から離れるほど、料金を低く設定する必要があるでしょう。

また、駐車場経営は土地の活用効率が悪い点も収益性が低くなる要因です。アパートやマンションの場合は、土地を立体的に活用できるため、その分入居者を増やせます。一方、駐車場経営の場合、立体駐車場にしない限り、その土地の分しか活用できません。

節税効果が賃貸住宅より低い

駐車場経営は、賃貸住宅経営と比較して節税効果が低いこともデメリットの一つです。駐車場経営と賃貸住宅経営には、以下のような税金が発生します。

税金の種類 概要
固定資産税
  • 不動産や償却資産(経年劣化を伴う設備)に対してかかる税金
都市計画税
  • 主に「市街化区域(都市計画で指定されている地域)」内の土地に対してかかる税金
消費税
  • 利用料金に対してかかる税金
事業税
  • 所得や収入に対してかかる地方税
所得税
  • 所得に対してかかる税金
住民税(賃貸住宅経営のみ)
  • 賃貸住宅の経営者が自治体に納める税金

上記のうち、固定資産税と都市計画税の税額は、駐車場経営と賃貸住宅経営では異なります。固定資産税は、「固定資産の価格(課税標準額)×税率(1.4%)」で算出された金額であり、算出方法は駐車場・賃貸住宅経営で同じです。しかし、賃貸住宅経営の場合、「住宅用地の特例」に該当するため、固定資産の価格が最大1/6に軽減されます。

また、賃貸住宅経営の場合、都市計画税も住宅用地の特例の対象です。都市計画税は、「固定資産の価格(課税標準額)×税率(0.3%)」で算出されますが、賃貸住宅経営の場合は、固定資産の価格が最大1/3に軽減されます。駐車場経営の場合は、固定資産税・都市計画税ともに住宅用地の特例には該当しません。経営している駐車場内に建物があれば、住宅用地の特例に該当する可能性がありますが、基本的に駐車場経営による節税効果は低いです。

新規参入が多い

駐車場経営は、初期費用が安く参入障壁が低いため、新規参入する人が多い点もデメリットです。とくに駐車場の需要が高い立地では、競合となる駐車場が多く出現し、競争が激しくなります。

その結果、利用者の分散や利用料金の値下げなどにより、収益が下がるでしょう。そうした事態を避けるため、駐車場経営を行う際には、駐車場の需要や周辺環境などを調査し、差別化を図ることが大切です。差別化の一例として、駐車スペースの幅を広げたり、防犯設備を整えたりすれば、安心して利用できるでしょう。

フィル・カンパニーでは、空中店舗「フィル・パーク」という駐車場の上部にテナント設置するソリューションを提供しています。空中店舗の活用により、新たな収益源が増えるだけなく、競合の駐車場との差別化を図ることも可能です。駐車場経営において競合との差別化を図りたい人は、ぜひお問い合わせください。

駐車場の種類と経営方式

駐車場の種類には、大きく分けて「月極駐車場」「コインパーキング」の2つがあります。それぞれ異なる経営方式であるため、駐車場経営を始める際は、保有する土地がどちらに向いているのかを見極めることが大切です。ここでは、月極駐車場とコインパーキングの経営方式について解説します。

月極駐車場

月極駐車場とは、利用者と1〜2年単位で契約を結んで駐車場を貸し出す有料駐車場のことです。利用者がいれば、毎月安定した収入を得られるのが特徴です。また精算機やロック装置などの設備を導入する必要がないため、初期費用を抑えて始められるメリットがあります。

一方で、利用者が見つからず空車の状態が続くと収益が大幅に低下する点に注意が必要です。空車をなくすには、月極駐車場の利用者募集サイトに登録するといった集客するための工夫が必要になるでしょう。

コインパーキング

コインパーキングとは、利用者が駐車する時間分の利用料金を受け取る有料駐車場のことを指します。月極駐車場と異なり、契約せずに利用時間に応じた支払いによって誰でも駐車できるのがコインパーキングの特徴です。ただし、精算機やロック装置などの設備を導入する必要があります。以下のような立地は、コインパーキングの需要があり、高い収益に期待できるでしょう。

  • 駅周辺
  • 繁華街
  • オフィス街
  • 観光地

一方でそもそも人がいない立地や大型の無料駐車場が近くにある立地などは、コインパーキングの需要は低いです。このように、コインパーキングは周辺環境によって収益性が左右される点に注意しましょう。

駐車場の経営方法

駐車場経営には大きく分けて以下の3つの方式があります。

  • 自主管理方式
  • 管理委託方式
  • 一括借り上げ方式 (サブリース)

ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。

自主管理方式

自主管理方式は、駐車場の経営者自身が運営・管理を行う形態です。看板の設置や料金設定、利用者の募集などもすべて経営者自身が行います。月極駐車場経営では、自主管理方式を用いるのが一般的です。

管理会社への依頼手数料がないため、駐車場経営から得られる収益のすべてを自身が受け取れるメリットがあります。ただし、駐車場経営における管理をすべて自身で行うため、時間と手間がかかる点に注意しましょう。さらに管理会社から駐車場経営のアドバイスを受けられないため、運営に関する知識を身に付ける必要があります。

また、長年にわたって駐車場を経営する場合は、経年劣化による設備の修繕・交換などの出費が発生します。この際に対応できるように、修繕費を積み立てておく必要もあるでしょう。

管理委託方式

管理委託方式は、駐車場の運営・管理業務を専門の管理会社に委託します。自身では難しい管理業務を委託できるため、時間と手間を削減できます。たとえば、利用料金の設定や入出庫管理、清掃・維持管理などを行ってくれるでしょう。会社によっては集客や経営に関するアドバイスも行ってくれる点もメリットです。

ただし、管理業務を委託する場合、駐車場の利用料金の5~10%を依頼手数料として支払う必要があります。管理会社によって費用は異なるため、可能な限り費用を抑えたい場合は、複数の管理会社の相見積もりを依頼するとよいでしょう。この際、清掃や見回りなどの一部の管理業務を経営者自身で行うと、費用を抑えられます。

一括借り上げ方式(サブリース)

一括借り上げ方式とは、保有している土地を駐車場運営会社に貸し出し、毎月賃料を受け取る形態です。駐車場の収益に関係なく、毎月賃料を受け取れるため、安定的な収益源を確保できます。なお、一括借り上げ方式はコインパーキングで用いられるのが一般的です。

駐車場運営会社が駐車場の管理・運営をすべて行うため、土地の所有者は手間がかからず、安定した賃料収入を得られるのがメリットでしょう。さらに駐車場経営に関する知識がない人でも安心して始められます。

ただし、駐車場の稼働率が低い場合は、賃料の引き下げを要求される可能性がある点に注意が必要です。また、駐車場経営の収益が増えた場合も、土地の所有者が得られる賃料は変わらないのが一般的です。一括借り上げ方式を選択する際は、駐車場運営管理会社との契約内容をしっかり確認したうえで依頼しましょう。

フィル・カンパニーでは、お客様にとって最適な土地活用プランをご提案いたします。駐車場経営において収益性を伸ばしたいという人は、お気軽にお問い合わせください。

駐車場経営における初期費用とは?

先述したとおり、駐車場経営は他の土地活用方法と比較して初期費用を抑えられます。しかし、一定の費用は必要となるため、初期費用がどのようなものに使われているのかを把握しておきましょう。ここからは、月極駐車場経営とコインパーキング経営、立体駐車場経営の初期費用について解説します。

月極駐車場の初期費用

月極駐車場は、精算機やロック装置などの設備を導入する必要がありません。そのため、月極駐車場経営の初期費用は、土地の整備費が中心となります。これに加えてライン引きや車止め、看板の設置などの費用がかかります。

土地の整備においては、「未舗装タイプ」「アスファルト舗装タイプ」「コンクリート舗装タイプ」があり、それぞれ初期費用は異なります。ここでは、それぞれの特徴や初期費用の相場について解説します。

未舗装タイプ

未舗装タイプの月極駐車場は、アスファルトやコンクリートなどの舗装をせずに駐車場経営を行うタイプです。初期費用がかからない点が最大のメリットであり、お金をかけたくない人や土地の売却を検討している人には、未舗装タイプがよいでしょう。

しかし、水たまりや雑草などに対応すると、管理に大きな負担がかかる場合があります。さらに、砂利で利用者の車が傷ついたり、汚れたりするトラブルが発生する可能性もあるでしょう。

アスファルト舗装タイプ

アスファルト舗装タイプは、コンクリート舗装よりも初期費用が抑えられます。アスファルト舗装の費用は、1平方メートルあたり約4,000円~6,000円が相場です。管理業務の負担や初期費用を抑えて月極駐車場経営をしたい人には、アスファルト舗装タイプがよいでしょう。

ただし、アスファルトは経年劣化が早く、定期的な補修が必要です。そのため、アスファルト舗装をする際は、長期的な維持管理費用も考慮する必要があるでしょう。

コンクリート舗装タイプ

コンクリート舗装タイプは、他のタイプよりも耐久性が高く、定期的なメンテナンスの負担を軽減できます。見た目もきれいで長期的に駐車場を経営したいと人におすすめです。

ただし、1平方メートルあたり約8,000円~1万円とアスファルト塗装と比較して初期費用が高額になります。コンクリート舗装タイプにする場合は、ある程度の資金力も必要でしょう。

コインパーキングの初期費用

コインパーキング経営は、月極駐車場よりも初期費用が高額になることが一般的です。具体的には、土地整備費に加えて、看板設置費や機器設備設置費などが必要となります。ここでは、それぞれの初期費用の相場を見ていきます。

土地整備費

コインパーキング経営では、精算機やロック装置などの設備の配線を行う必要があります。そのため、施工性の高いアスファルト舗装タイプで土地を整備するのが一般的です。

アスファルト舗装は、1平方メートルあたり約4,000円~6,000円が相場となります。依頼する業者によっても費用は異なるため、複数の業者で相見積もりをもらうのがよいでしょう。

看板設置費

コインパーキングには、利用料金表や利用方法、注意事項などが記載された看板を設置するのが一般的です。コインパーキングの目印ともなり、利用者に認知されるためにも、看板の設置は必須といえます。さらに夜間でも見えやすくするために、照明も設置する必要があります。照明も含めた看板設置費は、約15万円~20万円が相場です。

機器設備設置費

コインパーキングでは、無人で24時間稼働するためにも、精算機やロック装置などを導入する必要があります。さらに利用者が安心して利用できるように防犯カメラの設置もするべきでしょう。それぞれの1台あたりの費用相場は、以下のとおりです。

設備 相場費用
精算機 約40万円~50万円
ロック装置 約10万円
防犯カメラ 約5万円~

また、上記のような設備を設置する施工費もかかります。施工費は、業者によっても異なりますが、約30万円~50万円が相場です。

立体駐車場の初期費用

立体駐車場は、土地を立体的に活用できるため、狭い土地でも多くの車を駐車できます。しかし、その分初期費用は高額になります。

立体駐車場には、駐車場内の車を自動で動かす「機械式駐車場」と、駐車場内を運転して動かす「自走式駐車場」の2種類があります。車1台あたりのそれぞれの費用は以下のとおりです。

立体駐車場の種類 車1台あたりの費用
機械式駐車場 約100万円~500万円
自走式駐車場 約100万円~350万円

初期費用まとめ

ここまで月極駐車場、コインパーキング、立体駐車場の初期費用について解説しました。以下に、それぞれの初期費用をまとめました。

駐車場の種類 初期費用の種類 60平方メートルの場合の初期費用(車3台~5台分)
月極駐車場 未舗装タイプの費用 0円
アスファルト舗装タイプの費用 約24万円~36万円
コンクリート舗装タイプの費用 約48万円~60万円
コインパーキング 土地整備費

(アスファルト舗装)

約24万円~36万円
機器設備設置費(1機器)

+施工費

約81万円~111万円
看板設置費 約15万円~20万円
立体駐車場 機械式駐車場 約1,000万円~5,000万円
自走式駐車場 約1,000万円~3,500万円

自分の予算やビジネスプランに合った駐車場タイプを検討してください。

駐車場経営のランニングコスト

駐車場経営を始める際は、初期費用だけでなく、継続的に発生するランニングコスト(運用費用)も考慮することが重要です。駐車場経営のランニングコストには、以下のようなものがあります。

  • 運営管理費
  • 税金

ここでは、それぞれのランニングコストについて解説します。

運営管理費

運営管理費は、清掃や料金の集金など駐車場の運営にかかる費用です。月極駐車場経営とコインパーキング経営の運営管理費には、以下のような種類があります。

経営形態 運営管理費の種類
月極駐車場経営
  • 清掃費
  • 保険料(トラブルに備えた保険)
コインパーキング経営
  • 清掃費
  • 集金費
  • 機械の修繕費
  • 電気代
  • 保険料
  • 警備費用

管理会社に運営を委託する場合は、上記に加えて管理手数料も発生します。このように、月極駐車場経営とコインパーキング経営では運営管理費の内容が異なるため、経営方式に合わせて適切な管理体制を検討しましょう。

税金

駐車場を経営する際は、税金もランニングコストとして考慮することが大切です。先述したとおり、駐車場経営には以下のような税金が発生します。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 消費税
  • 事業税
  • 所得税

上記のうち所得税は、月極駐車場経営とコインパーキング経営で分類が異なります。月極駐車場経営の場合の収益は「不動産所得」に分類され、不動産の貸付けによって得た収益として扱われます。そのため、「青色申告特別控除」の条件を満たしていれば、最大65万円の控除を受けられます。

一方、コインパーキングの場合は、事業所得もしくは雑所得に分類されるため、青色申告特別控除は受けられません。ただし、一括借り上げ方式でコインパーキング経営をしている場合は、不動産所得に分類されます。

駐車場経営を始める前にすべきこと

駐車場経営を始めるには、事前の準備が重要です。具体的には、土地条件を調査したり、利回りを計算したり、駐車スペースを確認したりします。これらを加味したうえで、経営方式や方針を決めます。ここでは、駐車場経営を始める前にすべきことについて解説します。

土地条件を調査

まず、駐車場を経営する土地の条件を慎重に確認しましょう。駐車場周辺の交通量や駐車場需要など、さまざまな項目を検討する必要があります。

そのうえで、土地の条件によって月極駐車場経営かコインパーキング経営かを選択します。

たとえば、住宅地やオフィス街、工場の近くなどは、月極駐車場経営が向いているでしょう。これらの土地は、利用者がほぼ毎日のように車を駐車するため、月極駐車場の需要があります。ただし、地方の場合は、無料で開放している駐車場も多く、月極駐車場の需要がないケースも考えられるため、慎重に周辺を調査する必要があります。

一方で駅前や商業施設、観光地などの近くは、一時的に駐車場を利用したい人が多いため、コインパーキング経営が向いています。ただし、近くにコインパーキングが多い場合は、価格競争が起こる可能性があるため、注意が必要です。

このように駐車場経営を始める前には、自身が保有する土地の条件を調査したうえで、経営方式を決めるとよいでしょう。

利回りを計算

「利回り」とは、投資した費用に対する収益の割合のことです。利回りの数値が高くなるほど、高い収益が期待できます。そのため、利回りの数値は、駐車場経営を始める際の重要な判断材料となります。

利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。表面利回りは、土地の価格に対して駐車場経営により年間どのくらいの収益を見込めるのかを表した数値です。「表面利回り(%)=満車時の年間賃料÷土地価格×100」の計算で算出します。表面利回りの相場は、月極駐車場経営の場合は5~15%、コインパーキング経営の場合は15~30%です。

一方の実質利回りは、実際に受け取る年間賃料と土地価格に、初期費用、ランニングコストなども加えて計算します。計算方法は、「実質利回り(%)=(年間賃料―ランニングコスト)÷(土地価格+初期費用)×100」です。表面利回りよりも正確な収益の割合を算出できます。実質利回りの相場は、月極駐車場経営・コインパーキング経営それぞれ4%前後です。しかし、立地条件によっては、50%を超えるケースもあります。

このように、駐車場経営を始める前に利回りを把握しておけば、始めるべきかの判断基準がより明確になるでしょう。

駐車場経営をはじめ、昨今の土地活用事情を資料にまとめました。以下の資料を読めば、アパート・マンション・商業ビル・狭小地活用などさまざまなパターンの土地活用との比較ができ、今後の展望について理解できるでしょう。

駐車スペースの確認

駐車場経営は、狭い土地でも始められますが、「駐車のしやすさ」も考慮することが大切です。たとえば、多くの車を駐車させるために1台あたりの駐車スペースを狭めると、利用者は駐車がしにくいため、利用しなくなる可能性があります。

一方で、駐車できる台数は少ないものの、広々とした駐車スペースが確保されていれば、利用者が増える可能性もあるでしょう。実際に自身で駐車してみて、利用しやすいかを確認してみることをおすすめします。

また、バリアフリー対応にも考慮が必要です。たとえば、身体障害者用の駐車スペースの確保や、車両の出入りに支障がないよう、十分な幅と奥行きを確保することが求められます。さらに、駐車場の利用者の利便性を高めるため、動線にも配慮が必要でしょう。

駐車場経営の必要経費を抑えるコツ

ここまで駐車場経営の初期費用やランニングコストなどについて解説しましたが、可能な限りこうした費用を抑えたいと考える人もいるでしょう。ここからは、駐車場経営の必要経費を抑えるコツについて解説します。

太陽光発電や自主管理によるランニングコスト削減

駐車場経営の必要経費を抑えるには、ランニングコストを削減することが大切です。

駐車場経営のランニングコストには、照明や精算機、ロック装置などにかかる電気料金も含まれています。こうした電気料金を削減するために、太陽光発電を設置する方法があります。

昨今では、駐車場に設置できる「ソーラーカーポート」と呼ばれる発電システムが登場しました。ソーラーカーポートとは、太陽光発電パネルをカーポートの屋根として活用したり、カーポートの上に太陽光発電パネルを設置したりする発電システムです。

ソーラーカーポートを設置すれば、毎月の電気代を節約できるだけでなく、電気自動車の充電設備の導入といった新たな収益源を確保しやすくなるでしょう。初期費用は高額になりますが、長期的な駐車場経営を検討している人にはおすすめです。

また、駐車場の管理を自身で行えば、外部の業者に委託するよりも大幅にコストを抑えられます。ただし、時間と手間が必要となるため、本来の業務との適切なバランスを見極めることが大切です。

ビジネスモデル選択による初期投資の最小化

駐車場経営を「初期費用0円」で始めたい場合は、保有する土地を駐車場運営会社に貸し出す一括借り上げ方式をおすすめします。この方式では、駐車場経営に必要な設備費用をすべて運営会社が負担するため、初期費用を0円で始められます。

また、一括借上げ方式以外で初期費用を0円にするには、駐車場経営の初期費用を管理会社に立て替えてもらうという方法もあります。立て替えてもらった初期費用は、駐車場経営を開始した後の収益で返済していきます。返済が終わるまでは自身の収益はありませんが、初期費用0円で始めたい人にとっては魅力的でしょう。

事業保険や税金控除でリスクをカバー

駐車場経営にはさまざまなリスクが伴います。そのため、事故や自然災害、近隣住民とのトラブルなど、予期せぬ出来事に備えて、事業保険に加入しておくことが大切です。保険料は経費として計上できるため、税金の節約にもつながります。事故や損害に備えて、賠償責任保険や火災保険などに加入しておくと、万が一のトラブルにも対応できるでしょう。

また、駐車場経営に関する税金については、確定申告の際に必要経費として申告することで、所得税や住民税の負担を軽減できます。他にも駐車場の減価償却費や修繕費、保険料、光熱費などを経費として計上すれば、税金を抑えられます。上記のように、適切な税務対策を行えば、収支を大きく改善できるでしょう。

駐車場経営を成功させるコツ

駐車場経営は、比較的少ない初期投資で始められる魅力的な事業ですが、成功させるにはいくつかのコツを知っておく必要があります。ここでは、駐車場経営を成功に導くポイントを紹介します。

アパートとの併用やマンション経営との連携

アパートやマンションの敷地内に駐車場を設置することで、大きなメリットを得られます。まず、住宅用地と一体利用される駐車場は、固定資産税と都市計画税の軽減措置が適用されるため、税金の負担を大幅に抑えられます。また、アパートやマンションの入居者に駐車スペースを提供できるため、利便性を向上出来るでしょう。

さらに、アパートやマンションの管理会社と連携すれば、駐車場の管理や入退出の管理など、運営の効率化が図れます。

このように、アパート経営やマンション経営との一体的な運営は、駐車場経営の成功につながる可能性があります。とくに、固定資産税の軽減措置を活用できるのは大きなメリットであり、経営の収支改善に大きな影響を及ぼすでしょう。

業者とのリーズナブルな借り上げ契約

駐車場経営には、土地の取得や駐車場の建設など、初期費用がかかります。しかし、土地所有者と駐車場運営会社が契約を結ぶ「一括借り上げ方式」を活用すれば、初期費用を大幅に抑えることが可能です。

土地所有者が駐車場運営会社に土地を貸し出し、運営会社が駐車場の運営を行う一括借り上げ方式では、土地所有者は安定した賃料収入を得られ、初期費用なしで事業を始められるメリットがあります。

ただし、契約内容によっては、土地所有者の収益性が低くなる可能性もあります。そのため、土地の条件や賃料、収支見通しなどを十分に検討し、契約条件を交渉することが重要です。

地域密着型ビジネスの形成と収益化戦略

駐車場経営では、立地条件が大きな影響を及ぼします。とくに、地域の需要を的確に捉えることは、成功するための重要な要因となります。

たとえば、商業施設や病院、学校などの近くに駐車場を設置すれば、安定した利用者を見込めます。また、地域の祭りやイベントの際に臨時駐車場として活用するなど、地域密着型のビジネスモデルを構築することで、収益の向上が期待できるでしょう。

さらに、需要に応じて適切な料金を設定し、稼働率の向上と収益の最大化を図ることが重要です。たとえば、平日と週末で料金を変更したり、イベント開催時には臨時料金を設定したりするなど、柔軟な対応が求められます。

このように、地域に密着し、利用者のニーズに合わせた運営を行うことが、駐車場経営の収益性を高める鍵となります。

詳しくはフィル・カンパニーにご相談を

駐車場経営には月極駐車場経営とコインパーキング経営の2つの形態があり、それぞれ初期費用とランニングコストが異なります。初期費用を抑えるコツは、土地の一括借り上げや砂利敷きの月極駐車場などを検討することです。また、アパートやマンションとの連携、リーズナブルな借り上げ契約、地域密着型ビジネスの形成など、さまざまな戦略を組み合わせることで収益性を高められます。

「空中店舗フィル・パーク」を提供するフィル・カンパニーでは、駐車場の未活用スペースを有効活用して新たな収益を生み出すソリューションを提供しています。駐車場経営をお考えの方は、ぜひフィル・カンパニーにご相談ください。

この記事の監修者

垣内 典之

株式会社 PROPUP 代表取締役/一級建築士

石川県金沢市出身。千葉大学大学院修了(建築学)。建築設計監理からキャリアをスタート、環境性能に係る設計審査業務、企業不動産(CRE)戦略、ファシリティマネジメント(FM)コンストラクションマネジメント(CM)等を経験。建築・不動産・ITを横断的に繋げ、高次元のプロパティ・マネジメントを実現するべくPROPUPを設立。

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